知りたくなる韓国

  • 有斐閣
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本棚登録 : 187
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641174498

作品紹介・あらすじ

マスメディアでもSNSでも扇情的な紹介がされがちだが,学問の世界はそうあってはならない。韓国がどのような来歴をもち,国としてどのような舵を切り,そして世間のふつうの人びとはどのように暮らし,どんな問題を抱えているのか。まず手に取ってほしいはじめの1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「マスメディアでもSNSでも扇情的な紹介がされがちだが,学問の世界はそうあってはならない。韓国がどのような来歴をもち,国としてどのような舵を切り,そして世間のふつうの人びとはどのように暮らし,どんな問題を抱えているのか。まず手に取ってほしいはじめの1冊。」

    「「歴史」「政治」「社会」「文化」の4章で構成されており、4人の専門家によって書かれた本。良い関係を築くための一歩は、まず相手を知ろうとすること。隣国でありながら、以外と知らない韓国の入門書。」
    (大居雄一『差がつく読書術』の紹介より)

    目次
    第1部 歴 史
     第1章 朝鮮王朝時代
     第2章 大韓帝国~日本統治時代
     第3章 米軍政~大韓民国時代
    第2部 政 治
     第4章 韓国という「国のかたち」
     第5章 韓国外交における日韓関係
     第6章 南北関係とコリア・ナショナリズム
    第3部 社 会
     第7章 変化する韓国社会
     第8章 韓国家族の「いま」
     第9章 韓国の教育と就職事情
    第4部 文 化
     第10章 再考される伝統
     第11章 交差する文化
     第12章 模索しつつある韓国

  • 本屋B&Bで開催されていたポスター展『想像からはじめるーーSolidarity-連帯-연대ーー』で紹介されていた一冊。
    
    私にとって韓国とは、2000年頃の第一次韓流ブームで突如として現れた隣国です。
    それまで地理として大韓民国、朝鮮民主主義共和国という国があるとは知っていても、韓国と朝鮮の違いすらあやうい。ましてやどんな文化をもった国なのか、お隣であるにもかかわらず、ほとんど興味がなかった(日本に入ってくる情報も少なかったですが)といってもいい状態でした。
    
    タイトルを忘れてしまいましたが、韓流ブームにのって公開された映画のなかで、制服の女子高生が夏の川で遊んでいる回想シーンがありました。制服、女子高生、夏の川、日本と同じようなものにノスタルジーを感じる韓国文化にけっこう驚きました(日本の映画やドラマが影響を与えている可能性ももちろんありますが)。
    アメリカやヨーロッパよりもずっと近い感性をこの国は共有しているのではないか。それなのに私たちはこのお隣のことを何も知らない。
    
    現在は華やかに見える韓国ではあるけれど、1980年代まで夜間外出禁止令があったこと、北朝鮮とは「休戦」状態であること、歴史的、政治的混乱は日本の占領とは無関係ではありえないこと。
    
    韓国ドラマ『トンイ』を見ているので、チャン・ヒビンの話は知っていたものの、トンイの息子から5代ほどで朝鮮王朝が滅びていることは今回初めて知りました。ドラマでは華やかな宮廷ですが、政治的、経済的にはだいぶ荒廃しているわけです。
    
    また、日本の統治期間が35年の長きにわたっていたことも今回あらためて知りました。(そうです、そんな基本的なことすら知らなかったんです!)
    
    急成長による歪みとして、若者の学歴は高いものの就職難や経済格差、高齢化社会も問題になっていることなど。
    
    歴史、政治、文化など幅広く解説されているものの、特に複雑な政治部分は文章のクセもあってわかりにくいです。それでも最初の入門としてはとてもよい一冊ではないでしょうか。
    
    日韓問題は簡単なことではありませんが、私たちに今必要なのはお互いを知ること、知ろうとすることではないかと思うのです。
    
    以下、引用。
    
    米軍が朝鮮戦争中に実戦配備した大量の戦車は、休戦後に埼玉の所沢補給廠に運ばれて解体されています。ここから生じた貴重な鉄資源は、東京タワーの施工を請け負ったゼネコンの竹中工務店に納品されました。つまり、東京タワーの3分の1ほどは米軍の戦車をスクラップした鉄でできているのです。
    
    人間になりそこねた虎は、山の神の使いで邪鬼から守ってくれる守護動物として多くの絵画や民画に描かれてきました。子ども向けの昔話に登場する動物は、圧倒的に虎が多く「むかしむかし、虎がタバコを吸っていた頃」と始まるのが昔話の定番となっているほどです。
    

  • 昨今、日韓両国間で争点となっている事象含め、2019年時点で最新の状況を含めた韓国についての概説書であり、恐らく初学者にも平易な良書です。

    「初学者」などと偉そうに言っている私は、第三外国語で"コリア語"を選んで挫折しつつ、国際政治学を学んだだけで、韓国についての専門的な知識を得ている訳ではないのでエラそうに言う資格など無いのだが、個人的には第1部の歴史、及び第4部の文化が大変読み応えがあった。

