法学を学ぶのはなぜ?

著者 :
  • 有斐閣
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本棚登録 : 154
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641126206

作品紹介・あらすじ

「法学ってどんなことを学ぶの? 法律とか,条文…とか。なんだかつまらなそう…」
わかります! でも少しだけ,この本を開いてみて──。「ことば」を通して社会を変えていく,そんなダイナミックな法学の世界,その魅力をお届けします。

感想・レビュー・書評

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  • <東北の本棚>難解なイメージを覆す | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
    https://kahoku.news/articles/20210418khn000014.html

    法学を学ぶのはなぜ? | 有斐閣
    http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641126206

  • 高校関係者向けに、道具主義的考え方に基づいて、法を社会目的を達成する手段と説明する。立法論における醍醐味を、最善の策(ファースト・ベスト)ではなく複数の次善の策(セカンド・ベスト)のうち、どれが最もましか折り合いをつけながら決めることにあるとし、社会のルールの設定=インセンティブ付与の際には、達成目的・利害関係人の行為予測の重要性につき面白い具体例を挙げて説得する本書は、解釈学よりも立法論への魅力が光る。社会的ルールには法以外にもお金やフリマアプリによる評価などがあるとして円滑な契約ができる要因分析も興味深い。

    法学研究を、独自のディシプリンを持たない特徴があるとして、他の科学の成果を利用する、それ自体は非科学的なものとの説明もあり、この点、研究者により捉え方は変わると思うが、高校生が進路を選ぶ上では有益な指摘であると思う。高校生向けに書かれた本書は、ややもすると法学部進学=法曹を目指すと思われがちな中で(特に昨今の法学部・法科大学院5年一貫制度など)、法学というものが解釈論や法適用のみならず立法論や社会にあるルールを見直す視点を学ぶ点も見落とされてはならないことを理解できる本書は、貴重。

    近年問題視されている、ブラック校則がなぜ生まれてくるのか、ブラック校則が不合理なルールなのか、あるいは校則をいかに作っていけばいいのかについても具体的な説明があり、ブラック校則について関心がある人にもおすすめ。本書の見解が法学の全てを説明しているわけではないということを前提に、法学について知りたい人や既存の法律との向き合い方に悩む人にもおすすめしたい。法分野横断的に法というルールを客観的・俯瞰的に見ていく姿勢は、筆者が社会科学やデータサイエンスを方法論として法を分析する研究をしているからだろう。

    法学研究でも客観法分析や法と経済学による研究が盛んになってきており、法の分析手法の多様化は望ましい社会作りに有益だ。その反面、思わぬ弊害を生まないためにも、これまで主流であった権利論や主観法の分析がどのような意味と機能を持っているのかを前者の議論の俎上に載せるために積極的に論証しなければいけないとも思う。

  • こういう類の本では、今まで読んだ中で一番面白かった気がする。自分も法学を学んだ人間としてこんな内容が説明できるとかっこいい。「法はツールである」というのを軸にして、法学の各所で得た様々な方法論や考え方が綺麗に整理されていく感じ。

    法ルールは「ことば」を使い、インセンティブの設定を通じて人々の意思決定や行動をコントロールし、社会で一定の目的を達成するためのツールである。

    ただ、どうしたらよりよい解釈、立法、適用ができるか、その「よりよい」が何かを判断するためのツールは法学の中にはなく、法律以外の学問分野の知見(ディシプリン;方法論とも言っていた)を得ることが不可欠だというのは、本当にもっとも。自分も肝に銘じておきたい。

    多数説・少数説・通説・有力説、っていう支持者の多寡で考え方の望ましさが変わるという概念からして科学でない、って指摘は、えっ、って思いから、確かに、と…。

  • まだ法学部に行くとは決めていない高校生を対象にして、法ルールとはどんなものか、法学を学ぶとはどういうことか、を述べた本。
    法学部の1年生向けのガイド本とかはよくあるが、その前段階のもので、珍しい位置づけのもの。

    そういう位置づけのせいもあるけど、恐らくは著者の資質によって、数学や医学、あるいは他の学問分野との比較をしながら話を進めていく。これは大変おもしろい。
    ・数学で公式や解法を学んでもそれだけでは問題は解けないので問題演習を積み重ねて「どの」公式や解法を使うべきかを会得するように
    ・法曹実務家になるためには問題解決のために「どの」法ルールを用いるべきか判断できるようになる必要がある
    とか。
    あるいは、患者と対話したり検査をしながら病因を診断していく医者と、依頼人の話の中から法的に大事なポイントをつかんで適切な法ルールの適用を考えていく弁護士は似ている、と。

