江戸大名の本家と分家 (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2011年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784642057318

作品紹介・あらすじ

かつては日本人の意識に密着していた本家と分家の関係。江戸の武家社会では「家」の存続のため、より重要な意味があった。将軍を頂点とする三者関係や、家紋による区別の仕方、結びつきを強める状況などを、佐賀藩鍋島家をはじめとする全国の諸大名の事例から詳細に分析。通説だった支配と従属の上下関係だけではわりきれない複雑なお家事情を描く。

みんなの感想まとめ

本家と分家の関係は、江戸時代の武家社会において非常に重要であり、単なる上下関係にとどまらない複雑な様相を呈しています。全国の大名家の事例を通じて、将軍との主従関係や、分家が本家を超える石高を得ることも...

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代のすべての大名家は、本家と分家に分けられる。
    それらの、本家と分家にはどのような関係があったのか。
    単に上下関係ということではなく、その関係は多様であり複雑です。
    将軍とも主従関係を結んでいることにより、分家が昇進を重ねて、
    本家よりも石高が高くなってしまうこともあります。
    お家騒動、改易はどちらの立場にも発生してしまう。
    それでも、同族的結合関係・・・「家」の存続という大事。
    様々な大名の本家と分家の関係が例として多く示され、
    また、家紋にも本家と分家による違いもあり、
    大名という存在を知るには良い内容でした。

  • 本家と分家は上下、支配関係にありながら、分家大名は幕府の直属の家来であるという矛盾。様々な大名家の例から、実に多様な本・分家があったことが分かります。福岡・秋月藩の黒田家、加賀・前田家と各分家のように、本家が経済的な支援を行っていた例もあれば、仙台・宇和島藩の伊達家は当初は経済支援をしていたにも関わらず、分家のプライドから徐々に対等になっていったり・・・。考えてみれば家の秩序と、幕府の秩序の両立の難しさは徳川家そのものも御三家、また越前家(結城秀康)との間で抱えていた問題ですね。5代将軍・綱吉も本家ではなかったという複雑な立場でした。

  • 分家はいつも本家の言いなりだったのか?
    常識をくつがえす武家社会の「お家事情」
    かつて日本人の意識に密着していた本家と分家の関係。
    江戸の武家社会では「家」の存続のため、より重要な意味があった。
    佐賀藩鍋島家など全国の諸大名の事例から、上下関係だけではわりきれない複雑なお家事情を描く。

     大名家の本分家関係 −プロローグ
     全国の大名家における本家と分家
     分家をつくる
     「同族」関係の維持
     新しい本分家関係 −エピローグ

    個人的には、吉川弘文館久々のヒットである。
    まずはカバーの絵が良い。江戸時代の日本地図に諸大名の家紋(伊達家、前田家、鍋島家、細川家)
    が描かれている。
    まず著者は「部屋住格大名」という概念を提示していることが面白い。これは、藩主の子や弟であり
    初御目見以降分知を受けるまでの間、大名の庶子として幕府儀礼に参加している者をいうそうである。
    (所領を持たないものの幕府からは大名として位置付けられている者をいう)
    なお、一万石以上が大名であると定められたのは、寛永十二年(1635)の武家諸法度以降定めら
    れたものだという。
    また、分家大名は、将軍から領知朱印状を拝領するか否かによって別朱印分家と内分分家に分けるこ
    とができるという。別朱印分家の場合、分家の所領分、本家の所領が削られるため本家の家格が低下
    するというデメリットがある。対策としては、新田分を分知することや、りん米を支給することに
    より本家の石高を減らすことなく分家をつくる方法もあったという。(○○新田藩とかありますね)

    分家が改易されると、領地は一旦、幕府に収公されるという。これは別朱印、内分に限らずどちらも
    同じ扱いであったという。ただし、本家と幕府の関係によっては、領地が還付されるケースもあると
    いう。逆に本家が改易された場合、内分では分家も改易されるという。(例外もある)

    経済的に困窮が進むと、分家は本家に支援を求めるようになる。逆に分家は、本家の名代や当主が幼
    少時には後見人などの役割を求められる。また、分家は将軍の家来でもあるため本家が一方的に優越
    している訳ではなく、一定の配慮をされているという。
    将軍綱吉は、奥詰衆に国持大名の分家を命じ、将軍権力の強化を図ろうとしているという見方も面白
    い。一部誤字らしき部分があるのが残念であるが、いろいろ新しい発見がありおススメの一冊である。

  • 江戸時代の大名家の「本家と分家のあり方」につき詳細に記されています。
    系図を追っていくと、大名から分家した場合の取り扱いで疑問に思う点は多々あったのですが、これを網羅した書籍は今まで見たことなく
    例えば
    ・本家が改易されたとき、分家にどのような影響をもたらすのか
    (連座して改易?転封?無関係?)
    ・分家のほうが格式が高くなったことはあるのか
    といった疑問にも明確に答えてくれます。

    積年の疑問に対し、かゆいところに手が届いたという点で☆5つとしたいです。

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著者プロフィール

1971年、埼玉県生まれ。2006年、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程修了、博士(比較社会文化)。現在、昭和女子大学人間文化学部准教授。 ※2023年3月現在
【主要著書】『近世分家大名論』(吉川弘文館、2011年)、『江戸大名の本家と分家』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館、2011年)、『小城藩』(シリーズ藩物語、現代書館、2019年)

「2023年 『徳川将軍家 総論編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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