    こういう時期であるが故に、改めて「知りたくなる」隣国であり、知るべき存在だと思います。

    (日韓両国間が)経済的な相互依存度が低くなってきた近年、互いの重要度が低くなってきており、長い目で見ると危険な兆候であるので、こういう本が読まれる機会が増えることを期待したい。

    奇しくも、韓国において「反日種族主義」という本が物議を醸していますが、韓国においても、日本を「知りたくなる」時期であって頂きたい。

    そういう願いが、恐らくは著者にもあったと思うこと、また、その願いを叶えるに足る実を備えた一冊であると思います。

  • ちかごろ韓国は何かと話題になることが多いが、韓国に関するテレビの報道やネットの記事などが増えているからと言って、それに合わせて日本人の韓国に対する理解が深まっているようには見えない。韓国に対して「あんな国とは関わりたくない」という極論に走る人がいるけれども、日本と韓国の地理関係は変わりようがないのだから、韓国と関わらないと言う選択肢は現実問題としてはありえない。そして、否応無く関わりを持たざるをない韓国という国の実情を知らなければ、正しい対韓政策など出来るはずもない。
    では韓国を知るために何を読めばいいのか?という疑問に対する答えが本書である。ネット上のいわゆる嫌韓やK-POP・韓流ドラマを通じて接する韓国とのギャップに驚く人がいるかもしれないけれど、それは決して著者のせいではない。
    さすがに韓国の全てがこれ一冊で分かるという訳にはいかないが、韓国という難問を考えるための入口として、本書はうってつけだと思う。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1378842

  • 朝鮮半島とはどういうところなのか、歴史や経済ポップカルチャーなど様々な視点から知ることができた。入門におすすめ。クリティカルシンキングが養われそう。

  • 最初は広く浅いが堅実な入門書を想定していが今は評価を保留。

  •  初学者にも読みやすく面白い入門書。多方面で理解が深まる。ただ、教科書的というには癖があるとの印象。特に前半の歴史と政治の章。
     歴史の章は李朝初期から民主化まで。勢道政治、高宗は安重根を「兇徒」と突き放した、3.1運動では宗教団体と学生の対立、金九は「武闘派で暴力的、テロリズム」など、近代史を中心に歴史の美化を崩そうとの意志を強く感じる。一方で光州事件での市民虐殺も書いており、筆者は保守・進歩双方に厳しいスタンスなのだろう。金大中拉致に際しては「自衛隊のものと思われる機体」が照明弾で威嚇、との未確認情報を注釈もつけずに書いているのには戸惑う。
     政治の章では筆者独特の文体の色が強い。日韓関係でも北朝鮮核問題でも現状とその背景のどちらの解説を主にしたいのか、中途半端にも感じる。また徴用工問題で2005年の韓国政府の立場から2018年の大法院判決まで一気に飛ぶのは誤解を与えるのではないか。ただ、日韓は特殊な関係から普通の二国間関係へ、韓国について分かった気にならない、という筆者のいつもの論には同意できる。
     社会・文化の各章はそもそも範囲が広すぎるので仕方ないのだろうが、雑多な印象。整形・宗教・兵役・災害と危機管理が並列の項目であるなど。伝統文化の解説では写真、特にカラーがあればよかった。
     同じ事柄でも章により説明が異なる。朝鮮戦争休戦協定に李承晩が署名していないのは、歴史の章では彼が休戦を不服としていたから、政治の章では韓国軍の作戦統制権が米軍に委ねられていたから、とある。またろうそくデモについては、政治の章では02年のW杯を契機に広場に集まり同年の米軍装甲車事故でろうそくを手にしたとあるが、社会の章では92年から行われたとあり、02年の事象には全く触れていない。章により筆者が異なると言えばそれまでだが、注釈でもつけてあればよかった。

  • 東2法経図・6F開架:302.21A/Sh63s//K

  • 隣国の韓国を知るための基礎知識を提供する。第一部歴史:朝鮮王朝時代、大韓帝国~日本統治時代、米軍政~大韓民国時代。第二部政治:韓国という「国のかたち」、韓国外交における日韓関係、南北関係とコリア・ナショナリズム。第三部社会:変化する韓国社会、韓国家族の「いま」、韓国の教育と就職事情。第四部文化:再考される伝統、交差する文化、模索しつつある韓国。巻末に、韓国を理解するのに役立つ映画や文学のリストがついている。最近出版されたので、最新の韓国の様子が概観できる。

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著者プロフィール

1978年愛知県生まれ。博士(比較社会文化)。九州大学大学院博士課程単位取得退学。現在,九州大学韓国研究センター助教。おもな業績に「韓国併合における韓国皇帝処遇問題」『日本歴史』ほか。

「2011年 『天皇の韓国併合』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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