質的社会調査の方法 -- 他者の合理性の理解社会学 (有斐閣ストゥディア)

  • 有斐閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641150379

作品紹介・あらすじ

絶対にはずせないポイントにこそ、社会学のおもしろさがある!目の前にある現実を感じ、考え、言葉にする方法。

感想・レビュー・書評

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  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 質的社会調査、社会学の入門書である。大学院に在籍しながら、「調査」の仕方を勉強してこなかった自分にとって、とても良い入門書となった。
    ただそこにあるのは、ノウハウではない。「他者の合理性の理解社会学」と副題がついたことからも想像できるように、著者3名の経験に基づいて調査を通して同社会と関わるか、が書かれていて、教科書にありがちな無味乾燥さはない。読み物としても抜群に面白い。

    あとがきに「『社会調査』である限りは、人びととのコミュニケーションの中で鍛えられ、試され、厳しく批判される」とある。この一節がこの本全体を貫く思想になっていると思う。
    論文のテーマを再構築していこうとする中、非常に有意義な本であったが、それにはとどまらない、さまざまなことを考えさせられた。

  • 有斐閣なのでフィールドワークの教科書という位置づけであるが、研究者のインタビューの関わりがとても丁寧に具体的に書いてあるので、フィールドワークについて書かれた教科書の中で最も面白い本の一つである。
     質的調査の領域の説明をすべて網羅しているわけではないが、フィールドワークをどのようにすればいいのだろうかということについては、学部生から修士の院生、博士論文を書こうとしている院生まで全ての学生に役立つと思われる。

  • 社会学の質的調査:即ちフィールドワークや参与観察、生活史の聞き取りなど、数字や量にあらわれてこないものを調査する方法について、わかりやすく丁寧に論じた教科書。ふつうの教科書にありがちな抽象的・無味乾燥な書き方ではなく、著者陣の具体的な経験や研究に根ざして詳しく教えてくれるところが質的調査の本らしく、初学者への優しさと愛情のある本です(読み物として面白くて、読み始めると止まらなくなるかも……)。
    キーワードは「他者の合理性」。まったく理解できないように見える他者の行動でも、裏にはちゃんと事情や理由があって、ちゃんと合理性がある----フィールドワークやインタビューを通じて、それに接近し納得しようとすること。「質的調査に立脚する社会学の究極の目標は、他者の合理性の理解を通じて、私たちが互いに隣人になること」(p.34)なのだといいます。では、その質的調査はどんな風におこなっていけばいいのでしょう?
    社会学を志す人はもちろんですが、「社会学ってそもそも何なのか」「一体何をしているのか」という疑問を持っている人にもおすすめです。小説やTVのドキュメンタリーが好きな人なんかにも、発見があるかもしれません。論文の書き方、ブックガイドも充実。
    (文科三類・2年)(4)

    【学内URL】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000046035

    【学外からの利用方法】
    https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

  • とっても面白かった、知的興奮をありがとう。
    最も興奮したのは、自分が仕事やプライベートで楽しくやっている街歩きやフィールドワークが、実は無意識に社会学的方法をだいぶ実践できていること。
    何も習ってないのに自分でできすぎててビビッた。天性のフィールドワーカー なんですか!?

    大学院に行きたい気持ちもなおさら高まった。
    それからもちろん色々気づきもあった。
    以下備忘録。


    ☆社会学=私たちとは縁のない人びとの。一見 すると不合理な行為の背後にある 「他者の合理性」を誰にでも分かる かたちで記述し、説明し、解釈すること

    ☆社会は、複数の、お互い矛盾する「ゲーム」で 構成されている。それらが同時に進行して いる。社会学は、自分が参加しているゲームや 社会の主流派となっているもの以外の「もう ひとつのゲーム」の存在を明らかにする。

    思ったこと。「何者としてフィールドワークでふるまちか」と いう点、散かかれてるけど自分のばあい「記者」or「きょう みあって学びたい人」のどっちかを時によって自由に選 択してる。し、今までそれで不都合だった時ない。と思っている。ただP60の「フィールドにより対象との関係性 がちがった」というのは興味深い。もう少し自分でも意 識してみてもいいかも。

