マイノリティ問題から考える社会学・入門 差別をこえるために (単行本)

  • 有斐閣 (2021年4月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (356ページ) / ISBN・EAN: 9784641174634

作品紹介・あらすじ

近代化の中で生じる社会問題のなかで,根強く残る現代的な課題が差別問題である。本書はさまざまなマイノリティ問題を取り上げつつ,社会学が問うべきその問題の論点を深め,学問的な議論の世界へといざなう。初学者に向けていま求められる入門教科書。

みんなの感想まとめ

現代社会における差別問題を深く考察する入門書であり、マイノリティの多様な視点を学ぶことができる一冊です。著者たちは、女性、障害者、外国籍の人々など、さまざまな属性を持つ人々の経験を通じて、マジョリティ...

感想・レビュー・書評

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  • 現代に生きる我々が現代で生きていくうえで持っておくべき他社や社会への視点を学べる入門書。
    女性・障害者・外国籍…人々はみな様々な属性を持っており、時にはマジョリティでとくにはマイノリティになりうる。マジョリティであるということを認識することがまず第一歩であり、共生し差別を超えていくためには一人一人が学ぶべきことである。

  • 差別論の外観を掴みたかったけど心得的な感じかな

  • 日本に存在する差別を網羅的に分析し、その上でどうすれば差別をこえることができるかという具体案を事例を持って提示しているので、とても建設的でいい本だった。また差別問題を社会学の入門に位置づけ、差別問題から見えてくる世の中の構造について知れたのがよかった。各章ごとの参考書籍の紹介をしてくれるのも今後社会学を深めていく上でありがたいところだ。

    まず本書のはしがきで「差別をこえる」という言葉について強調がなされた。差別という壁を越えて先に進むことという他に、ひらがなにすることで差別のない状態を「つくる」こと、つまり差別という壁を壊して差別のない社会を「創造する」という含意を意図しており、またどうすればそうした社会を創り上げることができるのかを社会学的に「考える」というのも本書の狙いだということだった。

     まず「差別」とは、「区別・蔑視・排除」の3つが合わさるときに明確に成立するとしている。そして「マイノリティ」はただ単に数的に少ないということではなく、いわば処遇の問題として個人の生活の機会や権利が、力ある人によって奪われ、劣位に置かされている状況にある人々に対してよぶ。社会的マイノリティである。
     その社会的な背景としては、①歴史構造的な経緯、つまり戦いの敗者や未開地の住民として差別的取り扱いが慣習化、意識的にも制度的にも構造化されていくということ、②集団関係的な要因、つまり「われわれ」と「われわれではない人たち:周縁化」、③文化価値的な理由、つまり無数にある特性のうちの差別者に都合の良い一部分だけ取り上げ、価値序列の下で差異化するような場合、④相互行為的な場面、つまり不特定多数が対象に対し差別するというもの、などが挙げられる。
     その上で特に近代の特徴から考えることが重要だ。資本主義システムは競争原理のもとで効率等を重視して、経済中心的な価値観のもとで「生産性」がないとされる人々が不完全者とみなされてきた歴史がある。また国家間の競争で勝つという発想から「国家主義」も生まれた。

    以下、各章ごとの新たな気づきを得た重要な着目点について
    1. 女性差別
     社会的に作られるのがジェンダー、身体の構造上での区分がセックスという概念という認識だったが、そうではなくセックスはジェンダーであるということ。外性器の構造で子供の頃から男女に区別される、そういう性規範に基づいて一方の性に強要される。そこからLGBTQの問題も露わになってくる。また身体技法、つまりその性別らしい動き方が無意識のうちから強要されていくということや、女性は見られる対象、男性はそれをみるものという位置づけがなされてきたということ。
    2. 障害者
     「障害の社会モデル」という概念。社会によって障害者が生み出されているという着眼点である。2006年に障害者権利条約が採択され、やっと障害者を権利主体として認めたという意義がある。また、「合理的配慮の不提供」という観点から障害者のアプローチが考えられなくてはいけない。つまりある行為の本質的要件を明らかにするという効果。
    3. 外国籍の子供
     日本社会は「排除と包摂」問題を抱えている。グローバル化の波により学校でも外国籍の子供が増えてきたがその地区等に対する蔑視も絶えない。多文化共生の地域づくりを模索していくべきだ。そのために社会的共通資本の増強という観点がある。新自由主義的発想ではなく、万人の幸福を求むなら。
    4. 異民族
     普段、初対面の人に対して物珍しげに写真を撮るだろうか。それは「未開性」という衣を被った人間が商品化されているからである。ここに権力関係が如実に現れる。
    5. 日系ブラジル
     フレキシブルな労働力として来日した日系ブラジル人とその2世以降から、年齢を重ねるごとの意味合いが様々だということを思わせる。
    6. 在日コリアン
     戦前の植民地として朝鮮を支配した日本は、責任を放棄し、諸権利を制限した。現代により強くなる歴史修正主義は、旧宗主国は植民地の解放後、イデオロギーとしてのコロニアリズムを放棄したかという問題に答えることができていない。
    7. チャイニーズ
     日中国交正常化から50年の歳月が経ち、今では観光などで訪れる外国人の中で国別トップという中国だが、中国人に対する日本人の偏見は絶えない、旧満州や南京事件も歴史修正主義のもとかき消されようとしている。中国が経済大国として台頭する中でどう付き合っていくべきかを改めて考えなくてはならない。
    8. 部落差別
     日本社会に蔓延る「家制度」の名残により、部落出身者たちは本人の意思とは関係なく結婚差別などがあり、本人の出自を必死で隠すことで、身近に部落出身者がいるという現実に気づきづらい世の中となってきている。そしてそれはまた社会が一方的に作り出す「世間」というものとも関連する。同室世を前提に差別的体系を作る「虚構」が世間と言える。
    9. ハンセン病患者
     「朝日訴訟」で代表されるように、患者運動は、全制的施設に隔離されているという身体的機能の制限と社会的障壁によって機動性を発揮できない状況での運動展開の戦略や、組織運営の民主的手法、権利主体としての自己認識、そして運動を担う主体意識の覚醒を促すことになった。
    10. 被爆者と被曝者
    危険性をもたらす可能性があるとして被曝者たちをマイノリティ集団に位置付けて差別をしてきた社会。そして多くの国民は無関心を選び、少しでも自分に関わりそうなら危険視する。

    著者は他にも、沖縄問題などを検討した上で、構造的差別として「国家の論理、資本の論理、種族の論理」が絡み合い、差別を産んできたということを分析するに至った。
    差別される個人ではなく、社会に問題性を見出し、そして被差別者と社会との繋がりをより強固に、多様性を真に認め合う社会の実現に向けて、発信力、理解力をお互いが高めていき、一人一人が主体として生きていける社会を実現していかなくてはならない。そのためには、改めて歴史をちゃんと認識し、差別される側に想像力を働かせ、常に感覚をアップデートしていかなくてはならないと思う。

  • 入門という言葉がしっくりくる内容なのと、参考文献も豊富でとても参考になった。でも差別は嫌いだけど、自分でそのつもりはなくても人を傷つけてしまったことって、僕もあったのかもしれないなぁ。色々勉強しなきゃ。

  • 複数の著者がジェンダー、障害者、部落差別などそれぞれの観点でマイノリティ問題を議論。入門書的一冊。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/643027

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053164

  • さまざまなマイノリティ問題の概要を知ることができる。入門書。

  • 東2法経図・6F開架:361.8A/N82m//K

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著者プロフィール

成城大学教授

「2021年 『マイノリティ問題から考える社会学・入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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