古代の食を再現する―みえてきた食事と生活習慣病

制作 : 三舟 隆之  馬場 基 
  • 吉川弘文館
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本棚登録 : 34
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642046619

作品紹介・あらすじ

古代の日本人は食べ物をどう加工し、調理していたのか。「正倉院文書」『延喜式』、さらには発掘調査で見つかった土器や動物の骨、木簡まで総動員して古代食の再現に挑戦。栄養価の分析からは意外な病気との関係も明らかに。シンポジウムの討論と、漬物や餅、納豆などの再現実験を付論として収録。学際的な研究からみえてきた知られざる食生活とは。

感想・レビュー・書評

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  • 横文字である。よって研究者向けである。よって興味ある部分のみ「つまみ食い」する。しかも、古代とは言いながらほとんどの言及は、木簡文字等の文字資料のある奈良時代以降になっている。ただし研究態度は、考古学や民俗学との融合や調理実験検証の成果などを交流していて好感が持てる。私はずっと不満だったのだが、平安時代にしろ弥生時代にしろ、現代の博物館にある「古代の食事」展示のなんとみすぼらしいことか。殆どは材料をそのまま置き、或いは煮て焼いているだけ。とても美味しそうには見えない。

    【内容紹介】古代日本人は食べ物をどう加工し、調理していたか。「正倉院文書」から土器、木簡までを総動員し古代食を再現。古代日本人の食生活や、病気との関係を明らかにする。オンライン開催の2020年9月のシンポジウム討論も収録。

    では、この本で「美味しそうな調理」が出たかというと、出ていないと言わざるを得なかった。唯一の主張は、「単なる材料を並べただけの再現は、もうやめにしたい」という意思表示だけであった。そこだけは評価したい。反対に言えば、ここまでが現代研究の到達点なのである。西欧古代料理の到達点となんとかけ離れていることか(←おそらく、文字の歴史が1600年ほどの日本と3000年以上ある西欧との違い)。

    以下内容は、弥生時代まで遡れる可能性のある知見と関連する知見のみをメモする。

    ⚫︎ 甑(蒸し器)を使った古代の炊飯方法 西念 幸江/著
    「奈良時代はうるち米を蒸していた」というのを調理実験すると、蒸しただけでは食べれるご飯はできなかった。今までの定説の再考が必要。

    ⚫︎ 古代の食事と生活習慣病 シンポジウム総合討論
    奈良時代「正倉院文書」の貧乏な写経生も多くは、ご飯等を相当食べていた(現代一般男性の最大が3800kcalとすると、写経生は5600kcalもあった。更には塩分も現代は7.5gが推奨されているが、87gも提供されている)。彼らは「糖尿病」になっていた。それでみると、「日本霊異記」にある皮膚病や視覚障害の原因もそれが疑われる。また、写経生の病欠の記録には足病、腹病、皮膚病、赤痢がほとんど。これも糖尿病の合併症の可能性が高い←琵琶法師が多く輩出したのは、こういう背景があったからなのか。これが米しか支給のなかった都市の貧乏人の病なのか、お米が新しい栄養源となった日本全体の国民病なのかは、未だ検討が必要。←田舎では、米だけを食べるはずがなくて、きっと「都会病」と位置付けて良いと私は思う。

    ⚫︎ 『延喜式』にみえる古代の漬物の復元 土山 寛子/ほか著
    ・根や灰汁の処理を行わず、重石や落とし蓋を使わないと直ぐにカビが発生した。重石で空気が遮断され、漬け汁も出ると1か月は保存できる。塩は約4%ほど。また、塩水で洗うと良い。10%以上の濃度の梅干しでは数年保存はできるが、野菜はどうしていたのか。

    ⚫︎ 古代の堅魚製品の復元 堅魚煎汁を中心として 三舟 隆之/著 中村 絢子/著
    煮鰹に塩漬けして干したもの、或いは海水で煮て天日干ししたものが「堅魚」。削って酒に浸して旨味を出すのに使われていた可能性はある。

    ⚫︎ 古代における猪肉の加工と保存法 高橋 由夏莉/ほか著
    煮佛後に塩漬けして5日天日干すと保存が効く。←「図書館の魔女」には「塩漬けした獣肉で出汁を取った雑穀スープ」が出てくるが、そのような使い方は弥生時代からあっても全然おかしくはない。

    ⚫︎古代における「豉」の復元
    現在の納豆というよりか、寺納豆。グルタミン酸もあり、免疫力も増すことから薬として使われてきた。

  • 古代人は一体何を食べていたのだろうか。すべての階層の食生活を垣間見るのは難しい。




    東京医療保健大学では2011年から「卒業論文」の授業で古代食の再現をテーマにしたゼミを立ち上げた。そこでは木簡や「正倉院文書」・「延喜式」といった文献史料で読み取れる古代食の再現を目的に行ってきた。




    特に興味深いのは、東大寺写経所の写経生食生活だ。東大寺写経所で写経生は泊まり込みで作業をしていたので、写経所内の厨では朝夕2回の食事が支給されていたようだ。



    支給されていた食料は、ウルチ米、小麦、大豆と小豆の穀類。海藻、漬物、生野菜などが提供されていた。




    驚くことに写経生に支給された食事量は、多かった。江戸時代の武士の俸禄が一人扶持で1日5合であったのに、奈良時代の写経生が現代の8合だった。その上、海藻類を大量に消費していた。




    そうなると写経生の健康に良くなく、仕事にも影響する。「請暇解」という「正倉院文書」に残る写経生がどのような理由で休みを取っていたか分かる資料がある。病名では赤痢、足病、腹病、皮膚病が目立つ。




    炭水化物中心でしかも写経という今で言うデスクワークを行っていて、運動をまともに行っていないとなると糖尿病のような生活習慣病が待っている。




    当時は、朝散歩がいいですよという医者もいなければ、もっと野菜を食べましょうという人もいなかったのかな





    これは仕事でもデスクワーク、家でもゴロゴロする人がいる現代でも当てはまるので注意が必要だな。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00615968

    古代の日本人は食べ物をどう加工し、調理していたのか。「正倉院文書」『延喜式』、さらには発掘調査で見つかった土器や動物の骨、木簡まで総動員して古代食の再現に挑戦。栄養価の分析からは意外な病気との関係も明らかに。シンポジウムの討論と、漬物や餅、納豆などの再現実験を付論として収録。学際的な研究からみえてきた知られざる食生活とは。
    (出版社HPより)

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