    社会学者は、記者よりも「取材の暴力性」ということに 圧倒的に真摯に謙虚にむきあってると思う。自分ももっと ←誰の、何のための取材か」「応じてくれた人の親切 心にどう報いることができるか」をきちんと考えよう。

    ・データ整理から疑問がうかびあがる」「矛盾の 存在にきづく」「おもしろいところ、半年徴的な ところをピックアップし、フィールドワークの焦点 をしぼる」「その際に、データはもちろん、先行 研究の中に位置づけることで問いを見い出す」
    ⇒それらの作業を通して、 結論に合わせて問いを作る。

    ☆「人々」ではなく、「人々の対峙する世界を知る」 「人々」を知るだと、人々の視点ではなくそれを分析 する分析者の視点で考えることになってしまう。「人々の対峙する世界」を知ることは、対象者を受動的な容器としてではなく、能動的な働きかけを行う 主体としてとらえることができる。(倉敷水島地区の女フィールドワークby中野卓の例)

    ☆人々の行為の背景にある様々な事情、経緯、構造的 条件や制約を記述し、その行為がどのようなプロセスで 選択されたかを理解する。それは無理解が生む 「自己責任論」の解体につながる。

    ☆生活史法=語り手が何を語ったか」「どう語ったか」、その語りを、統計データや履史的資料などをもとに「歴史構造」の中にいちづける。そしてその社会問題についての新しい理論を作る

  • 社会学の調査について丁寧に書かれている。
    フレームとその間の肉付けが、冷静と情熱の間を行き来しながら説明されているように思えた。
    最後にあるブックガイドと索引が、さらに深みを与えてくれる。

  • 社会調査の方法だけでなく、社会学全般についてわかりやすく書かれていて良かった。もっと早くにこの本を読むべきだったと後悔。

    以下、読書メモ
    面白いの軸の話
    自分と他人
    ゴシップ的面白さと社会学学的面白さ
    →バージョンアップができるか否か

    メモの重要性
    出来事のメモ(雑記メモ
    出来事から浮かんだ社会学的発想(論点メモ
    日記(気分を書く

    人ではなく、人の捉え方を見る
    「時間的予見」の問題としての貧困

    論文執筆
    理論を使う
    枝葉を切り落とす、一言にまとめる
    調べたことを書いても論文にはならない
    調べたことから何を考え、何を調べ直したのか

    「他者の合理性」
    枠組みを問い直し、対象を論じ直す
      ↕️
    「自己の不合理性」
    自らの行いが不合理である点を知り直し、通俗的なものの見方を問い直す

    「他者の不合理性」
    調べる前からわかっていることしか書かれていない

    調査の暴力性

    個人の生活史に耳を傾ける(語り)
    テーマである社会問題の背景知識を得る(歴史と構造)
    その社会問題についての新しい見方を獲得する(理論)

  • オーラルヒストリーの大事なところはそれが事実かどうかではなく、話した本人にとって心理的に本当だったということ。
    他者の合理性を会話を通して理解する。
    映画なども有効?
    事実を聞くことと、語りを聞くこと。
    どのようにその会話、生活史ができてきたかを分析する。
    調査は暴力である、その暴力性に向き合い、可能な限り常に問い続ける必要がある。

    語り、歴史と構造、理論の3つの間での往復が大切。

    経験の全体を解釈する。

    理論的先入観。

  • 2022年常設展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00529863

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著者プロフィール

岸政彦(きし・まさひこ)
1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院文学研究科教授。主な著作に『同化と他者化』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年、紀伊國屋じんぶん大賞2016)、『質的社会調査の方法』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣、2016年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房、2018年)、『図書室』(新潮社、2019年)、『地元を生きる』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021年)、『リリアン』(新潮社、2021年、第38回織田作之助賞)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021年、紀伊國屋じんぶん大賞2022、第76回毎日出版文化賞)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、2022年)、『沖縄の生活史』(石原昌家と監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023年)、『にがにが日記』(新潮社、2023)など。

「2023年 『大阪の生活史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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