- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641220133
作品紹介・あらすじ
「教育格差」から、教育の背後にある日本社会の実像とゆくえがみえてくる。教育社会学の中心的なテーマである「教育の不平等」を切り口に、教育と社会のあり方を実践的に考える入門書。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F指定:371.3A/Mi33k/Mugiyama
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■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001024515
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配置場所:2F書架
請求記号:371.3||Mi 33
資料ID:W0176472 -
1846円購入2018-03-07
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371.3||Mi
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出自(親の経済状況)が子供の学力、そして進学・学歴、到達地位に影響し、格差が固定化しているのではないかとの指摘は多くあるが、そのことを実証するための測定データ確保が非常に難しいという主張は肯ける。そのような調査に協力するメリットが何か?ということになる。またジェンダー問題、また男女の学力差があり、女性の方が成績が良いというのは日本だけではなく既に1990年代から英国で、そして米国その他2009年のOECD調査でも各国に見られる現象であるとの指摘は興味深い。実は優秀層の男性がいるが、中間層がいないだけではとの分析もあたっているように思う。男性の中での格差拡大問題なのかも。要はそれを社会学として実証的に主張していくことが難しいのである。
また今日、学力ではなく、意欲、関心、創造性、対人能力などにより「ポスト近代型能力」に基づくハイパー・メリトクラシーが浸透しつつあり、それは一層、社会階層の違いに起因する格差が増大する恐れが高まっているとの説も実感するところである。要するに「鷹の子は鷹、鳶の子は鳶」である。
教育基本法第4条「教育機会の均等とは、個人が人権、性別、社会・経済的出身階層などの属性によって差別されないことによって、さらに偶然性によって支配されることを最小にすることによって、教育を受ける機会が、国民として平等に保障されることを意味する」との表現はそういう意識で読むと面白い。前段と後段は矛盾していないだろうか?なぜなら必然性(少なくとも蓋然性)の高い進路選択になってきているのだから。
なお、アフリカ諸国の就学率を学年別に見るべきであるとの指摘も目から鱗。確かに高学年になるに従い就学率が下がっているとすれば、課題が大きい。