- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641173910
感想・レビュー・書評
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統計に基づく自殺の社会的損失、予防策の効果を説明。2012年に日本の自殺者3万人を割った。毎年約130億程度の自殺予防対策関連事業費が投下されている。しかし、自殺者数が約6分の1の交通事故関連費用の約20分の1だ。
若者の死亡理由一位の自殺を社会全体で考えるべきではないのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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本書は自殺の要因と対策を社会経済状態から考察しようと試みたユニークな本である。一般には、自殺は心理学や精神医学、社会疫学などからの研究が多いとされるが、本書では経済学的、政治学的に見て自殺をどのように解釈できるか、そしてそれを実証的に分析してみると何が見えてくるかについて言及している。
海外では自殺の実証研究は今までもされてきたが、日本ではデータの制約などの関係から今まであまり行われてこなかった。そういった意味でも、本書はそのさきがけとなるべくチャレンジングな一冊と言える。実際、実証分析の内容を見ても、割と綿密性を追求するよりかは、意欲的に様々な分析にチャレンジしている姿勢が感じられる。
一方、その分研究の中身はだいぶ「粗い」。まず、分析結果の考察が全体的に非常に雑であったり、強引である。また、仮説に関しては、自殺に関する一般的な妄想だけで作ってるのではないかと思わざるを得ない部分がいくつかあって、説得力に欠けていたし、仮説という研究の根元が頑丈でなければ当然分析結果の価値も大した事は無くなってしまう。そういうところこそ、仮説構築の段階で学際的なアプローチを取る等して「科学的な」仮説構築をしてほしかった。
特に残念だったのが、本書は最後にエビデンスベースの政策の必要性を訴えているのにも関わらず、実際の実証分析は最初の仮説を指示させようと分析結果の解釈を強引に持っていっている点である。これは明らかに科学的ではない。しっかりと実証分析の結果に基づいた考察をエビデンスとした政策立案が望ましいのだから、そのお手本となるような結果の考察をしてほしかった。
というわけで、今後のさらなる改善が期待できる分野であると言える。 -
368.3||Sa
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新しくアンケート調査をしたのではなく、現在ある統計資料を組み合わせて回帰分析で自殺予防に役立つ資料を意図したものである。分析があるということで、評論家が適当な意見を喋るよりは確かな根拠がある。自殺について卒論を書くためには必要な本となるであろう。
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さまざまなエビデンス(統計資料)から、
自殺の実態に迫っています。
自然災害が自殺に与える影響は2~3年後に大きくなります。
まさに、いま震災による自殺への対応がもとめられています。 -
世界の国々の中で、8番目に自殺総数の多い日本。これはおかしいのではないかと思ったり、自殺について知りたかったりする人に読んでほしい一冊。個人の問題ではなく、社会問題として目をそらしてはいけない「自殺」について、今こそ考えてみませんか。
(教育学部 国語専修)
昨年度(2012)の日本の自殺者数は15年振りに減少し3万人を割った。自殺と聞くと心が重くなり、できれば関わりたくないことであるが、深刻な社会問題である。本書は日本の自殺について経済学や政治学から分析してどうすれば自殺者数を減らすことができるか考えさせられる一冊です。 (教育学部 国語専修)
多くの国で自殺が大きな社会問題になっている。世界で一日約3000人、30秒に1人が、自ら命を絶っていることになる。自殺はうつ病などが問題だとみられる。しかし、その背後には社会経済環境があると考えられる。どうして自殺してしまうのか、どうすればふせぐことができるか知ることができます。 (教育学部 数学専修) -
自殺と経済、政治、自然災害などとの相関について、統計データから考察した1冊。知人や友人が自殺によってある日突然去ってしまう。その時に感じた無力感とぶつけどころのない怒りのような感情を思い出す。環境的な要因は工夫次第で影響を小さくできるかもしれない。でも、彼、彼女にとって必要なのはそんなことではないはず。盲点だらけの私にはなかなかそこまで見えないのです。