- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641227323
作品紹介・あらすじ
自治体職員にとってのコンプライアンスとは何か。また,いかにしてそれを実践するか。ことわざを用いて大枠のイメージを示すとともに,具体例を豊富に紹介することで自治体実務に役立つ知識をわかりやすく提供する。現役職員,地方公務員を目指す学生必携の書。
感想・レビュー・書評
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読みづらい。何も頭に残らなかった。
なぜか法格言をもとに構成されており、「練糸に悲しむ」「治に居て乱を忘れず」などの箴言のあとにその言葉と関係のあるようなないような事例がとりあげられ、条文と判例の抄訳が掲載されている。解説はほぼない。
巻頭と巻末に、親しみやすさを狙ったストーリー仕立ての例があるが、これも寒々しい。
短歌集や詩集のような読後感がある。文字を追うのは簡単だけど、次の章や節、段落との繋がりが分かりにくく、読んでいて疲れた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自治体職員に求められるコンプライアンスとは。
自治体職員にとっても、コンプライアンス研修を行う者にとっても、参考となります。
コンプライアンスとは何か、いかにして実践するか。
本書では、大枠のイメージがまず示され、その後、具体例と法律の条文も併記され、自治体実務に役立つ知識をわかりやすく提供してくれます。 -
本書は、京都市で長年にわたり法制の実務に従事されている著者が、自治体職員が法を守って仕事をするために心掛けるべきことに加え、現代の複雑化している制度を少しでも改善するとともに、自治体が自治立法に積極的になって欲しいとの意図から、「コンプライアンス」をキーワードにこれを適切に実践する方法を伝えようとするものである。
本書の特色は、コンプライアンスを単に法令遵守(国が決めた従来の解釈に忠実に従い、運用していく)と捉えるのではなく、立法の視点、すなわち現場で得られた知識や経験に裏打ちされた説得力を持って、国が提示した従来の解釈の変更や自治立法(条例の制定)に果敢に挑戦していくということもコンプライアンスの射程に入れていることである。また、コンプライアンスについての理解を深めるために、「社会あるところに法あり」「法は善及び衡平の術である」「法律は不能事を強いない」などの法格言などを取り上げていることも特徴である。
各章では、京都市等の先進的条例など、実際の具体的な事例が取り上げられ、関連する条文や判例も掲載されており、具体的イメージが持ちやすい。また、「京都市ペット霊園の設置等に関する条例」、「野洲市くらし支えあい条例」など、先進的な事例自体も自治体職員として勉強になるものだった。
一部説明不足ではないかと感じる部分もあったが、全体として自治体職員がコンプライアンスを実践するに当たって必要な法的思考を身につける上で学ぶところの多い良書だと感じた。 -
著者が思うコンプライアンスとは、序文にある通り「現場で得られた知識や経験に裏打ちされた説得力を持って国が提示した従来の解釈の変更や自立立法に果敢に挑戦していく。これこそが現代のコンプライアンスである」であり、単なる法令遵守ではない。
自治体は国の政策を実行する単なる執行機関ではない。
勝手な解釈だか、市民に寄り添い、法を解釈し、条例を創造できる職員を育てたいとの思いで、この著書は書かれていると感じた。
条例が法令に優先する、自治通則法を提唱する著書ならではの視点がこの著書の裏にあると感じる。
これからの自治体を支える若手公務員に読んでもらいたい一冊である。