創造的論文の書き方

著者 :
  • 有斐閣
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本棚登録 : 415
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641076495

作品紹介・あらすじ

本書は、創造的な論文の書き方について、著者の経験からいま著者があるべき姿と思っていることを書いた本である。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽への見立てや様々な例え。本当に分かりやすく腹落ちする。論文だけでなく書籍を書くにもこの本の知見を活かすのが良いと思う。何度でも読み返したい。

  • 【創造的論文の書き方】

    ・佐々木さんにお薦めいただいて読了
    ・論文を書く機会は院に進まない限りないかと思うが、普段の業務においても大切だと覆う点をいくつか挙げる

    ①「アマは自分のために文章を書く」「プロは相手のために文章を書く」
    ②仮説とは、発見したりどこかから降ってくるものではなく、自分で育てていくものである


    ■①「アマは自分のために文章を書く」「プロは相手のために文章を書く」
    ・つい自分の仕事ぶりや労力を分かってほしくて、本筋から外れた情報や内容を文章として書き表してしまうことはよくあること。本書は論文の書き方であるとはいえ、提案書や報告書においてもこれは当てはまるか


    ■②仮説とは、発見したりどこかから降ってくるものではなく、自分で育てていくものである
    ・佐々木さんが「示唆を通して顧客に価値を与えるのがコンサルである」と発言されているが、この内容の通りかと思う。どこからか降ってくるような奇抜なものではよい示唆とは言えず、没になる概念や情報を繰り返し吟味しながら生み出す示唆をいかに自分からひねり出せるか。
    そのために、学習の流れを絶やしてはいけないと思う(奥村)

  • 新人の部下に読ませたい。

  • 論文執筆や研究の方法について書かれた本は、最近ではわりと多い。ただ初版発刊当時は類書は少なかったのだろう。今日であれば、他のリサーチデザインのテキストと見比べて、よさそうであれば読むことを勧める。理由は、対話編・概論編において、比喩の用い方が独特なためだ。これは著者の所属する研究科で扱う細かい知識がある読者を前提にしているように見える。研究方法を説明する上での事例は、平易な方がよいと思う。その方が本書の本質である方法論を理解しやすい。ただし、付録である論文の書き方のメモには、一読の価値がある。修士論文の指導の際、ここに書かれている多くのことを何度も言われた。今では、そのとき論文を書いているから理解できたように感じる。

  • 【有斐閣】
    2001年12月発売
    四六判並製カバー付, 302ページ
    定価 1,836円(本体 1,700円)
    ISBN 4-641-07649-9

     論文の書き方とはつまるところ研究のしかた考えかたなのだ,という強烈にして当然のメッセージを,学生の悩みに答え,著者の経験を整理し,指導の現場からの手引きを開示してアドバイスする。ハウツーやマニュアルをはるかに超えて展開する,新・学問のすすめ。
    http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/4641076499



    【誤植】
     初版第11刷(2009.1.10)で確認。本書の「目次」に誤字。(p.vii)
    ×「理論と現実との間の行った来たり」
    ○「理論と現実との間の行ったり来たり」



    【目次】
    はしがき(二〇〇一年一〇月一五日 伊丹敬之) [i-v]
    目次 [vi-xiii]

    創造的論文の書き方とは 001

    対話編 若き弟子たちの悩み009

    第1章 研究するということ 010
    考えながら歩きまわれば、犬も棒に当たる
    思考実験の回数を増やす
    見えない構造を意識する
    面白いことを追う、不思議なことを探る
    「不思議」と理論志向
    まず、風呂に入る
    どの風呂に入ればいいのか
    あめ玉をポケットに入れておく
    知れば知るほど目が曇る
    何が原点なのかの不動点
    曇った眼鏡の拭き方――理論の貢献
    整理ダンスの作り方
    理論が眼鏡がゆがませる
    「説明できた」とはどういうこと
    説得の三つの方法
    論理重合体合成法のむずかしさ
    精度を合わせる
    精度を無視して強引な結論を出す人々
    理論と現実(データ)との間の行ったり来たり
    一粒で二度おいしい――いい本とは何か
    良い理論とは何か

    第2章 文章を書くということ 064
    プロは舞台裏を見せない
    レポートと論文のちがい
    人はリニアーにしか読めない
    烏の目と虫の目をもつ
    書くことが論理を刺激する
    締切りのない原稿は書けない
    言葉にするといい加減さがよく分かる
    私の文章修業
    文章が論理をドライブする
    概念の厳密な定義は、自分にとって大切
    オーバー・ジェネラリゼーションの諫め
    五○○年はもつテーマ――夢を広げる
    自分は何の一部かを考える――結論の飛び方

