モダン・ライフと戦争: スクリーンのなかの女性たち (歴史文化ライブラリー 364)

  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642057646

作品紹介・あらすじ

日本がファシズム化したと言われる一九三〇年代、映画は戦争どころか平和で活気ある社会を描き続けた。田中絹代、原節子らがモダン・ガールとして登場した映画と戦争の意外な共犯性を論じ、資本主義と戦争の関係に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/64685

  • ふむ

  • 歴史

  • 戦前期の女性と映画について学ぶことが出来た。

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     日本映画は、「銃後」と呼ばれながらも中途半端なまま統制が緩やかに進行した一九三八、九年の社会にしたたかに対応した。何よりもスクリーンのモダン・ライフは、国民生活を戦前に変わらぬ豊かさのイメージによって描き、実際に戦争がもたらしたダメージを観客がまともとに直視することを妨げることで戦争を支援したのである。
     スクリーンのモダン・ライフは、資本主義社会のビジョンを持たずに繁栄に憧れる人々が放つ活力の輝きと危うさを同時に伝える。果たして、彼らを見詰めた観客たち自身とどれほど違っていたのだろうか。このように感じる時、私たちの歴史的想像力は触発されてやまない。
        --宜野座菜央見『モダン・ライフと戦争 スクリーンのなかの女性たち』吉川弘文館、2013年、220頁。

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    宜野座菜央見『モダン・ライフと戦争 スクリーンのなかの女性たち』吉川弘文館、読了。ファシズムが台頭した「非常時」、映画は戦争一色になるどころかモダン・ライフを描き続けた。本書は、30年代の日本映画を女優に着目して論じた一冊。女性の美と資本主義、戦争と平和の関係を大体に描き出す。


    ファシズムが台頭した「非常時」、映画は戦争一色になるどころかモダンライフを描き続けた。本書は30年代の日本映画を女優に着目して論じる異色作。女性の美と資本主義、戦争と平和の関係を描き出す。

    黎明期の映画産業は資本主義の肯定と無縁ではない。大衆の欲望に応えることで発展し、戦時期の作品もモダンライフを描き続けた。栗島すみ子から田中絹代、原節子に至る作品群の女性表象を分析することでその共犯関係を詳述する。

    勿論、戦争末期になるとモダン・ガールは批判の対象となる。転変する女性表象は資本主義と戦争に翻弄されるスターの影を映し出す。この時代を単純な構造(例えば、軍部/無辜の民)で認識しがちだが、本書はその襞と闇に切り込んでいく労作だ。



     

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著者プロフィール

沖縄県那覇市生まれ、東京にて育つ。早稲田大学法学部卒業。東北新社勤務を経て、ニューヨーク大学大学院MA取得。2007年、UCLA大学院歴史学部Ph.D取得。現在、明治大学・大阪芸術大学兼任講師。 ※2013年2月現在
【主な編著書】「映画のなかの新秩序―モダンの内面化と文化のヘゲモニー」(山田朗編『戦争Ⅱ 近代戦争の兵器と思想動員』青木書店、2006)「沖縄を語る行為の現在」(黒川みどり編『近代日本の「他者」と向き合う』解放出版社、2010)

「2021年 『モダン・ライフと戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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