落書きに歴史をよむ (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2014年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784642057752

作品紹介・あらすじ

今も全国各地の古寺に残る、古代~中近世の参詣者や工人、武士らによる「落書き」。彼らは落書きにいかなる思いを込め、なぜそこに書き記したのか。山形県の若(じゃく)松(しょう)寺(じ)観音堂をはじめ、各地の寺院に残る「落書き」を中心に鮮やかに読み解く。落書きされた歌に秘められた謎にも迫り、不安定な社会情勢と向き合う人々の心のありようを、歴史的に考える。

みんなの感想まとめ

落書きを通じて、古代から中近世にかけての人々の心情や社会情勢を探ることができる本作は、歴史資料としての価値が高い。特に、寺院に残る落書きは、当時の庶民の視点を反映し、彼らの生活や感情を生き生きと伝えて...

感想・レビュー・書評

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  • 落書きはいつの時代も、ある意味生の世相を表す鏡と言っても良いくらい、その時代を庶民目線から知る事ができる貴重な資料と言える。
    しかし、何気に男色の事について書かれたものが多いというのも、現代の便所落書きレベルのものはいつの時代もあるんだと、ちょっと面白い。

  • ☆16世紀後半から17世紀前半にかけて、巡礼という非日常でラキガ期を書いた。本貫地と名前を書いてあるのが多い。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784642057752

  • 書きおくもかたみとなれや筆のあと我はいずくのつゆとなるとも
     作者不明

     唐突ながら、「プレカリアート」という言葉をご存じだろうか。「不安定な」を意味するイタリア語「プレカリオ」と、プロレタリアート(賃金労働者)を組み合わせた新語で、イタリアの路上に「落書き」されたことから広まったという。
     そんな逸話もあって、「落書きに歴史をよむ」という書名を見た瞬間、迷わず購入。話題は日本の中世と近世だが、落書きを歴史資料として活用し、当時の生活者の「心性史」をさぐる試みに共感した。
     当時の落書きは、仏堂や寺院から多く発見されている。しかも定型句があり、一つは、「かたみかたみ」。「かたみ」は記念のことで、掲出歌にもこの語がある。参詣の記念や祈りのほか、改修工事を担当した職人たちが、屋根裏などに自分の住所と名前を記念に書き付けていたのだ。
     さて、もう一つの定型句は、「あらあら恋しや」。「若もし(美少年)様」とセットで書かれることが多く、ここから、仏堂空間での男色の傾向が読み取れるらしい。
     また、和歌の落書きが多いことも特徴で、恋歌やお祝いの歌などが土器の内面に書き付けられていた。内側に書くことで、呪文のような役割も果たしていたらしい。
    対照的に、よく見られる「いろは歌」は、土器の外面に書かれており、手習いや筆ならしであったこともうかがえるとか。
     ところで掲出歌は、各地で同時多発的に落書きされ、「つゆ」は「土」の例も見られている。作者は謎なので、これで新作ミステリーが書けるかもしれない。

    (2014年9月28日付)

  • 古くからの落書きは、特に16世紀後半から17世紀初めに33か所などの寺院巡礼をしていた人の大量の落書きがあるらしい!この落書きを通して当時の世相を知るということは知的好奇心を感じる。「かたみかたみ」「あらあらこいしや」の意味するものは・・・。そして詠み人知らずの歌が落書きを通して広まっていったようだ。それは単なる落書きではなく、時(年月日)、出身地、氏名を残す祈りの言葉でもあり、それが「かたみの歌」※を広めた理由でもある。一方「あらあらこいしや」は今でいう相合傘!人の本性は時代を経ても変わらない!また違醍醐寺の天井板に951年10月の竣工の直前の画工たちの落書きが多いというのも同じ目的なのだろう。
    ※「書きおくも かたみとなれや 筆のあと 我はいつくの つゆとなるとも」

  • 落書きは史料になりうるのか?という問いから始まり…。
    いろいろ勉強になったんですが、
    ・落書きには型があるようだ
    (現代でいう相合傘のマーク)
    ・和歌をお堂の壁に書きつけるのは結構一般的
    (楠木正行が書きのこしたのって何で?って思っていたけど、武士には一般的だったらしいと分かり、納得した)
    ・紙に残されていない和歌も一般で伝えられていたものがあったらしい
    などなど、新しいことを吸収できた。
    文体も読みやすく、すらすらと読めた。

    文献を参照、政治史や制度史という王道とは全く違う分野だけれど、落書きは文献と同等の「史料」であることは間違いなく、それを扱う研究者の姿勢が問われているというあとがきにはなるほどと納得させられた。

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著者プロフィール

国立歴史民俗博物館教授(日本古代史) 【著書】『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』(小学館、2018年)、『落書きに歴史をよむ』(吉川弘文館、2014年)、『日本古代の文字と地方社会』(吉川弘文館、2013年) 【趣味・特技】映画、演芸、ラジオ、アルトサックス

「2021年 『REKIHAKU 特集・日記がひらく歴史のトビラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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