名前と権力の中世史 室町将軍の朝廷戦略 (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2014年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784642057882

作品紹介・あらすじ

名前に権力者と同じ文字を使うことを避けねばならなかった中世社会。どのような名前をつけられ、なぜ改名したのかを探ると、当時の政治的秩序が読み取れる。室町将軍は、公家衆に名前の一部を授けたり擬制の親子関係を結ぶことで、朝廷との関係をいかに強化しようとしたのか。将軍十五代の朝廷戦略から、名前をめぐる権力と政治状況を解き明かす。

みんなの感想まとめ

中世における名前の重要性と権力の関係を探る本作は、室町将軍家がどのようにして天皇や公家と関係を築き、または対抗していたのかを描いています。特に、偏諱や擬制的親子関係といった手段を通じて、将軍がどのよう...

感想・レビュー・書評

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  • 諱の一字を与える偏諱・擬制的親子関係である猶子という手段のとられ方を通して、室町将軍家がいかに天皇・摂関家・公家・門跡寺院に対抗し取り込もうとしていたか。義満期には家督の安堵を補償する見返りに偏諱・猶子関係を受け入れさせて家格を上げて影響力を及ぼし得たものの、戦国時代へ至っての将軍の権力低下とともにそれも潰えていったという。

  • 【版元】
    著者 水野智之
    ジャンル 通史・概説
    シリーズ 歴史文化ライブラリー
    出版年月日 2014/10/20
    ISBN 9784642057882
    判型・ページ数 4-6・224ページ
    定価 本体1,700円+税
    http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b182789.html

    【目次】
    目次 [003-006]

    名前をめぐる政治と権力――プロローグ 001
    名前をめぐって/名前と権力/姓・名字・実名(諱)・仮名/偏諱とは/猶子とは/中世の家と親権/日本中世の権力と政治

    ■古代・中世前期の命名と権力
    天皇・貴族の命名と権力 014
    律令と名字敬避/避諱統制の強化/仏菩薩・聖賢への敬避/嵯峨天皇による命名の影響/元服・叙爵・命名/家の形成と命名の慣習/名簿の捧呈/放氏と続氏

    武家の命名と権力 030
    武士の成立とその台頭/武士の系字と通字/武士による実名の敬避/以仁王・源義経らの改名/武士の偏諱/源家将軍の命名と偏諱/摂家将軍の命名/皇族将軍の命名/北条氏の命名と偏諱

    清和源氏と足利氏 049
    御門葉と名字/足利氏と北条氏/モンゴル襲来と足利氏/足利氏の「源氏嫡流」化/足利氏と持明院統/足利高氏・新田義貞の命名

    ■将軍権力の確立 足利尊氏〜義満期
    将軍の実名敬避と公家衆・僧衆に対する偏諱授与 062
    尊氏と後醍醐/高氏への偏諱とは/尊氏の実名敬避/義詮の実名敬避/観応の擾乱/義満の執政へ/義満の実名/足利家に対する諸家の崇敬/義満による偏諱授与――加賀局と中山満親/増加する偏諱の授与

    家門安堵と偏諱・猶子 081
    家門とは/家門安堵の展開/家門に対する足利義詮の関与/足利義満による家門安堵/摂関家子弟への偏諱授与/偏諱授受の反応/家門安堵と偏諱授与/洞院家への偏諱授与

    将軍子弟の門跡寺院入室 095
    門跡寺院への入室/北朝天皇の実子――光厳・光明・崇光・後光厳の場合ー/将軍実子の入室/青蓮院と尊満/醍醐寺と満済/大慈寺と聖久/公家社会の秩序と足利家の関与

    ■将軍権力の専制と動揺 足利義持〜義尚期
    偏諱授与の展開 110
    義満の後継者義持/山科家と足利義嗣/家門安堵と偏諱/摂関家への偏諱授与/天皇の諒への関与/義宣(義教)の実名敬避/義教の偏緯/今出川家と義持・義教/摂関家に対する義教の偏諱

    将軍家と公家のはざま――将軍猶子の門跡寺院入室 126
    義教の実子と猶子/後南朝の教尊/猶子の入室と家督人の忠節/後花園天皇の妹加々子/将軍猶子への厚遇/三宝院満済に対する書札礼/門跡寺院の入室状況

    将軍権力の動揺と朝廷・公家衆の動向 138
    嘉吉の乱後の偏諱授与/西園寺実遠の元服/足利義成の命名/義政への改名/一般公家衆への偏諱/摂関家への偏諱/将軍名字の敬避/門跡寺院の入室状況/尼寺への入室/南北朝時代以前への回帰

    ■将軍権力の分立と抗争 足利義材〜義昭期
    将軍偏諱に対する意識の変容 154
    義材の将軍継承と明応の政変/十一代将軍義返(義高・義澄)の偏諱授与/政治状況と改名/義尹の偏諱授与と猶子/三宝院義尭と九条家門/政争と偏諱/近衛政家の猶子義忠

    将軍権力と天皇権威の展開 165
    義植の没落と細川高国の義晴擁立/義晴の偏諱/改名と天皇/義晴の偏諱と家門安堵/後奈良天皇の猶子/一乗院覚慶と近衛家/義藤(義輝)期の状況/義輝の暗殺

    将軍と天下人 180
    足利義昭の上洛/義昭の偏諱/義昭追放以後の状況/織田信長の偏諱と猶子/将軍の父信長/門跡寺院の入室状況

    室町将軍の権力と権威――エピローグ 191
    名前の果たした政治的意味とは/偏諱の授受・猶子関係にみる将軍権力の展開/室町将軍の朝廷戦略とは

    あとがき(二〇一四年八月 水野智之 ) [201-202]
    参考文献 [203-207]

  • 名前を使い公家と武家が、関係強化を競う未知の世界、歴史は深いなあ

  • 室町将軍の家格の上昇と凋落について。
    難しいのは、室町殿は公武合体政権として旧秩序を守った部分と天皇を中心とする権威構造の転換を同時にやろうとしているところだ。
    安定化の観点で見れば、失敗を運命付けられていた感じもする。

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著者プロフィール

1969年、愛知県に生まれる.1999年,名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学,2001年、博士(歴史学・名古屋大学).現在、中部大学人文学部歴史地理学科准教授. ※2014年10月現在
【主な編著書】『室町時代公武関係の研究』(吉川弘文館、2005年),「室町・戦国期の本願寺と公家勢力」(新行紀一編『戦国期の真宗と一向一揆』吉川弘文館、2010年)

「2021年 『室町時代公武関係の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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