公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

  • 有斐閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641183810

作品紹介・あらすじ

社会問題を解決するための具体的手段である公共政策は、どのようにデザインされ、決定され、実施・評価されているのか。そのプロセスに関する知識(ofの知識)を中心に、政策決定に投入される知識や政策そのものに関する知識(inの知識)も加えて、丁寧に説明する。公共政策「学」の全体像を提示する新時代の入門テキスト。

感想・レビュー・書評

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  • 秋吉・伊藤・北山『公共政策学の基礎』有斐閣 読了。公共政策学における基礎的核心的な知識の体系化を試みたテキスト。ややもすれば無味乾燥な内容に陥りやすいものだが、実務に触れていくほどに面白くなる。空気のように流れているルーティンやプロセスを抽象化し、そのメカニズムを説明してくれる。
    2013/04/01

  • 公共政策大学院党の学生向けに公共政策学を学ぶ際の基盤を提供することを意図して執筆されたテキスト。公共政策がどのようにデザインされ、決定され、実施・評価されているのかという「ofの知識」を中心に、一部、公共政策の基本構造に関する知識やその規範的基準や合理的意思決定の手法といった「inの知識」を加えながら論じている。
    古典から最先端のものを含め公共政策学の学問的成果を豊富に取り込みながら、公共政策の形成プロセスを概観することができ、公共政策学のテキストとして最適な一冊である。

  • 140517 中央図書館
    公共政策とは、公共的問題を解決するための、解決の方向性と具体的手段である。ここで公共的問題とは、社会で解決すべき問題と認識された問題であり、政策問題である。
    宮川によれば、政策問題にはその複雑性を構成する4つの特性がある。すなわち、?全体性、?相反性、?主観性、?動態性である。この複雑性ゆえに、政策問題はいわゆる悪問題となることが多く、解決にあたって相互調整の技法が重要となる。

    などなど、ハードな定義から始まり、いきいきとした説明で最後まで飽きさせない。手元におきたい本。また政策科学という閉じたテーマにとどまらず、組織としての目標達成のプロセスを解説するということから、経営学という色彩も帯びている。

  • とても勉強になりました。


    メモメモ。
    ・政策は悪構造をもつ。規模の小さい組織での意思決定の方法とは違う大きな困難がある。
    ・政策選択には合理的基準のほかにアクターがもつアイデアや理想が関係する
    ・既存の制度はそれによって利益を得る人たちから守られているので、大幅な改正への抵抗が大きい
    ・政策が検討されていくステップには、どこかで却下されたら、それより上位で審議されない通過点(委員会や制度)が存在する(拒否点)。

  • 評判の良い公共政策学のテキストです。

    本書は、ラスウェルの「inの知識」と「ofの知識」の区別に従い、政策決定を取り巻く「過程に関する知識(knowledge of process)」である「ofの知識」に重点を置いて書かれています。政治学・行政学における業績が「知識活用」の文脈で整理されており、第Ⅲ部では新制度論やアイディア論についての記述も詳しく、大変勉強になりました。また、政策過程を適切に把握するためには、ここで整理されている「3つのI(Interest, Institution, Idea)」を用いた多角的な分析が不可欠であることを改めて認識させられました。

    内容面では、特に第3章「アジェンダ設定」の中で、議事運営権(agenda power)の研究が丁寧に紹介されていた点に関心を持ちました。例えば、日本の国会の会期制は、法案の審議を遅らせれば廃案にすることが可能なことから、与党に対する野党のパワーの源泉になっていますが、一方で審議される法案の数が限定されることは、議事運営権を握る与党が官僚に対して影響力を強める効果を持つことになります。このような影響力関係の多角的分析は、政策立案者の交渉力を高めるためにも有益であるように感じました。

    構成としては、章・節の区分が分かりやすく整理されている点、逐次身近な具体的事例に触れられている点、コラムが充実している点など、テキストとしては非常に読みやすい作りになっています。ただ、政治学の紹介に留まってしまっている箇所や、紹介される個々の理論の説明がやや不十分な箇所があったようにも思います。
    公共政策学と同時に政治学も学習したい方などにお勧めです。

  • 公共政策学なるものを広く浅く取り上げ、その全体像を教えてくれる良書。「Tea break」や「コラム」で取り上げられる話題も実際的で面白いし、「文献紹介」で紹介されている書籍にあたることで各分野について深める事もできる。ただ、本書の中で述べられているように「公共政策学」という学問自体、発展途上で学際的、曖昧なものである事から実例を除いて、政治学、行政学、統計学等のごった煮のような中途半端な感は否めない。

  • 政策研究の入門書としては申し分なし。非常に勉強になりました。
    自分に欠けていたこと、逃していたこと、不勉強だったこと、が痛切に分かりました。
    これから政策の勉強をしようとする場合は、社会問題って何だ?ってところを補充できるといいかも…

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著者プロフィール

秋吉 貴雄(アキヨシ タカオ)中央大学法学部教授

「2016年 『大震災に学ぶ社会科学 第1巻 政治過程と政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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