平城京に暮らす 天平びとの泣き笑い (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2010年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784642056885

作品紹介・あらすじ

八世紀に栄えた寧(な)楽(ら)の都・平城京で、人々はどのような暮らしを送っていたのか。発掘された膨大な数の木簡(もっかん)から、下級官人が生活の様々な場面で記した出勤簿、休暇届け、食料の支給伝票、物品の送り状などを読み解く。飲食や宴会のたのしみ、労働や病気の苦しみ…。時代と向き合い、格闘し、天平の繁栄を支えた彼らのリアルな姿を浮き彫りにする。

みんなの感想まとめ

古代の庶民、特に下級官人の日常生活を探求する本書は、発掘された木簡を通じて当時のリアルな姿を浮き彫りにします。著者は、資料が乏しい中で、探偵のように証拠をもとに推理し、彼らの暮らしの様々な場面を描き出...

感想・レビュー・書評

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  • 平城京に暮らす庶民、主に下級官人に焦点を当てて彼らの生活を探って行こうとする本書。

    著者はしばしば、「古代の人々、特に庶民がどのような暮らしをしていたのか、それが知りたいのです」という質問を受けるらしい(本文p24)。とはいえ古代研究にはそもそも資料が少なく、文字資料はあっても法律や制度に関わるものばかりで、庶民の生活について書かれたものなどほとんどない。なのでかろうじて残された木簡や、考古学的な発掘調査を合わせつつ、探偵が推理するかのように当時の生活を推察し情景を紡いでいくほかない。「古代史を学ぶ者にとって、これほど答えようのない質問も少ない」らしい。それでも著者はこの本を通して、当時の名もない人々が「どうやって」暮らしていたか、真摯に答えようと努力してくれている。

    文章は学術論文的な堅苦しさもなく、普通に読み物として読めるくらいに読みやすい。ただ内容を理解するには中学・高校程度の奈良時代の歴史知識は必要かも。特に律令、さらにいえば税規定のあたり。本書で語られる「庶民」にダイレクトに関わってくる部分なので。

    さて、先ほども書いたが当時の庶民がどうやって生活していたか、についての明確な答えはほとんど存在しない。本当に探偵のように証拠(発掘資料)から推理するような形で本書は進んでいく。なので、この本の解釈だけを真実と思うのは危険だと思う。
    たとえば、下級官人たちが休暇を取得する際の理由に浄衣(仕事着)の「洗濯」がよく挙げられていたそうだが、他の本では彼らが着たきり雀で替えの浄衣を持っていなかったために洗濯する時に休暇が必要だった、という解釈だったのに対しこの本では休暇を取りやすい口実だったのではないか、という解釈が与えられていた。
    どっちが本当なのか、あるいはどっちも本当なのか? 答えは現代の我々の誰にもわからない。いろいろな著者の本を読んだ上で自分で暫定的に答えを決めるしかないのだろう、と思った。

  • 「「教科書的」な古代史には不思議な点が多々あった。「運脚」は、あたかも都まで荷物を運ぶと国に帰れずに全滅したような印象を受ける叙述が多い。〈あとがき より〉」
    確かにそのとおりだ。
    古代の庶民は、確かに苦しい生活を送っていたかも知れない。しかし、もっと生き生きと闊達に生き抜いていたのでは無いだろうか。
    この著者の言うに倣うなら、「お気楽史観」と言う事になるだろうが、私自身もそう思う。

    この本を通じて見ると、寧楽(なら)の都の下級官人や庶民たちが、「(支給される)飯が不味い」とか、「(食事の支給に)塩がなかった」とか文句を言ったり、写経のバイトを無断欠勤して副業にいそしんでいたとか、結構楽しそうに(……ではないかも知れないが)、したたかに生きているように思えてくる。

    木簡などとして残っている資料は、悲痛な暮らしを訴えるのもあるだろう。だが、その背後でわりと、現代人が「不況で……」とか「デフレで……」とか言うのと変わらない感覚で人々は生きていたのでは無いだろうか。

  • 出土木簡を中心とした考古資料の分析から、下級官人を始めとした民衆生活の様々な断面を紹介する内容。平城京での日々の暮らしや役所務めのリアルな空気感が感じられてとても面白かった。

  • 木簡の1枚づつ読み解き、下級役人たちの日常生活の浮かび上がらせる。地道な努力に頭がさがります。

  • 木簡を、燃やさずに捨てた当時の庶民に感謝!
    それを発掘して、
    分類・解読・検証している学者さんたちに感激!