    第3章 考えるということ,勉強するということ 101
    舞台裏から表舞台へ出る――研究とはなにか
    大きく深く考える
    一○年はもつテーマを選ぶ
    本は読むべし、しかし読まざるくし


    概論編 研究の仕方,文章の書き方115

    第1章 テーマを決める 116
    第1節 テーマ探し 116
    京の町家の部屋さがし
    論文のテーマ探しのうろうろ
    入り口は狭く、奥行きは深く
    う思考実験をスピーディーに多く
    不動点を意識する
    第2節 「いい」テーマとはなにか 129
    不思議なこと、せめて面白いこと
    一言で言える
    少しの無理
    一○年はもつ

    第2章 仮説と証拠を育てる 138
    第1節 育てる 138
    起承転結、しかし行きつ戻りつ
    仮説と証拠――論文の中核
    なぜ「育てる」なのか
    一寸の虫にも五分の魂
    第2節 仮説の育て方 148
    仮説の萌芽はどこから?
    現実からの出発
    三つの「現実のまとめ方」
    仮説の源泉
    萌芽から育つまで
    仮説と証拠の螺旋掘り下げでの注意点
    第3節 三つの証拠、三つの説得法 164
    三つのタイプの証拠
    データという証拠
    厚い記述という証拠
    論理という証拠
    三つの説得法
    観察結果法と演繹論理法
    論理重合法
    第4節 現実と理論の往復運動のコツ 177
    往復運動こそが鍵
    言葉を大切に使う
    手を動かす
    中空の観察者
    理論を知る

    第3章 文章に表現する 186
    第1節 表現する 186
    育った樹を描く、それも一次元で
    部品と全体
    アマチュアは自己中心、プロは他人のために書く
    自己嫌悪との戦い
    第2節 幹と枝、根と葉 
    幹は一つ
    枝は枝として、きちんとつける
    根も葉も用意する
    あめ玉を残しておく
    第3節 順序と流れ、つなぎとまとまり 
    描写の順序と流れの三原則
    問題意識とイメージの共有を早く
    つなぎの工夫こそが鍵
    まとまり感と美しい姿の美的感覚
    アウトラインの準備から文章の書き始めまで
    アウトラインと文章の流れの微妙な関係
    第4節 章が論理をドライブする 
    書くことは考えること――四つのキーワード
    文章は正確に、つながりを意識して
    ドライブすることと滑ることのちがい

    第4章 止めを打つ 223
    第1節 止めを打つとは 223
    エンディングであり、結節点
    まとめと三つの案内図
    「はじめに」は、止めを打った後に書く
    第2節 望ましい「止め」とは 230
    止めの距離感と展望感
    オーバー・ジェネラリゼーションの危険
    自分の研究は何の一部だったのか
    誠実に大風呂敷を広げる
    宙を見すえて考える

    第5章 小さな工夫,ふだんの心がけ 241
    第1節 小さな工夫 
    小さな工夫、ふだんの心がけの大切さ
    刺激と整理のために
    集中と助走のために
    見切りと相場感のために
    道具を使う動物としての人間
    第2節 ふだんの心がけ
    「エルーシブ」へ立ち向かう基本スタンス・
    本質は何かをつねに考える
    狭く入って、深く掘る
    烏の目と虫の目を、使い分ける
    スピーディーに思考実験する
    言葉を大切に使う

    付録 論文の書き方について 伊丹メモ[統合版] 271
    I  修士論文の性格付け 271
    II  論文の基本的性格 271
    III 論文の貢献の三つのパターン 273
    IV 概念の表現、定義の正確性について 274
    V  第一稿と最終稿 276
    VI 論理の流れと全体像 277
    VII 文章の書き方について 280
    VIII 論証の際の落とし穴 282
    IX 「論拠の提出」と「発想のきっかけ」の説明について 283
    X  データの取り扱いについて 284
    XI 「現実」との関係について 284
    XII 脚注と参考文献 285

