- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641123885
作品紹介・あらすじ
私たちの「感情」を解明しようとすること、それは「人間とは何か」という問いへの終わりなき探究にほかなりません。生物学的基盤/機能/進化/認知/発達/言語/病理/健康という切り口から、これまでの研究知見を体系的に整理し直し、感情心理学の到達地点を示したテキスト。
感想・レビュー・書評
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感情の発生について体系的にまとまっている本を求めて有斐閣アルマの本書を手にとった。
網羅的なだが抽象的で図による説明などが少なめだった。
個人的には感情のメカニズムに興味があるのであれば、脳科学や、進化心理学の本を個別に読んだほうが興味深く読め深い理解につながると思った。(前者は池谷教授の「図解・脳と心の仕組み」新星出版社等、後者はスティーブン・ピンカーの「心の仕組み」ちくま学芸文庫等)
興味深かったのは以下の2点
うつの適応的意味
社会競争仮説:うつになることで、社会的に低い地位でも受け入れられるようになる他者への服従のシグナルとして機能する。(あんまりな話だがよく分かる話ではある)
社会的リスク仮設:自分が社会に及ぼす負担が自分の社会的価値を上回った場合に生じる。脅威に敏感になり、リスクを高める行動を抑制することで生き残る。
産後うつ:子供にかける手間を減らすため(赤ん坊は手がかかりすぎるのに対しエネルギーは有限)、他の血縁者による補助を促すため
(これはカートライトの進化心理学入門にも同じようなことが書いてあった。)
セリーグマンのポジティブ心理学
マーティンセリーグマンは、20世紀までの心理学が人間の障害、病、弱さに焦点をあてたものだったが、これからは人間の優れた部分やポジティブな部分にもフォーカスすべきだと述べた。これがポジティブ心理学。誤解されやすいが、ポジティブはネガティブよりも優れているという価値判断に基づいてポジティブな面のみを取り上げようという取り組みではない。それ以前の心理学がネガティブに偏っていたことに対する批判として出てきたものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
入門の割りには敷居が高い。全体を通して学術的な書面で、
前半の脳の話などはかなり読みづらいと思いました。
なので斜め読みしました。
これを授業で使うことを想定しているみたいですが、
学生の自分だったらこのまま授業されたら間違いなく寝る。
4章の「感情と進化」の話あたりからが面白かった。
感情を適応機能と考える。
「うつ」を他者への信号として社会的操作のひとつと考えたり。
「配偶者選好」
・男は性的不貞を嫌がる
→生まれる子どが自分の子だと確証が取れないため
・女は心的不貞を嫌がる
→自分への支援が打ち切られるほうが問題
「互恵的利他性」
「裏切りを許さない」仕組みが必要で、
好き嫌い、道徳、同情、裏切り、罪悪感、正義感などが
それぞれ裏切りを防止する
「感情の社会的共有」
自分の感情経験を人に話したいという欲求を持っている。
逆に抑制することはNG
自らの経験した感情や思考を語る作業こそがカウンセリング。
筆記することもプラスに働く
・抑制によるストレス負荷の軽減
・経験への洞察。記憶の再体制化。
うつの治療に関して
ポジティブシンキングではなく、
・視点がいくつも存在すること
・現実的、合理的な解があること
「距離を置くこと」「脱中心化」
ポジティブ思考(楽観主義)の方が長生きで健康でいられる。
ネガティブ思考(悲観主義)の方がより痛みを感じやすい。 -
講義でも使っていた本。
薄く広く感情心理学について扱った一冊。
足りない部分は講義にて補っていたので、入門書としては丁度良いか。 -
感情に関する広範な議論をまとめた一冊。
広範なだけあって、どこかしらの分野では新たな発見があると思うが、200頁程度となにぶん薄いので、議論の入口のみで、内容がぺらっぺらなのは否めない。
最終章のポジティブ心理学については、紙数の関係からか、相関を因果のように記述しているように見受けられ、ストレスが溜まった。 -
1795円購入2011-02-09
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感情についての心理学。
専門知識がなくても読みやすく、各章ごとに綺麗にまとまっている。
各章ごとの学習文献案内や、巻末の参考文献一覧と索引もわかりやすくて良い。 -
難しいけど参考になりそうな本です…
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入門書という意味ではわかり易くて良かったが、内容としては少し物足りなさがあった。