- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641076808
感想・レビュー・書評
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リブ、フェミ、というところから、じゃぁ本を読みましょう、となったとき、どうしてアメリカやフランスの話ばっかりなの、となってしまうことがある。この本では、リブやらフェミやらが、「日本では何のことをそういうのか」というのがわかる。ただ、なるほど、じゃぁフェミニズムって何よ、となったときは、「いや、この本は歴史の本だからね、理論は他の本を読んでね」ってことになってしまう、というのがなんとも。そしてこれが男性の手で世に送り出されたことはいろいろな意味で考えどころ満載だ。日本のフェミニズムがこの人にこういうものを書かせるものだった、とも言え、じゃ、なんで当事者だった女性はこういうものを書かずに、海外のフェミニストの紹介ばっかりしているの、という問いもまた沸き起こるから。
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「フェミニズム」って、好きですか? オトコが「フェミニズム」いいねっていうとモロ偽善者って感じだし、オンナが「フェミニズム」だと、なんかモテそうにない感じ(失礼)。でも、終戦後に社会がどう変わっていったかということを考えるとき、「ウーマン・リブ」とか「フェミニズム」とかの「思想」は、避けては通れないもの……ですよね。
ところが、この分野の歴史書は、この本が出るまで「なかった」んです。ほんとです。「社会学」としてはあったんですが、「歴史」という視点からの仕事はほぼないに等しかった。やっぱ難しかったんでしょうね。なまなましい話だし、いろいろ面倒そうだし。変なこというとすぐ噛みつかれそうってイメージありませんか? その困難な仕事をずっとやってきた人の、まさに労作です。
歴史というのは、現状改革のツールとしてすぐに役に立つ学問じゃありません。つまりこの本を読んだところで、手っ取り早く「フェミニズム」の論客になることはできません。
じゃあ、この本を読むことで、何を得られるのでしょうか? まず、今ある「女性」というイメージそのものが、戦後どのように作られていったのかという過程を知ることができます。そもそも「女性」という言葉が、ウーマン・リブとともに生まれてきた、なんてことから書いてあります。次に、いまは「当然」と思っている「女性の権利」が、どのような試行錯誤・戦い・妥協の結果として生まれてきたのかという由来を知ることができます。「セクハラ」という言葉ができるまで、そういう概念はなかったんですから。そこに至るまでには、いろんな道のりがあったのだと。そういう「道のり」や、枝葉を含めた試行錯誤を、この著者は注意深く追い続けています。この視点が「歴史」というものの見方そのもの、と感じられます。
本の作りとしては、横書き・左開きで、まんま教科書です。歴史学の本を読み慣れてない人にとっては、読みづらいところもあるでしょう。でも、がまんして、さいしょの一節(■主題としてのフェミニズムへの動機)だけでも読んでみてください。このテーマに対する著者の「愛」が感じられます。もうなんだか、カッコイーです。なんつったって、語り口がいいんですよ。この著者の、ていねいな、真摯な、そして豊かな日本語の使い方は、歴史学という分野のなかでもひときわ際だっていると思います。
この本は「近現代」の「思想史」「女性史」の研究書として長きにわたって参照される本となるでしょう。そして、そこにとどまらず、現在を生きる私たちにとって知的な驚きと、発見を与えてくれる名著であると思います。
(以上、2004年のmixiのレビューからの転載です。が、あまり手を加えるより、読んだときの思ったままを残したかったので、ほぼそのままとしております) -
■現代日本におけるフェミニズムの歴史がさまざまな名もなき運動家たちから浮かび上がってきて面白い。
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今年のゼミの使用本。
目からうろこがでそうなぐらい目新しかった。おもしろい。