大学改革1945~1999 新制大学一元化から「21世紀の大学像」へ (有斐閣選書)
- 有斐閣 (1999年11月30日発売)
本棚登録 : 21人
感想 : 3件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784641280274
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
高等教育制度の変遷とその影響を深く掘り下げた本書は、戦後から現在までの大学改革の課題を明らかにしています。特に、米国占領下での政策の影響や、教育機能の低下、質保証の欠如といった「負の遺産」が指摘され、...
感想・レビュー・書評
-
桜美林大学アドで学んだ本を久しぶりに読み返した。「新制大学一元化過程の謎(第2章)」、「一般教育の義務づけと課程制大学院の導入(第7章)」、「新制大学の発足(第8章)」あたりは、大学職員というか大学人必読だと思う。21世紀に入って20年超。解決しない課題を継ぎ接ぎしたまま改革が続く。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代、皆さんの中には「大学改革」という言葉を幾度となく耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。大学評価や学習成果の可視化、大学のグローバル化、個性化、多様化等といった改革の渦の中を皆さんは「大学生」として生きています。
現在へと続く日本の大学制度は、終戦後のGHQによる占領の下で、アメリカモデルのシステムを導入する形で作り上げられたものを起源としています。当時の大学改革は、日本の高等教育の機会を一部のエリートだけでなく、より多くの国民へと開いた一方で、日本の事情を無視した改革により、その後長く残る大学の混迷を引き起こしました。そして今日までに、大学紛争や産業界からの要望等、様々なターニングポイントをきっかけに改革が図られています。
皆さんが所属するこの筑波大学も、戦後の大学モデルによって生じた様々な問題に対する「大学改革」の歴史の中で生み出されました。
本書は、戦後の新制大学誕生から1999年までの50年間の大学改革の歴史を、第一部「占領下の改革と新制大学の形成」、第二部「独立回復後の大学改革と大学像の模索」の2部構成で綴っています。この50年間に行われた「大学改革」によって生み出されたものは、現在でも日本の大学に強く影響を及ぼしています。
現在の大学はどのように構築されてきたのかを歴史的に理解することは、現在の大学問題や大学の将来を語る上では不可欠と言えます。クラス代表者会議や全代会といった、学生の声を大学運営に届ける環境が用意されている筑波大学に在籍する皆さんには、これらの歴史を理解し、少しでも学生生活・学修環境を改善するために積極的な提案をしていってほしいと思います。
(ラーニング・アドバイザー/教育 FURUHATA)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/1051444 -
本書が、授業の教科書に指定されて読む機会を得た。
冒頭にあるとおり、今日の高等教育制度は、米国使節団の勧告によって導入された解していた。しかし、勧告は初等中等教育制度に留まっていた。この辺が混乱し“全て”押しつけられたような印象をもってしまうことが多いが、そうではない。
Ⅰ部では、米国使節団、CIE、GHQ、文部省、日本教育家委員会、教刷委、日本私学団体総連合会が、かわるがわる登場し、ロビー活動の積み重ねによって決まった政策で、日本の未来を決めていったことが克明に表されている。特に私学団体とCIEの関係は太かったという。
著者はかなりの割合を占めるている米国占領下での政策を省みて、「負の遺産」として、教育機能、質保証、社会機能低下という3つの問題点を指摘している。ご覧のとおり今現在、各方面で議論されていることばかりだ。私たち大学職員の課題は、戦後から、場合によっては戦前からの懸案事項だったことがわかる。
例えば、旧制高校・大学予科の廃止による予備教育と、新制の一般教育の失敗、専門教育の曖昧化、自学自律時間が考慮されていない単位制、種別化しそこねた大学の画一化・大衆化、社会的ニードの薄い大学院、といった指摘は、これまでの数々の答申で指摘・改善の必要性が毎回繰り返されている。また、戦前までのドイツ式の学校制度に、中等教育の十分さを補うための一般教育を接続したことが、そもそも問題だということも幾度も話題になっている。
今日の機能別分化も、昭和26年の答申で、種別化構想が示されてから、議論され続けている。国立大法人化、第三者評価等の改革が一応一段落した今、取り組む政策の順が回ってきたのか。四六答申でも種別化・類型化が書きこまれている。これは、戦後の大学改革を、まさに「今」検討しているともいえるのではないか。
