幣原喜重郎 (人物叢書 新装版)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642053013

作品紹介・あらすじ

近代日本の外交官・政治家。ワシントン会議では全権を務め、後に外相として国際協調と中国内政不干渉を掲げた幣原外交を展開。満洲事変収拾に挫折し退くが、敗戦後首相に指名され日本国憲法の草案を発表した。幣原の生涯を、多彩な史料や新聞雑誌記事、議会議事録などを駆使して辿り、複雑な政治事情の中で貫き通した外交理念、信念を考える。

感想・レビュー・書評

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  •  同時期に出た同名の中公新書と比べると、本書の方が淡々とした記述で、かつより教科書的だと感じる。
     幣原は満蒙権益を聖域とし、居留民保護のための出兵も選択肢に入れる。戦後は親米・反ソ思考で多数講和支持。理想的平和主義者というイメージとは異なる現実主義者という点が本書で繰り返し強調される。
     ただ、田中外交批判との関係では、政局絡みではない「健全なる批判者」とされ、類似性は挙げられない。
     幣原外交挫折の理由としては、まとまって整理されているわけではないが、国際環境のほか、国内強硬論の内圧に言及されている。国民外交や政党政治を嫌ったという幣原個人の志向とも一致するだろう。
     外務省内亜細亜派の評価は中公新書と異なる。幣原人脈は通商・国際法畑だったとする点は同じだが、満洲事変前の谷正之は幣原直系で、当時の亜細亜局員のほとんどが幣原の支持者だったとしている。
     戦後9条については幣原発案説を否定。現実主義者の幣原はそもそも集団安全保障の実効性に否定的。マッカーサーに対し戦争放棄の理想を語った可能性はあるも絶対的でもなく、かつGHQの憲法案は幣原の語る戦争放棄とは異質だったと結論づける。アピールとして理想を語りつつも本質は現実主義者、という評価からすればこれが妥当だろう。

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著者プロフィール

1974年に生まれる。2010年、國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。広島大学文書館客員研究員などを経て、現在、國學院大學文学部兼任講師、博士(歴史学) ※2021年3月現在
【主要編著書】『近代日本外交と「死活的利益」』(芙蓉書房出版、2014年)、『近代日本の対外認識Ⅱ』(共著、彩流社、2017年)、『もうひとつの戦後史』(共著、千倉書房、2019年)

「2021年 『幣原喜重郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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