音楽力を伸ばす「譜読み」の基本~楽譜攻略13のステップ

著者 :
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2.80
  • (0)
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 61
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784636894103

作品紹介・あらすじ

-

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 9世紀 ネウマ譜 五線も音符もなし グレゴリオ聖歌 それまでは暗譜
    11世紀 イタリア修道僧グイード
     聖ヨハネ賛歌 ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラの6音
     羊のなめし皮に 4本線ネウマ譜 →5本線ネウマ譜
     シは17世紀に発見 オクターブの概念へ
    16世紀 ルターの時代 楽譜集 牛一頭ほどの価格
    18世紀に印刷化 ルソー 数字譜 

    ソルフュージュ 楽譜を読んで歌う
     1795年 パリ国立高等音楽院

    ドレミ 日本、カトリック(仏、伊、西)、東方教会(露、ユーゴ、ルーマニア)
    ABC  ゲルマン(英、蘭、独、墺)、北欧(ノルウェー、フィンランド)

  •  主に幼児、小学生に向けてどういうアプローチをすれば「譜読み」の力が着くのか、日本におけるピアノ教育の歴史や、数々の教本で見られる実践を紹介し、理想的なアプローチについて考える。
     最近、ピアノを30年ぶりに始めたおれは譜読みが面倒(というか満足に出来ない)で、Youtubeで音源を聴いてから楽譜を見るということをやってしまっているが、それじゃダメですよ、という、まあそれはそうだろうな、という話。ただ最後に「耳コピでアウトラインを覚えて、それを手掛かりに楽譜も読んで細かい部分を確認する」(pp.282-3)ということはまさにいつもやっていることなので、まあ仕方ないか、という感じ。ただし「耳コピが当たり前になっていると、読んで音にするのはまどろっこしく、苦痛になる場合がある。その状態から譜読みをできるようになりたいのなら、一定期間集中して読譜に取り組む、あるいは継続するなどの形で学習の時間を確保する必要がある。演奏のための譜読みとは別に、譜読みの力をつけるためだけの課題を行なっていくとよいだろう。」(p.283)ということなので、じゃあバイエルとかでやってみようかなあとか、思った。正直どんなアプローチをするか、という後半部分は、ピアノの先生でもない限りはたぶん、読んでいても面白くないかもしれないが、「平成以降は少子化となり、楽譜がなかなか読めない子に対してもていねいに指導し、裾野を広げることが教室の存続には欠かせない」(p.24)というのは、少子化の煽りを受ける同業者として苦労を感じる。学習障害系の人にどう英語を教えるかというのは、職業柄よく目にするけど、ピアノ教育の世界にもこういうのあるんだ、と思った。
     あとは面白いと思った部分のメモ。まずルソーは哲学者として覚えるけど、実は「譜読みには苦労した経験を持っていた」(p.54)ということで、数字譜というのを考案したというのは面白かった。ルソーの教育思想を受け継いだペスタロッチ、というのも教職教養で勉強する人だけど、実は唱歌教育を実践しようとしたという話も興味深い。これまで勉強した人が、実は音楽の分野でも何かやろうとしていたという発見があった。「固定ド」か「移動ド」かという話で、フランスでは「専門教育であるパリ音楽院のソルフェージュは、『固定ド』を用いて、絶対音感を育てる方向にあった。一方同じフランスでも、大衆教育の分野で使われていたギャランの数字譜は『移動ド』的なものであり、(略)大衆教育は主に歌、専門教育は主に器楽という差」(p.67)があったというのも興味深い。今でも楽器の演奏出来ない人は歌、みたいな?イメージがないこともないような?気がする。そんなことはないだろうけど。あと日本の話で、「ドレミファソラシドは日本になかった音階で、明治時代の日本人にとって不慣れで歌いにくかった。音楽取調掛を設立した伊澤修二は留学先のボストンで、ドレミファの半音『ミファ』の音程がとれず苦労していた」(p.76)というのは驚き。いかに今の日本人?はドレミファの音階で洗脳されているのか、と感じる。ということは今の日本人にとっては雅楽の音階、とか音が取れないということも起こるのかなあ、と思う。そこから日本の音楽教育史の話になるが、教育史は勉強しても音楽教育の歴史というのは勉強したことないので、これも興味深い。「戦争中の1941(昭和16)年には、『唱歌』から『芸能科音楽』と科目名が変わり、戦争に積極的な姿勢を育て、潜水艦のソナーマンになれる鋭い耳を養成する、戦争に勝つための音楽教育へと変質していた。(略)当時の国家的な大プロジェクトである戦争に利用されることで、譜読みや音感の教科内容が進化した面もあった。」(pp.80-1)というのは、全く知らなかったことだった。戦争のためなら何でも進化するんだなあという。そして、各国で譜読みに関連する指導の仕方には違いがあるという話で、「日本も含めたドレミ圏では考えにくいことだが、イギリスでは、歌ったり音をイメージしたりできなくても、『該当する鍵盤の位置を把握して押さえる』といった読譜が初見能力とされている。」(p.130)らしい。音は頭の中でならないけど、とりあえず鍵盤は押さえる?ってなんか想像できない。そして今おれが楽譜を見て思うのは、ドレミは数えれば分かるけど、リズムがよく分からんという部分が多いと思う。と思っていたら、「ドレミよりも、まずリズム読みから」(p.136)や「実は音高より、リズムが読み取れないために楽譜にアレルギーを持っている子が多い」(p.200)という部分があって、なるほどと思う。まずリズムに集中して読譜する教材というのがあるらしいが、それの大人向けの教材っているのはないのかなあ、と思った。リズムと言えば、「南インドには『コナッコル』(konnakol)という超絶技巧のボイスパーカッション的なリズムによる伝統音楽もある」(p.158)ということで、youtubeで見れるというからそれを聞きながらこれを書いているが、このリズムを譜面にするとどうなるのかひとつも分からない。最後に、「楽譜が取れ去られたあとにどの程度長く弾き続けられるかを『愛ハンドスパン』という。初見が得意な人ほどアイハンドスパンが長く、初心者はアイハンドスパンが短い。楽譜の譜めくりをしていると、弾いている人のアイハンドスパンが自分と違うことがある。」(p.270)というのは、英語のリーディングでもアイスパンという概念があるので、へえ、と思った。
     譜読みの力を伸ばすためのどんなアプローチがあるのかということは分かるが、具体的に自分がどうしようか、というのはやっぱり自分のついている先生のアドバイスを聞くしかないのかなあと思った。(21/01/29)

  • 子供の指導法の話。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

音楽ライター/ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院修了。ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆、音楽誌「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」などに寄稿。ピアノ教本研究家として全国で講演を行う。ピアノ講師としても指導に携わる。facebookで「山本美芽ライティング研究会」を主宰、多くのピアノ講師とともに次世代のピアノレッスンのあり方を追求、発信している。著書『ピアノ教本ガイドブック』(音楽之友社)『自分の音、聴いてる?』(春秋社)など多数。ピティナ指導会員。

「2021年 『音楽力を伸ばす「譜読み」の基本~楽譜攻略13のステップ~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本美芽の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×