- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641149076
作品紹介・あらすじ
ある政治現象が起きた時、人はさまざまにその原因を推論する。その際、印象論ではなく、現状を客観的にとらえ、なぜその現象が生じたのかを経験的・実証的に分析するには、どのような作法に従えばよいか。一見、実証的にみえる分析の落とし穴に陥らないためには、どういった点に注意すればよいか。計量分析と質的分析に共通した方法とは何か。新たな理論・仮説を構築する方法とは?政治学のみならず、広く社会科学を学ぶ読者に向けて、身近で一般的な社会現象や政治現象を題材に、第一人者が軽妙洒脱に掘り下げて解説する。
感想・レビュー・書評
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選挙や民主化などを題材にした、統計的手法を用いた因果推論についての本。この手の本は色々読んできたが、これが一番良い。自分が政治学を勉強したきたこともあって、すごく読みやすかった。
1章 説明の枠組み
フォアボールを出すくらいなら、打たれた方がましなのか?
日本において国政選挙より、地方選挙の投票率が高いのはなぜか?
イタリアにおける州政府のパフォーマンスの際について説明する
日本のファシズムがナチズムとは違った形で成立した原因
2章 反証可能性
科学的に検討される仮説は反証可能性を持っていなければならない
反証可能性がない例:金星は自分の意思で動いている
〇因果関係が成り立つ条件
1.独立変数と従属変数の間に共変関係がある(5章)
2.独立変数の変化は、従属変数の前に生じている→時間的先行(6章)
3.他の変数を統制しても、共変関係が観察される(7章)
◯文化論的説明の論理的問題
分析の際、「〇〇人はしがちだ」のような無意識な文化的先入観には気をつける
1.ステレオタイプ
字の通り先入観
2.N=K問題
N(説明されるべき事例の数:従属変数)=K(説明の数:独立変数)となる場合、1つの原因に対し1つ結果が生じることになる
3.トートロジー
結局言ってることは前後同じ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【談義から議論へ】政治を学び,そして語るにあたり,ついつい見落とされがちな方法論を取り上げた作品。理論的な政治分析とはいったいどういうことなのかを,多角的な視点から,豊富な例とともに紹介しています。著者は,早稲田大学で教鞭を取り,講義の際も関西弁の久米郁男。
政治,しかもその方法論と一聴すると,何か小難しく退屈な話になるのではないかと思ってしまうのですが,その心配がことごとく覆された一冊。著者の個性を反映した面白く身近な話題を手掛かりとして,方法論という見過ごされがち,かつ重要な側面の奥深さを垣間見ることができました。
〜クッキング・マニュアルは重要だけれど,それを使いこなす熟練がなければこの料理は作ることができない。方法論とはそのようなものなのだろう。〜
自分も久米先生にはお世話になりました☆5つ -
【星:3.0】
私には読むのが早すぎたかもしれない。正直あまり頭に入ってこなかった。
サブタイトルに「政治分析方法論のすすめ」とあるが、この本は一般的な「因果推論」について語られており、具体例として政治の話は多いものの、決して政治分析方法論に限定された内容ではなかったと思う。
いずれにしても私には難しかった。 -
政治学だけでなく社会科学全般にわたる。
統計学、リサーチデザイン、リサーチメソッドの格好の入門書。
タイトルにあるとおり、原因を推論する=社会の真理、法則を探求する方法を語った著書である。
クリティカルであるとはどういうことかを体感として学べると思う。 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001013522
【電子ブック】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/8000068263
■(一橋大学の方へ)電子ブックの本文を見るには、上記リンク先の「本文リンク」をクリックしてください。
三隅隆司先生(図書館長/経営管理研究科)推薦 -
★電子ブックもあります!★
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000016365?4
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/412993 -
具体例が多く分かりやすいが、分かった気になってしまうところがある。いざ自分で実践する時には、分かった気になっていたところが分からなくなる。
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制作を決める判断の技術(テクニック)があるんだなと。
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政治現象の原因を経験的・実証的に推論するための方法論を解説。
様々な政治学等の研究の事例を紹介しながら、量的分析だけでなく質的分析にも目配りして、かなりわかりやすく政治分析方法論を解説していて、まがうことなき良書である。規範偏重の政治学者等への批判も痛快だった。