維新政府の密偵たち: 御庭番と警察のあいだ (歴史文化ライブラリー 368)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642057684

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  • 歴史

  • 明治政府ができて,警察に吸収される形で無くなった密偵の活躍を丁寧に資料を当たって書いている.約10年間程の期間だが,その報告する内容も必要な情報だけでなく,お金の無心だったり同僚の悪口や興味本位の噂話的なものまであって,とても面白かった.公安となると恐ろしい感じがするけれど,この密偵達は微笑ましいところも多い.

  •  明治初年の文明開化期、1871-77年に太政官正院に存在した情報収集機関「監部」とその密偵たちの実像に迫った研究。警察成立前の政府によるインテリジェンス・諜報活動、特にキリスト教の宣教師・教会に対する偽装入信によるスパイ活動や、地方の民情・政情の監察・調査活動を明らかにしている。密偵の報告からは、当該時期の地方官の実情や維新政府の近代化政策に対する地域社会の生の反応が読み取れ、またこれらを当時の政府首脳が事細かに把握していたことがわかる。この分野の歴史研究はこれまでほとんど蓄積がなく、それだけに本書の価値は高いと思われる。

  • 明治の初期に活躍した政府のスパイたち。不平士族の監視だけでなく、実はキリスト教会にも密偵が送り込まれていた!彼らの政府へのレポートが今となっては楽しい。このような報告が明治維新の裏の文化史を知る手がかりになるとは気が付かなかった。そして責任者大隈重信の裏の姿。初期のキリスト教会にこのような密偵が入って受洗まで・・・。彼らそのものがどのように聖書の福音を受け止めていたのかは興味津々である。そしてキリスト教が日を追って蔓延し、密偵の存在意味がなくなり、1874年に活動に終止符が打たれた。それが禁教の高札撤去と関係がなかったというのも面白い!特定秘密保護法案の審議が続く中、タイムリーな読書になった。

  • 誠実な敵の獅子身中の虫となったり、各県庁の様子(まるで県庁の給湯室的な)を収集する密偵の苦難。

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著者プロフィール

1950年、長野県生まれ。1973年、早稲田大学第一文学部卒業。1978年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学名誉教授、博士(文学) ※2022年9月現在
【主要著書】『小野梓 未完のプロジェクト』(冨山房インターナショナル、2016年)、『「主権国家」成立の内と外』(日本近代の歴史2、吉川弘文館、2016年)、『世界の中の近代日本と東アジア』(吉川弘文館、2021年)

「2022年 『唱歌「蛍の光」と帝国日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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