  • 伊丹先生のアナロジー(眼鏡とか風呂とか)たっぷり。論文作成だけでなく資料作成や思考プロセス強化にも使える本だと思います。
    特に印象に残ったのは以下。

    ・説得の方法にはデータ、分厚い記述、精緻な論理(演繹的な)がある。
    →データでの仮説実証を絶対視するのではなく、様々な方法を組み合わせていくのが社会科学には求められるのでは。これにより既存研究の見方が変わった。気をつけよ。
    ・複眼的な思考(大きく狭く考える)
    →大きな視野を持ちながらも深い論理を展開していく。同時ではなく使い分け。
    ・書くことで思考をドライブする
    →見えることでインスピレーションを受ける。公的に考えることで論理のつながりに配慮するようになる。

  • 社会学系の大学院や学部の学生を対象に書かれた論文の書き方の心得。

    社会学系の論文を書くことに関し、前半はゼミの卒業生との対話として、後半はそれを整理した概論として、「研究の仕方」、「文章の書き方」としてまとめている。

    好みもあるだろうが、後半の概論が読みやすい。ただし本書は、論文にまつわる心得、もしくはエッセイに類するものである。本書を読めばそれだけで論文が書けるというものではない。それは他のHow To本や達人の書いたものと同様であり、ことさらに本書に非があるわけではない。

    「よいテーマ」とは何か、「仮説」を育てていくプロセス、論文としての「現実」のまとめ方、それを「文章として表現していく」上での心得や「文章化する価値」など、なるほどと思う読者も多いのではないかと思う。特に私は、論文の終わらせ方についての、「『止めを打つ』ということが大切さ」と「望ましい止め」についての部分に共感した。「望ましい止め」とは、未来への拡がりを述べるというよりは、より大きなものの一部であることを述べるとよいという主旨の主張である。

    「宙に目をやり、自分のしたことが何の一部だったのか、振り返る」

    それは、創造的論文以前に、大人の態度としても美しいではないか。

  • 本棚を整理してたら出てきた。けっきょく読まずに論文書いちゃって、なんのために買ったのやら。というか買ったことすら記憶にないぞ、いつ買ったんだ。
    著者と院生とが論文について議論する対話編と、テーマの設定から論文のかき揚げまでをまとめた概論編の2つのパートに別れる(それと付録の論文の書き方メ
    対話編と概論編とは重複する部分も多くて、概論編のほうが当然にまとまっている。
    ただ、大事なのは概論編よりも対話編のほう。初めて論文を執筆することの困難は、完成された成果物=ゴールの想像つかなさと、それに至るプロセスの想像つかなさがあって、後者のほうが難しいように思う。前者は他人の論文を読めばぼんやりとはいえ想像できるのに対して、後者はどこにも出ていないからどうにもわからない。
    で、本書において、概論編は成果物であり、対話編は概論編を生産するためのプロセスの記録という対応関係になっている。あくまでも著者と院生の議論であり、研究のプロセスとは異なるものの、通常は表側には出てこないプロセスの部分が開示される(本として成立した時点で成果物であり本当のプロセスは別にある、というのは置いとくとして)。あー、こういう思考・検討のプロセスを経て、概論編にたどり着くのね、というところがなんとなくイメージできる気がするのは少しだけ安心感を与えてくれる。

  • 創造的論文とは、意義があることを説得的に伝える論文のこと。細かく言えば、仮説の発想と論証の創造性が高いということです。
    この本は、創造的な論文を書く段階に至るまでの考え方を提示してくれます。

    創造的論文は最後まで創造的です。読んだ人が未来の展望が描けるような終わりです。それは、仮設の発想の段階がしっかりしていないと出来ません。仮説を発想するためには、理論と言うメガネによって現実を捉える必要があります。
    「仮説と論証の螺旋」というものが、とても重要なキーワードだと思います。

  • 研究者が論文を書く上で多くの示唆を与えてくれる。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授。1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了(Ph.D.)、その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て、2017年9月より現職。この間スタンフォード大学客員准教授等を務める。主な著書に『マネジメント・コントロールの理論』(岩波書店)、『経営戦略の論理(第4版)』(日本経済新聞出版社)、『人本主義企業』(筑摩書房)、『日本型コーポレートガバナンス』(日本経済新聞出版社)、『場の論理とマネジメント』(東洋経済新報社)、『よき経営者の姿』『イノベーションを興す』(いずれも日本経済新聞出版社)、『人間の達人 本田宗一郎』『高度成長を引きずり出した男』(いずれもPHP研究所)、『日本企業は何で食っていくのか』『孫子に経営を読む』『難題が飛び込む男 土光敏夫』(いずれも日本経済新聞出版社)などがある。

「2018年 『なぜ戦略の落とし穴にはまるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊丹敬之の作品

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