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- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641075054
感想・レビュー・書評
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古い本だが今年読んだベスト・オブ・ベストになるのは間違いない。
野生児の存在を知っているだろうか?古くはインドで発見されたというアマラとカマラが有名だ。彼女らは狼に育てられた子を神父が見つけて言葉を教えたが結局モノにならずに早くに死んだ。そして1970年代にはアメリカで11歳まで放っとかれた少女が保護され多くの研究者をたらい回しにされながら言語獲得を目指されたがその成果は不十分であった。そこで出てきた仮説が、言語には幼少期のある一定時期に言語シャワーを浴びない限りその後の言語発達は著しく障害を受け改善しないという神話だ。本書はもう古いのだが、虐待された姉と弟を保護し、その後の彼らが高校を卒業するまで同じ心理学者グループがしっかりと養護者としての役割を果たしながら言語発達を見た記録だ。異常な父親の方針で他の兄弟もいる中、小屋に閉じ込められた彼らはお互い以外の交流はほとんどなく、その交流も同じ部屋にいたとはいえすこぶる希薄であり保護した時点での獲得していた言葉はほんの僅かであった。その後の彼らは関係者の情報で知っているがとても幸せな人生を送っている。
この話はもっと広がっていい話だと思う。翻訳されていないのがあまりにも残念だが、人間の力というものを信じられる感動的な名著である。
ただし、読むには一定の専門知識は不可欠。それでも専門家でなくても第1章の様々な野生児例を書いた部分や、愛着に関しての章はとても面白く読めるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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