  • レビューが高評価でしたが期待通り面白かったです。
    まずとても読みやすいし文章がくだけてて何度もクスっとなる。とても数多くの木簡や文書に見られる実例が挙げられていますが、内容は広く浅め(濃いといえば濃い)なのでそこもっと詳しく!!となる部分も多いかも。でもそれはまた今後調べる余地の楽しみがあるかなと私は思いました。下級官人といえどそこそこの暮らししてましたよーという話があまりよそでは見ない記述だったので印象に残ってますね。正倉院展で観る写経所文書などは官人のつらそうな部分を強調してる感じあるので意外ですがそう云われるとそうだなあと納得する。
    そして一番面白いなと思ったのは帯にあるコピーの「ここまでわかった!」と同時に「こういうことはわからない」という記述もあることですね。あと「かもしれない」という範疇のものも書かれてますし、素人からでは何がわかって何がわからないのかって結構見えてこないものですから。この本が面白かった!で完結というよりは色々観る楽しみがこの先増えたなあという期待が最も得るものだったと思います。

  • ごめんなさい、読んでいません。
    ただ、amazonで「平城京」関連の本をさがし、評価が高いものを選びました。
    何故そういうことをするかというと、こういう本に興味のある方なら、「第一次朝堂院の広場整備」問題に関心を寄せてくださるのではないかと思い・・・
    わたしも昨日まで知らなかったのですが、平城京跡中心部の草原と湿地を埋め立てる工事が進んでいます。

    ニュース奈良の声HP「緑地、木簡は? 平城宮跡中心部で舗装進む」http://www.ac.auone-net.jp/~nara-koe/news245.html
    国土交通省国営飛鳥公園事務所HP
    http://www.kkr.mlit.go.jp/asuka/heijo/

    もし、なにこれイカンイカンと思った方がおられましたら、ならまち通信社というところが署名運動を行なっています。
    平城宮跡〈埋立て・舗装工事〉 - ならまち通信社
    http://narapress.jp/hjk/

    思表示おねがいします!

  • [ 内容 ]
    八世紀に栄えた寧楽の都平城京で、人々はどのような暮らしを送っていたのか。
    飲食や宴会のたのしみ、労働や病気の苦しみ…。
    下級官人が生活の様々な場面で記した木簡を読み解き、そこから浮ぶ彼らのリアルな姿に迫る。

    [ 目次 ]
    古代と現代をつなぐ瞬間―プロローグ
    寧楽点描
    役所勤めの日々
    生活断章
    下級官人たちの主張
    新しい時代に向けて―エピローグ

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • すごく面白いです! 歴史の本なのに、超短編小説やミステリーを読んでる面白さ。
    「平城京ではこのような暮らしが営まれていました」というだけではなく、木簡などに記録された出来事や事件を、固有名詞で具体的に紹介してくれているので、読んでいるヒトも一瞬で平城京に連れて行かれる感じです。
    例えば、但馬国から平城京に連れてこられた容姿端麗な二十四歳の奴(ぬ)、池麻呂と糟麻呂の脱走の話。利苅(とかり)の優婆夷(うばい)というヒトが、市でアヤシイ男に絡まれる話。葦原王という呑兵衛らしい王族の、酔っぱらった挙げ句の殺人事件、などなど。
    奈良で開催中の平城京展(だっけ?)に行く方も行かない方も、是非読んでみてくださいとオススメしたい本です。

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著者プロフィール

一九七二年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程中途退学。奈良文化財研究所都城発掘調査部主任研究員。日本古代史・木簡学。著書『平城京に暮らす』(吉川弘文館、二○一○)。主要論文「駅と伝と伝馬の構造」(『史学雑誌』一○五ー三、一九九六)「「都市」平城京の多様性と限界」(『年報都市史研究』一三、二○○五)。

「2012年 『史料から読み解く三河』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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