事典 墓の考古学

  • 吉川弘文館 (2013年5月30日発売)
5.00
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 1
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784642014700

作品紹介・あらすじ

墓は単なる死者の埋葬施設ではなく、古来日本人の死生観や政治・社会を映し出してきた。日本における墓制・葬制の理解に不可欠なテーマを厳選し、考古学的知見と発掘成果を中心にわかりやすく解説。朝鮮半島や中国の事例、文献史学・文学・社会人類学・建築史学など隣接分野の成果を交え、国内外の著名人の墓も多数収めた、総合的に墓を捉える事典。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「死」があらゆる生物にとって特別なことであるのは、おそらく昆虫でも動物でも同じことだと思われる。しかし、おそらくヒトだけが死の前に死について考え、死の後に死者を意図的に葬るのだろう。

    死の受容は、大きく四つに分けられるという。
    ひとつ、個人の死を何らかの代替を用いて否定する。霊魂の不滅、死後の世界、肉体と精神の二元論。
    ひとつ、儀礼行為による死への対処。葬式。ひとつ、生前において大きな儀礼を開催したり、何かの記念事業を達成する。巨石文化、古墳。
    ひとつ、個人を超える集団の中に個人を位置づけることによって、個人の死を集団の永続性に置き換えるという形式。血筋、名前。これらは、文化において複数の形式が並存する。

    墓は、文化における死の受容のあり方のひとつの「証拠」である。

    墓の形式は、時代と地域で大きく変遷した。現代の墓は、近代以降に確立して近未来は大きく変わろうとしている(散骨とか)らしい。

    以下、面白かった処を時代変遷的に。

    縄文時代後期の周堤墓。河川漁労による共同祭祀の必要性。また、階層社会の可能性。

    弥生時代にはまだ年齢階梯社会であって、世襲制までは遠かった。

    後期後葉の破砕土器の供献儀礼、葬送のために特別に用意された加飾壺や器台などを「神の依代」として破砕する。これが古墳時代に用いられる。

    弥生から古墳時代にかけて、死後の霊魂は鳥に憑依し、或いは鳥の姿になって大空に飛翔する(下関市土井ヶ浜鵜を抱く女性)。

    この事典では「埴輪の殉葬起源」説は明確に否定されている(154p)。当然ですね。

    平安京では、死体遺棄が普通だったらしいが13世紀以降急速に減少して共同墓地が成立する。

    この事典では、朝鮮半島の墓がコンパクトにまとめられていて、とても参考になったし、これからもなりそうである。

    読み物として、たいへん面白かった。高くて手元におけないのが、玉に瑕。
    2013年11月11日読了

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1951年,大阪府出身。1974年,天理大学文学部国語学科卒業。1978年,関西大学大学院博士前期課程修了。現在,専修大学文学部教授,博士(文学) ※2012年2月現在【主な編著書】『日本横穴式石室の系譜』(学生社,1991),『黄泉国の成立』(学生社,1998),『古墳時代の政治と社会』(吉川弘文館,2006),『古墳』(吉川弘文館,2011)

「2013年 『事典 墓の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

土生田純之の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×