- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641122659
作品紹介・あらすじ
人類学の新たな地平を切り開くための研究法テキスト。フィールドワークとエスノグラフィー的手法-質的データの収集と分析により、複雑化する現代社会を観察する。
感想・レビュー・書評
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いままで多くのフィールドワークの本が、日本以外の発展途上国の異なる民族の調査であったのに対し、この本では日本内あるいは現代の企業での実践になっているところが大いに役に立つと思われる。
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『現代人類学のプラクシス--科学技術時代をみる視座』
山下晋司 (東京大学教授)
福島真人 (東京大学助教授)
2005年10月発売
四六判並製カバー付, 314ページ
定価 2,052円(本体 1,900円)
ISBN 4-641-12265-2
有斐閣アルマ > Advanced
科学技術,ライフサイクル,産業,教育/学習──人類学の新たな研究テーマを提示するテキスト。卒論・修論に取り組む学生に最適。フィールドワークという質的研究法により複雑性を増す現代社会を鮮やかに読み解き,エスノグラフィックな研究の魅力を伝える。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/4641122652
【主要目次】
序論1 人類学をシステムアップする=山下晋司
序論2 科学技術時代を観察する=福島真人
I テクノサイエンスを観察する
1 自然・リスク・災害の人類学=木村周平
2 工業のエスノサイエンス=森田敦郎
3 大規模集積系科学技術=上野彰
4 「情報社会」のエスノグラフィー=木村忠正
5 高信頼性組織研究からみた救命救急センター=福島真人
II 制度の中の生(bios)
6 「障害」が作られているとき,「障害」が壊されているとき=猪瀬浩平
7 制度を生きる/制度を観る=福島真人
8 老いることの民族誌=高橋絵里香
9 死を看取る技術=服部洋一
III 産業と開発のエスノグラフィー
10 葬儀の産業化=田中大介
11 ホスピタリティ産業への経営人類学的アプローチ=市野沢潤平
12 組織文化と組織学習=古賀広志
13 観光における自然の資源化と環境保護=堂下恵
14 開発のための新たなプログラム=関谷雄一
IV 学習というプロブレマティーク
15 学習する身体=工藤正子
16 多民族社会における学校・言語・知識=渡邊日日
17 教育を再文脈化する=清水拓野 -
個々の専門分野における人類学の実践(プラクシス)集。でも、人類学の実践は、もっと卑近な、例えば職場の人間関係とかの方により訳にたつんだよね。
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その昔は未開社会に出かけていた人類学が、現代ではどのようなフィールドで活躍しているのか概観できる本。
災害、工業、緊急救命センター、ホスピスなどなどテーマ・フィールドは多岐に渡っているので、フィールドワークに関心を持っている人はどこかに縁があることでしょう。
中でも葬儀絡みの話は面白かった。
こういう「知らない世界を知る」という快感は凄く素朴で、もしかするとよろしくないのかもしれないが、人類学の持つ武器の一つなのだろうなぁ。
紙幅の都合からか、エスノグラフィーの部分がやや抽象的というか、無味な論文がいくつかあるように思われる。「分厚い記述」を旨とする以上、短く表現すると避けられないことなのかもしれないが、ちょっと物足りない。そのへんが残念。
フィールドワークによって得られた情報がどのようにして「知見」としてまとめられていくのか、フィールドワークに何が出来るのか、それぞれのフィールドにおける課題は何か。そういうことを知りたいときにはヴァリエーションに富んだ本書が役立つことでしょう。
序論の部分が一番理解しやすかったのは気のせいか。