アイヌ文化誌ノート (歴史文化ライブラリー 128)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642055284

作品紹介・あらすじ

北海道・千島・樺太に暮らすアイヌの人びとは、周辺地域との交流の歴史のなかで多様な文化を創造した。日本・シベリア・北アメリカ・ヨーロッパの文化をも複合したその世界にわけ入り、アイヌ文化とは何かを考える。

感想・レビュー・書評

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  • 吉川弘文館
    佐々木利和 アイヌ 文化誌ノート


    アイヌのモノ文化を扱った本。有名な衣文化と生活用具のほか、千島アイヌ文化を取り上げている。アイヌ文化という一つの文化というより、アイヌ言語圏内の各地域で 変容した文化の集合体のように感じた

    衣文化の中では「アツトシ」と呼ばれる オヒョウという樹皮から糸を作り編んだ長着がいい。労働着にしては 動きにくそうに見えるが、中世貴族のマントみたい。

    「アイヌの昔話」で繰り返し出てきた 小鍋 を見たかったが、この本では出てこなかった。渦巻き文様はあっても、熊やシマフクロウの彫刻や絵柄は 刀や漆器など 生活利器には見当たらなかった


    千島アイヌ文化の中では、テンキ草で編み上げた バスケットがいい。デザイン的にも現代風だと思う。

    このバスケット製法は 北米ネイティブアメリカン、アラスカ、ベーリング海峡を超えたチュクチ族でも見られるらしく、著者は「千島アイヌは北米の文化要素を有している」と結論づけている。ロシアでなく北米文化共通性があることに驚く


    参考文献として取り上げられた 鳥居龍蔵 「千島アイヌ」は 読んでみたい


    千島列島は ラッコのイメージがあるが、ラッコ皮の衣服は資料確認のみで現存確認できないらしい




  • 2.7。千島アイヌの事を知ったのは収穫。

  • 隣接文化,千島アイヌ,衣服,道具に焦点をあてた文化誌。
    欧米,ロシアの博物館におけるアイヌ資料について言及している。

    近接しているのは、ウイルタ(オロッコ:ツングース語系)、ニヴフ(ギリヤーク:アジア諸語系)、ウリチ(ツングース語系)、オロチ,ウデヘ,ナーナイ(ゴリド)、イテリメン(カムチャダール)、コリヤーク,チュクチ。

     アットウシの話題が50ページ,4分の一を占めている。
     アットウシは見た目もよく,話題の中心に相応しいかもしれない。
     衣食住の衣の部分だ。

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著者プロフィール

昭和23年(1948)、北海道出身。法政大学大学院人文科学研究科日本史学修士課程修了。博士(文学)。専門分野はアイヌ民族史・日本近世史。東京国立博物館、文化庁、国立民族学博物館などを経て、現北海道大学アイヌ・先住民研究センター招聘教員、東京国立博物館名誉館員。著作は『アイヌ絵誌の研究』(草風館、2004)ほか。

「2022年 『増補改訂版 札幌の地名がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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