芸者論: 神々に扮することを忘れた日本人

著者 :
  • 雄山閣
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784639019527

感想・レビュー・書評

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  • テレビで著者を見た。着物姿が粋。会話も面白かった。「芸者論」は楽しい語り口そのまま、読みやすくしかも丁寧、熱意を持って著作したことが感じられる好書。

  • 折口信夫による芸能の発生と変遷に関する考察を足がかりに、古のタマシズメ(鎮魂)とタマフリ(魂振)を遠い記憶の源流ととらえるところから始まる芸者論。東京における芸妓の歴史を、江戸開幕前後から現代に至るまで丁寧に積み上げて綴られていて、風俗史としても楽しめた。

    また、芸妓が起こる場所を寺社の門前や中州など古代の記憶を継承している場所だと論じている部分などは、歴史学におけるアジールの考察と重なる部分もあり、著者がこの芸者論を日本の歴史の中に位置づけようというしっかりとした意図が伺える。

    「ゲイシャ・フジヤマ」的ステレオタイプとは一線を画した読み応えのある一冊です。



  • 雄山閣 岩下尚史 「 芸者論 」


    古代の神婚劇に始まり、近世の吉原芸者、明治の新橋芸者 を経て、戦後花柳界の衰退まで論じた本。芸者の本場が東京とは知らなかった



    著者は、吉原はじめ芸者宿を 宴文化の場 と捉え、客は 芸者との神婚劇を通して、晴れがましさ や 「粋」という 平衡感覚を得て、家や国を治めることができる、と解釈した



    驚いたのは、敗戦直後に関わらず、新橋演舞場が豪華な裏方陣により再建した点。谷崎潤一郎、川端康成が台本を書き、横山大観、鏑木清方が舞台美術を手がけている。政治力と経済力が凄い



    遊びの場において、色情に溺れず、無理に我慢せず、遊女の気持ちを推しはかり対応することができる平衡感覚を「粋」というらしい
















  • ふむ

  • 大学生の時に日経新聞の書評欄で出会った本。
    本棚を物色していたら目についたので読み返してみた。
    貧乏学生の身から買うのを躊躇したのを覚えているが、買ってよかった。それは今でも変わらない。
    詳しく書こうにも次から次へと思いが出てくるので、とにかく興味がある人には読んでもらいたい。確実に言える。名著である!

  • 良書。

  • 民俗学から紐解く芸者の歴史。
    適度な私観も心地良い。

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著者プロフィール

岩下尚史(いわした ひさふみ)
作家
『芸者論──花柳界の記憶』(文春文庫、2009年)、『直面(ヒタメン)──三島由紀夫若き日の恋』(同、2016年)

「2018年 『興行とパトロン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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