江戸時代の通訳官: 阿蘭陀通詞の語学と実務

著者 :
  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642034722

作品紹介・あらすじ

キリスト教の布教と密貿易とを防ぐために、江戸幕府は貿易相手のオランダに日本語の習得を禁じ、替わって日本側の通訳官〈阿蘭陀通詞〉の養成を急務とした。やり取りを担った彼らは、いかに異国の言葉を習得したのか。通訳をはじめ、貿易船の積荷や海外情報書類の翻訳、オランダ語での注文書作成、カピタンの江戸参府への同行など、苦闘する通詞の姿を追う。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、日本の歴史においてオランダ語を通して海外交流を行った時代が200年余も続いたことを指摘し、徳川幕府による鎖国政策の中で江戸や長崎で通訳という実務に就いた技能職の人達が、難しい外交交渉や貿易交渉に従事した状況を解説しています。また、数少ない史料を調査して、オランダ語をどのように習得し向上させていったかについても触れています。
     オランダ語に限らず、外国語を学ぶ難しさは昔も今も変わりありません。阿蘭陀通詞として様々な交渉に当たった人々の苦労が偲ばれ、是非とも一読をお勧めしたい本です。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:612482 請求記号:210.5||Kat

  • KK9a

  • 概観した感じ。詳しくは個々の論文を読んでねと流しているが、最低限の知識をまんべんなく提供してくれている。

  • 内容は専門的なしっかりしたものながら,とてもわかりやすい文章で,整理されていて,苦労のあとは偲ばれるものの,面白く読めた.通訳官となるにはそれ相応の才能を持った人物で,通訳だけにとどまらない人生来し方も淡々とした記述の中に垣間見えて,興味がわいた.本の装丁,紙質もいい.

  • わたしなどが手をつけるべき本ではなかったwのは確かだけれど。長崎出島や侍が闊歩していたお江戸の界隈にも通訳を生業としていた人間がいたって歴史を知るのは、今の自分の足場を見た気がする。

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著者プロフィール

1934年(昭和9年)、新潟県に生まれる。1967年、法政大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士課程単位取得。文学博士。現在、青山学院大学文学部名誉教授。公益財団法人東洋文庫研究員。青山学院大学客員研究員。洋学史研究会会長。専攻は蘭学史・洋学史・日蘭文化交渉史。
主な著書に『阿蘭陀通詞の研究』(吉川弘文館、角川源義賞)、『杉田玄白』(吉川弘文館人物叢書)、『蘭学家老 鷹見泉石の来翰を読む─蘭学篇─』(岩波ブックセンター、ゲスナー賞)、『知の開拓者 杉田玄白―『蘭学事始』とその時代―』(勉誠出版)、『伝播する蘭学―江戸・長崎から東北へ―』(勉誠出版)、『江戸時代の通訳官―阿蘭陀通詞の語学と実務―』(吉川弘文館)、『勝海舟の蘭学と海軍伝習』(勉誠出版)、『シーボルト事件で罰せられた三通詞』(勉誠出版)、『出島遊女と阿蘭陀通詞』(勉誠出版)、『カピタン最後の江戸参府と阿蘭陀宿―歩く、異文化交流の体現者』(勉誠出版)などがある。

「2021年 『杉田玄白と江戸の蘭学塾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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