宗教社会史の構想 真宗門徒の信仰と生活 (歴史文化ライブラリー 30)
- 吉川弘文館 (1899年12月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (218ページ) / ISBN・EAN: 9784642054300
作品紹介・あらすじ
日本の近代化の中で、なぜ真宗門徒は苦しさに耐える倫理を持ちえたか、真宗の教義と門徒の信仰・生活から追究し、宗教が民衆の社会的・経済的活動にいかなる影響を与えたかを分析する。正直・勤勉を旨とする熱心な真宗門徒の実態を歴史学だけでなく、社会学や民俗学の方法を駆使し、広く資料を集めて学際的な研究を展開。宗教社会史を提唱する。
感想・レビュー・書評
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本邦で最大の信者組織をもつとする真宗教団の、機能面を組み立てようとする意図をもつかにみえる.
教団を論ずるとき、その構成者が教義や思想系譜、信者結合の中退を内部から論ずることは当然であるが、それを組織の外から論じ、社会的位置の客観化をめざすところに意図が存在するのであろう.
親切・勤勉・節倹・忍耐を真宗エートスの一つと考え、これを「仏法為本・王法為先」の論理のなかにすえることで、封建権力とのすみわけを果たしてきたとする.
中世に誕生した真宗教団は、近世への移行期に「朝廷」「封建」とならぶ「寺院勢力」として、君臨する.
信長の弾圧、秀吉とのバランス、それが徳川政権とはどう対峙するか.「四恩」を言い(8p)、「父母」「三宝」「国王」「衆生」の恩に「国王恩」を含み点に、生き延び、門徒を守る<解義=げぎ>の組み立てをみるか.
門徒の地域分布を(1)北陸門徒地帯、(2)西日本門徒地帯、(3)近畿門徒地帯に三分する(49p).
北陸門徒地帯での「勤勉・忍耐」「間引き堕胎回避」「大工・木挽きの出稼ぎ」に、「」がいわれる.
薬製造、売薬の分野で広く全国を行脚したことに、真宗が病気平癒祈祷をおこなわぬ裏返しとしてあり、門徒にも合理的生活習慣の浸透を読む.
ほかにも「繭沸騰」による殺生、北海道・ハワイ・南米への移民・移住もこの教団で見られる営為.
真宗の寺院が地域で占める割合=第1位(寺院率)の高い地域で、教義とエートスが暮らしを規定する.その一方、定信の時代に土地緊縛の封建制原理を超えて、関東に入り百姓、出稼ぎが幕府の政策原理としても選択されたものであることを、指摘している.詳細をみるコメント0件をすべて表示
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