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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784642056014
作品紹介・あらすじ
江戸幕府を支えた幕臣たちは、明治維新の後どのように生きたのか。徳川将軍家が移住した静岡に身を寄せた彼らは、西周(にしあまね)を中心に近代的な学制と、他藩からも注目される高い教育内容の沼津兵学校を創設し、人材の育成に努めた。やがて、各界で活躍の場を見出していった旧幕臣を通して、明治維新の敗者が近代社会で果たした役割を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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江戸幕府の幕臣が維新後に学んだ、近代的な学制と高い教育内容をもつ沼津兵学校の歴史と、その関係者の群像を追う。とにかく、よくこれだけ沼津兵学校の関係者のことを調べたなあ、と感心する。著者もこの20年で蓄積した史料・史実に自信を持っていることが「あとがき」で控えめながらうかがえる。
面白い史実はけっこうある。兵学校の「体操」(今でいう体育の授業)で、生徒のなかから選ばれた生徒が、他の生徒を指導するとやたらスパルタでみんな大変だったという話とか。附属小学校には女子にも開放しようとしていたとか。それはそれで面白い。
面白いんだけど、たとえば旧幕臣が近代に入ってすごく活躍したのは、果してこの沼津兵学校の教育程度が高いことだけが要因だったのか?という疑問もある。育成した生徒が「幅広い分野にわたり国家・社会の指導的・中堅的存在となった多くの人材を輩出した」とあるけれど、そもそもそれは沼津兵学校だけの特徴なんだろうか。旧幕臣もそうだけど、旧藩士にも高い能力や学力で「国家・社会の指導的・中堅的存在」となった人もそれなりに居るような気もする。
問題は、旧幕臣が多く「国家・社会の指導的・中堅的存在」とならざるをえなかった、近代日本社会というのは何だったのだろうか?ということではないのだろうか。それは「高い教育水準」一般に還元できるものではないような気がする(沼津兵学校に最後まで残った学生が不遇だったことはそのことを表している、 p133)。
まあ要は著者自身も書いているのがちょっとおかしいのだが、「ありきたりの結論」(p193)なんだよなあ。沼津兵学校の、近世近代移行期における特質がわからない、という風にもいえるのかもしれない。 -
分類=幕末維新期・明治時代・旧幕府関係者・静岡藩。05年10月。
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