三角縁神獣鏡の時代 (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (1899年12月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784642054669

作品紹介・あらすじ

倭人が海を越えて国際社会に躍り出た、紀元前一世紀から三世紀の耶馬台国の時代まで、日本列島にもたらされた中国鏡は1000面にも達している。倭国はなぜ異常なまでに鏡を求め、中国王朝はこれに応じたのか.東アジア世界の国際情勢を踏まえ、『魏志倭人伝』などの文献史料と中国鏡を照合し、倭国誕生の過程と中国鏡にひそむ象徴性を追究する。

感想・レビュー・書評

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  • 1999年刊。著者は京都大学人文学部助教授。


     まず、漢代400年間の鏡形式について、①大きく7期に分別でき、かつ各々の鏡種は各々特定の時代での鋳造型であることを前提に、②日本に流入した中国鏡の種類と発掘場所を分析し、③弥生時代後半期、列島内の連合体の中心の所在と、それらの関係(闘争競合・従属)、変遷を解読する書である。
     ④また、弥生期と大和期を画する三角縁神獣鏡(著者は魏鏡説)の解説と、刊行直前に該鏡が30数枚発見された黒塚古墳(纏向遺跡近辺の奈良盆地島南部在)を踏まえた自説の解釈も叙述する。

     邪馬台国関連書で久々に興味を引く書。
     勿論、先の①の分析は説明不足。型の特徴と中国内での発掘地、漢代での時代毎の変遷を詳述すべきだが、明らかに足りない。ここが肝なだけに残念な点だ。
     しかし、中国古代考古学を専攻する著者の指摘だけに、軽々に切り捨てるのも難しい。かつ漢書地理志や後漢書東夷伝の文献史料との整合性に意を払い、日本国内の漢鏡や魏鏡の発掘状況と地域的特性をガチガチに解説するのは、類書を見ない。
     
     そして得られた結論は、
    ① 前1世紀は漢鏡流入の開始期。
    ② 1世紀は伊都国・奴国をセンターにした漢鏡(4期。王莽期含む)分配システムが成立した時期。
    ③ 2世紀前半に漢鏡(6期)の流入が激減した。これは魏志倭人伝の倭国第一大乱期に相当する。
    ④ 2世紀後半以降に漢鏡(7期)流入の中心が畿内に移動。7期Ⅰについては、北九州での埋蔵も一時的に増加するが、7期ⅡⅢになるにつれ減少していく。
    ⑤ 3世紀(239年)の卑弥呼の遣魏使による三角縁神獣鏡(魏鏡)の流入。纏向遺跡近辺での一古墳で大量に発掘されている。
    というもの。
     弥生後期の時代相を解読する一つの視座が得られそうな内容である。

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著者プロフィール

京都大学人文科学研究所教授.専門は考古学,中国学.
1957年,奈良市に生まれる.1980年に京都大学文学部史学科考古学専攻を卒業,1985年に京都大学大学院博士後期課程を中退し,京都大学文学部助手,九州大学文学部助教授,京都大学人文科学研究所助教授をへて,2005年より現職.京都大学博士(文学).2000年に第13回濱田青陵賞を受賞.
樋口隆康・林巳奈夫教授に師事して漢鏡の研究をはじめ,留学した北京大学歴史系考古専業では宿白・鄒衡・兪偉超教授の薫陶を受けた.在学中より日本の古墳や寺院址の調査を手がけ,京都大学人文科学研究所に着任してからは中国の新石器時代から殷周時代の調査をおこなっている.また,福岡県番塚古墳,中国の遼寧省文家屯遺跡,山西省雲岡石窟・方山永固陵など未発表であった過去の発掘資料について,若手研究者らとともに実地調査をふまえながら再整理し,報告書をまとめた.2005年より人文科学研究所の共同研究班「中国古鏡の研究」を主宰し,中国鏡の銘文を会読している.それと同時に,雲岡石窟にいたる仏教文化の東伝を考古学から検討するため,人文科学研究所に所蔵するイラン・アフガニスタン・パキスタンの発掘資料を整理し,2008年秋には京都大学総合博物館で企画展「シルクロード発掘70年-雲岡石窟からガンダーラまで」を開催する予定である.
[主な著書]
単著に『夏王朝 中国文明の原像』講談社学術文庫,『中国古代王権と祭祀』学生社,『三角縁神獣鏡の時代』吉川弘文館,編著に『雲岡石窟 遺物篇』朋友書店,『文家屯 1942年遼東先史遺跡発掘調査報告書』真陽社,共編著に『国家形成の比較研究』学生社,『世界美術大全集 東洋編第1巻 先史・殷・周』小学館,共著に『東北アジアの考古学研究』同朋舎出版,『世界の大遺跡9 古代中国の遺産』講談社,共訳書に梁上椿著『巌窟蔵鏡』同朋舎などがある.

「2008年 『中国文明 農業と礼制の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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