    高校生に対して法学部を強くプッシュするというよりは、さまざまな学問分野の中での法学の位置づけを述べながら「興味があればどうぞ」という感じになっている。
    これは、ある程度の読解レベルと志向のある人を誘うものになっていて、「でもしか法学部生」を忌避する作戦になっている。

    ところで、著者の資質と書いたが、もっと明確に自身を「データ大好き人間」と述べている。
    実際、冒頭でニューヨーク市の駐車違反ルールの改正による影響を統計数値から図表化したり、福島県立大野病院事件が福島県の医療に及ぼした影響推計のグラフを載せている。
    さらっと載せていてキチンとした解説をしていないのだけど、森田先生の関心がこういう方向にあることはよくわかる(まあ知ってたのだけど)。

    法学と計量分析の連携は、日本ではすごく手薄になっているので、次回作でそっち方面を書いてくれることを期待している。
    なんか最近の森田先生は、古い犯罪統計の数値をチクチク検証しているようなので、その成果を期待している。

  • 法学全般の入門書は数多くありますが、以下の指摘が印象的でした。法学に感じていたモヤモヤが少しクリアになりました。
    ・法学にはディシプリン(ある学門分野に特徴的な方法論、分析手法)がない
    ・法学は「ことば 」を中心においている

  • 法ルール(実定法としての法律並びにデファクトスタンダードとなっているルールの総称)が何のために存在し、どのように運用され、そしてどのように作られるか、ということがコンパクトではあるものの、非常にわかりやすく体系的にまとめられているものであった。

    「法ルールとは、人間のインセンティブに働きかけ、行動を変えることによって社会をよりよく・円滑にするためのツールである」という根本的な基礎に立ち返り、なぜその法律が必要なのか、それが機能するためにはどういう要件が必要なのかといったことを具体例を交えながら述べられていてイメージがしやすい。
    法ルールは要件と効果からなるが、その過程には、具体的に要件が何なのかを考える解釈のプロセスと、何をもって要件が成立していると考えるかという適用のプロセスがある。
    上記のとおり法ルールは社会を円滑に進めるためのツールであるが、社会は時々刻々と変化しており、必ずしも法ルールが定められた時代背景が今(および今後)も続いているとは限らない。そんなときに上記の解釈と適用を駆使することにより、その時々に適した法ルールを最大限発揮していくことができる。

    また、「法学」というもの自体にも焦点を当てられており、「法学」はディシプリン(その学問を取り扱うにあたっての科学的方法論)を持たない学問であることが書かれていた。そのため、「法学」は、学ぶ対象(民法とか刑法とか)を決めた上で、ディシプリンはほかの学問(数学、経済学、心理学等といった、科学的アプローチをもつ学問)を援用しつつ学ぶ姿勢、すなわち学問をまたぎながら多角的に学んでいく姿勢が必要とのこと。
    ディシプリンという概念が初見であったため、この部分は非常に興味深いところで当たった。

    上記のような内容が、わずか150ページ(本編だけでいえば130ページ)にまとめられており、非常に読みやすいものであった。
    最近は、売り上げが伸びるからなのか書籍のタイトルで『教養としての○○』といったものをよく見かけるが、本書にこそ『教養としての法学入門』というタイトルをつけたいと思えるような書籍だった。

  • 小樽商科大学附属図書館電子ブックへのリンク
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000098318

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  • 【内容紹介】「法学ってどんなことを学ぶの? 法律とか,条文…とか。なんだかつまらなそう…」
    わかります! でも少しだけ,この本を開いてみて──。「ことば」を通して社会を変えていく,そんなダイナミックな法学の世界,その魅力をお届けします。

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000943504

  • 大学に入学する前に読んだ。難しすぎることはなく軽く読めた。法ルールとは何かという所からしっかりと説明してくれて入学前に読めて良かった。大使館の車の駐車についてグラフがあったが、日本はルールがあってもなくてもさほど変化はないのが面白いと感じた。また試験の例題の説明がとても面白く、自分もこれからこのような勉強をしていくと考えるとわくわくした。

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著者プロフィール

東北大学大学院法学研究科教授

「2018年 『支払決済法〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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