統計学入門 (有斐閣新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641090613

感想・レビュー・書評

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  • 有斐閣書店の良質なる、有斐閣新書の一冊です。岩波とやり合えるのはここくらいかしら?などと思いつつも、岩波よりもむしろ質は高いと思います。統計なので計算式ばかりを予期していたのですが、むしろ文字ばかり。というのも、統計には一般的に言うと、二つあるらしく、一つ目は「社会科学における統計」で、もう一つは「数理科学における統計」であるようだ。社会科学における統計はいわゆる経済学で用いられる統計で、数理科学はいわゆる自然現象を捉える際に使われるもので確率分布なんかに重きを置いている。前者と後者の違いは、いくつかあるが、本著で執拗に述べられているところでは、前者はまず対象が有限であるということであり、後者は無限であるということ。人口は有限だけれど、世界中にどれだけ鮪がいるとか、朝顔があるとかなんてことはわからないわけで、そこからして違う。それゆえに、後者では一本の朝顔を選択しても、それはランダムな確率によって計算されてよいが、前者ではそうは行かない。なぜならば、前者は明瞭な性格を持ちうるからである。例えば、賃金計算ならば、その選ばれた一人が、「経営者なのか、雇用者なのか、公務員なのか……」などでかなり条件が変わってくるからである。また、いわゆる社会科学における統計では、そこで言われている賃金とは具体的にはどういった定義なのか?というところまで考えなければその統計の意味を理解できないどころかむしろ誤解してしまいかねない。我々は統計は正しいと思いがちだけれど、こと社会科学的な統計の場合は、理論がまず最初にあり、それがもっとも重要なのでその部分を無視して結果だけを見ようとしても、いけないというかむしろかなりまずいということ。また、統計における、数値の相関性なんかについても検討しなければならない。出生率が、全人口と出生者数の比率なんかで計算されるけれど、確かに言われて見れば両者の数字には相関性なんかないよね。一見あるように思われるけど、しかし実はない。それよりも、妊娠能力のある女性と出生数とかで計算した方がよほど意味のある統計がとれる。とはいえ、では数理科学的な統計はどうなのかと言うと、そこにもやはりその意味がただ数学的な意味のない数字を表わしていないかの検討が必要となるのだろう。本著の執筆陣はどうにも経済より(社会科学的)の人が多いらしく、それは本著の内容ばかりではなくて、本著が入門経済学シリーズの一冊であるらしいことからも見て取れる。個人的には科学サイドの統計の知識を得たかったのだけれどそれに関しても一章割かれていたのでまあよしとする。本著執筆陣は、数理科学担当者以外は、みなかなり社会科学統計を持ち上げているが、しかし実際のところは両方必要なのだろう。両者にはそれぞれ長短があるし、両者ともに優れた測定法の一つであることは間違いなく、しかし同時にそれらは部分的にしかその特質を明らかにしてはくれないというのもまた事実なのである。統計を行うときには、全てを鵜呑みにせずに、あらゆるリスクを計算し、それぞれの用語がどういう定義で使われているのかをしっかりと把握しておく必要があるだろう。一般的な統計入門書は計算法ばかり伝授しているのだろうけれど、こちらはむしろ理論重視なのでかなり参考になった。統計を学びたい人にはお勧めの一冊と言えよう。

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