幕末の学問・思想と政治運動: 気吹舎の学事と周旋

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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642043403

作品紹介・あらすじ

幕末の政治的混乱の中、国政に関する勢力間での議論や対立を仲介することを目的に志士らが展開した国事周旋。その活動基盤とは何だったのか。秋田藩の私塾気吹舎で行われた学問の実践と知識人の政治関与の考察から、政治運動と学問・思想、そして情報や交流との関係を検討。平田国学の政治的意義を捉え直し、議論空間の様相を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 平田銕胤・延胤を中心とした気吹舎と、秋田藩の関係から、幕末の「周旋」の意味を探る一書。「周旋」という言葉はよく聞くが、結局具体的に何をしているのかわからなった。しかし本書で、「周旋」が政治目的の達成のための説得、集会工作だということがよくわかった。

    また、「公議輿論」やらなにか高邁な国家構想のもとに「周旋」が行われるのではなく、現実的な政治問題(内乱回避など)があって「周旋」が活発化するという指摘(p.233)が興味深かった。「公議」「公論」の尊重というのは、あとからついてくる正当化であったという。

    周旋方が独走して、藩の方針から逸脱するような政治行動をおこすという「ずれ」の話も面白かった(第Ⅱ部第1章)。学問的つながりが政治化していく、という見込みも勉強になった。

    というような、個別の事例としては面白いのだけど、研究史全体との折り合いがちょっとよくわからないところがあった。これまでの「公論」研究に対し、本書のような個別事例がどのような意味をもつのか。研究史の批判点がもうひとつ踏み込まれていないような印象であった。

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著者プロフィール

1981年、島根県に生まれる。2010年、東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、国立歴史民俗博物館特任准教授、博士(文学) ※2021年3月現在
【主要編著書】『記憶が歴史資料になるとき』(蕃山房、2016年) 「出羽国秋田藩の文書調査と由緒管理」(『常陸大宮市史研究』3、2020年)

「2021年 『幕末の学問・思想と政治運動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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