芸者論: 神々に扮することを忘れた日本人

著者 :
  • 雄山閣
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本棚登録 : 20
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784639020462

作品紹介・あらすじ

日本の伝統芸能を支え続けた花柳界と芸者衆の心意気。第20回和辻哲郎文化賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 芸者というと浮かんでくるのが京都の祇園。そう思う人も多いかと思う。著者曰く、京都の祇園は、メディアに対して積極的にアピールしていて、花街側も観光資源としての価値をよく分かっているというところもあって、芸者イコール京都のイメージが出来上がっている。

     そんな(常識)に対して、東京の花柳街について書いたのが今回の本。著者は、あのフジテレビの「ホンマでっかTV!」で準レギュラーとして登場している。「お師匠はん」の愛称で親しまれているあの人です。今月のBIG Tomorrowにも登場している。

     東京の芸者がすっかり影に隠れてしまったのは、花柳街の側とマスコミの側に問題があった。街の方は、外に対して自分たちの存在価値を訴えることなく、門戸を閉ざしてきた。行ってみれば「現代の出島」みたいなものか。マスコミの方は、料亭を利用する政治家たちの集まりを「待合政治」などと称して、何か怪しいことをしている街というイメージを植え付けた。

     そういうマスコミも、財務省(旧大蔵省)をはじめとする役所の官僚からいい思いをさせてもらっているのが、最近では表に出てきているので何をかいわんや。

     芸者という呼び方は、意外なことに江戸時代の吉原で確立して、今に至っていると書かれている。関西では、「芸子」と呼んでいるそうだ。

     マスコミで登場する芸者しか知らないモクモク羊には、なかなか面白い芸者論だ。花街を「ハナマチ」と読むのは間違いと指摘している。それではなんと読むのかというと「カガイ」と読む。シャレではないが意外だと思った。単にものを知らないだけか。
     
     そういえは、あのブラタモリで芸者が登場していたのを思い出した。「江戸の盛り場両国編」で見たのかな。そのとき、芸者がいたのかと思った。

     古代から現在に至るまで芸者に関する歴史が書かれていて、興味深かった。教科書には取り上げられない歴史だけに貴重な一冊となる。

    お師匠はん曰く「もうそろそろ、世間も花柳街も、お互いの偏見や誤解を改める頃であると思います」とおっしゃっている。

  • 色ではなく芸を売る芸者としての側面から遊女を見た本。開国以降のこともしっかり書いてあってよく分かる。

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著者プロフィール

岩下尚史(いわした ひさふみ)
作家
『芸者論──花柳界の記憶』(文春文庫、2009年)、『直面(ヒタメン)──三島由紀夫若き日の恋』(同、2016年)

「2018年 『興行とパトロン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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