持統女帝と皇位継承 (歴史文化ライブラリー) (歴史文化ライブラリー 266)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642056663

作品紹介・あらすじ

律令国家が成立するまでの二百年間、倭国の最高権力はどのように継承されていったのか。乙巳の変や壬申の乱などの分析や、姻戚関係から、皇位継承の実態を探る。持統「王朝」の成立過程を中心に古代史の謎に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 持統天皇(鵜野王女)に焦点を当てた、日本古代の皇位継承史。本書では、まず6世紀以降の大王位継承の構造を概観し、次いで壬申の乱をはじめとする律令国家成立期における皇位継承と鵜野王女の関係を述べ、そして律令国家成立後の鵜野王女(持統天皇)の皇位継承に関する構想を考察している。
    皇位継承に当たっての生母の身分の重要性とそれとの関係での壬申の乱の分析や、天智天皇の「不改の常典」の解釈(群臣会議を経ることなく、天皇家内部の自律的な皇位継承を行うこと)など、日本古代の皇位継承について勉強になることが多かった。
    しかし、そもそも史料が限られているという制約があるとはいえ、全体的に、史料的根拠が薄弱ではないかと思われる解釈や分析が多いような気がした。草壁皇子と大津皇子の性格の比較のところで、散々それぞれの皇子の性格とその影響についての分析を展開しておきながら、最後に「草壁皇子の実像について語る史料は少なく、その人格はよくわからないのであるが、実際には律令国家の君主にふさわしい人物であった可能性も高い。だいたい、天武や持統、大津皇子についても、その実像をどこまで明らかにできるかというと、はなはだ心許ないものなのである。」と述べていることには、ちょっとがっくりきてしまった。

  • 倉本先生の大友皇子の考え方も新鮮だな
    確かに天智天皇が偏愛したとしても、卑母
    からの皇位継承は考え辛い
    勉強になる

  • 古代の皇位継承については以前、
    藤原不比等の構想について書かれたものを読みましたが、
    これも面白かったです。

    前々から思っていましたが、
    持統天皇はかなり政略的な人ですね。
    古代の天皇の中で随一じゃないでしょうか。

    それにしても古代史の大変なところは血縁関係がわからないところ。
    敵味方が入れ替わる戦国時代の比じゃありません。
    持統天皇は天智天皇の娘で、天武天皇の妃です。
    天武天皇にはほかにもたくさんの妃がいます。
    その中には持統天皇と母を異にする天智天皇の娘がいたりして、
    その子ども同士が結婚したりして、もう把握しきれません。
    しかも名前も読みにくいし(^^;
    随所に系図があるともう少し分かりやすかったかもしれませんね。
    まぁ、系図がぐちゃぐちゃになるでしょうけど…。

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著者プロフィール

1958年、三重県津市生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学。主著に『平安朝 皇位継承の闇』『皇子たちの悲劇』(角川選書)、『一条天皇』(吉川弘文館)、『蘇我氏』『藤原氏』『公家源氏』(中公新書)、『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(講談社学術文庫)、『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)などがある。

「2023年 『小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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