室町幕府と守護権力

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642028141

作品紹介・あらすじ

中世後期の室町幕府‐守護体制は、中央権門=幕府と地域権力=守護が、相互に補完し合い成立していた。室町期から戦国期へと武家権力はいかに変わっていったのか。権力構造と秩序の実態を解明し、歴史的意義を探る。

感想・レビュー・書評

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  •  旧領回復であれ当知行保証であれ、七月令発布の前になんらか原則の存在を読み取ることは妥当か。そこにあったのが検断規定すなわち六月令と、個別的に知行確認を行う方式だけであったとするなら、七月令こそが当知行保護の立場を天下一同に通用する原則を明確に打ち出したものといえるのではないか。京都に上らずとも諸国で安堵をなしうる道がここに開かれた。

     後醍醐の綸旨による個別安堵は七月令発布後も消滅することはなかった。だからといって一同の法の画期性が低められるわけではない。問われるべきは七月令にもかかわらず以後も在地勢力が京都に問題解決を持ち込もうとしたのは何故か、であろう。荘園制の動揺がある。権門は行き詰まる。権門との紐帯を見限った在地勢力は、一族の分裂を伴いつつ、王権を求めた。

     建武政権が抱える矛盾と葛藤は後醍醐や護良や尊氏の個性と野心によるものではなく利害を異にする多様な在地諸勢力を抱え込んで生まれる権力の総体そのゆえにもたらされるのであってみれば在地諸勢力の主体的動きが噴出するなか国司と守護を併置することは矛盾と葛藤が強いる妥協というよりも地域諸勢力統合を実現すべく両者を手足と駆使するねらいではないか。

    『そこ(『建武政権下の国司・守護は、基本的に中央政府の吏僚というところにその本質が求められる』三一頁──引用者)には、王権を中心に結集したところに生まれた建武政権の構造的特質が貫かれている。だからこそ、権門との紐帯を見限った在地勢力は上京して王権に直結する動きを示した。知行認定権が中央政府に収斂する構造をもつ以上、問題の処理が諸国に委ねられようとも中央に向けての訴訟が続発するのは必然である。そしてこのような構造的特質が、国司・守護の併置にもかかわらず、建武政権が在地の諸要求に対して硬直した対応しか示せずに混乱を深めた理由でもあろう。「一同の法」発布や雑訴決断所の開設にもかかわらず、その所領政策はともすれば整合性を欠き、混乱を深めていく。在地社会に蓄えられていたエネルギーが幕府滅亡を機に一気に噴出し、建武政権の予想を越えた混乱が生じる中で、上からの統制不能の状況が生み出されることになる。』三一頁

    建武政権における王権強化と地域支配


    よむほどに よむべき本は積み上がり
    たったひとつの疑問を追いかけているだけなのに、こんなことになる。
    上意
    衆議

  • 中世後期政治構造論の主要文献。著者は「室町幕府−守護体制」論の主要論者。室町期の政治構造を幕府と守護の関係に注目して論ずる。
    中世後期における地域権力研究の中心的位置を担っており、活発な議論を惹起した刺激的研究。

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