古代の女性官僚 女官の出世・結婚・引退 (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2014年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784642057905

作品紹介・あらすじ

宮廷の運営など、古代社会の「マツリゴト」に関与できた女性たちは、女官=女性官僚としていかなる能力を発揮したのか。史料に残る千人の女官データから、出仕を果たすための二つのルート、配属や日常業務、勤務評定と出世、俸給と財産形成、生活と結婚、引退と死に至るライフコースを辿り、日本という国の成り立ちを支えた女性たちの実態を描く。

みんなの感想まとめ

古代社会における女性官僚の活躍を描いた本書は、女性たちがどのようにして宮廷の運営に関与し、能力を発揮していたのかを明らかにします。千人の女官のデータを基に、彼女たちの出仕ルートや日常業務、勤務評定、出...

感想・レビュー・書評

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  • NHK Eテレの「知恵泉」で2024年7月に放送された、奈良時代の女性官僚。
    本書は出演した先生の著作である。
    和気広虫は知っていたが、飯高諸高はテレビで知った。
    「私、失敗しないので」なんと80歳まで働いていたという。
    生涯現役、とは非常に現代的。
    心身共に壮健で何より。

    本書で面白いのは勤務評定と出世。
    上には厚く下には薄い…。
    なんとなく奈良時代というとのんびり仕事していたのかな、なんて思っていたが、中央の管理職の年間必要出勤日数は240日以上。
    交代勤務の下級役人は140日以上出勤が必要。
    まずこれを満たさないと成績評価がなされない。
    ん?これは、令和に生きる私の姿なのか?

    なお、女性の勤務評定は男性と同じにすべし、という規定があったことは、驚きだ。
    1985年に定められる男女雇用機会均等法(施行は翌年)のもっと前から、ちゃんと規定があった。
    また、能力評価については多様で柔軟性があったことも特筆すべきだろう。
    だがその一方で出自が最も優先され、出世にあたり、ガラスの天井があったことも忘れてはならない。

    「恋と結婚」の章では、今でいうパワーカップルの話が面白い。
    大臣の妻が女官であることは珍しいことではなかった。
    しかも夫の七光ではなく、二人三脚(まさにパワーカップル)であったり、夫の死後出世する妻もいたそうだ。
    子供がいても仕事は続け、歳をとってからこそ輝く女官。
    現代の方がよっぽど遅れているのでは?
    しかし、そんな女性が活躍していた官僚制度が変わっていくのが平安中期とのこと。
    なぜなのか、そこも知りたい(本書では詳細な言及はなし)

    本書に書かれた内容は目から鱗、驚きに満ちている。
    男女ともにコツコツと目の前の仕事をこなして活躍していた人々の姿に励まされた。
    矮小化されてきた「女性活躍」の姿や、それを当たり前に捉えていた天皇や中央官庁の姿は心強い。
    そして何より歴史ではいないかのように扱われる女性の歴史資料がこんなにもあることにも驚いた。

    たまたま見た番組を端緒に大変面白い学びに繋げることができた。
    人名や官職が万葉仮名で難しい面もあったが、大変面白く読むことができた。

  • 女官というと、中国の皇帝に仕えるイメージが強く、わが国古代でなぜ、県犬養橘三千代のような女官があれほど活躍できたのかが謎だった。
    この本は、その謎をしっかり解き明かしてくれた。

  • 日本古代律令制下で、女官が多少の不平等はあるものの、男性官吏と並んで朝廷で、遺伝や季禄をもらう存在だったというのは、知らなかった。
    古代社会で、夫のものとは独立に、女性自身の家司を持っていたというのも目から鱗。確かに、核家族で結婚して夫婦で住む生活じゃ無いわよね。
    女官としての、年間の必要出仕日数は240日って結構ありますよね。結婚しても、引退しなかったと言いつつ、出産しちゃったら流石に休まんとやっていけんと思うんだが、出産休みはあるんですかね。
    女官の全体の仕組みは、今まで知らなかった話で面白かった。しかし、現実にどういう仕事、暮らし方をしてたのかはよく分からなかった。分からないことの方が多いのかな。労作。

  • 正倉院 the showに行って光明皇后の書を見て、古代女官に興味を持っていたので。面白かった! 奈良時代はエリート官僚夫婦が多かったんだ。平安時代の女房とは全く違う働き方で驚き。男女の差よりも家の差が大きいのね。休むと評価の対象にならないとか70歳にならないと退職できないとか、厳しい世界だ……。

  • 律令制下の宮廷に仕えた女官の実相を、出仕形態や職務内容、評価と出世、経済基盤や生活実態など、多様な側面が詳述されている。最後に記された平安時代前期における変容過程も含め、興味深い内容だった。

  • 日本古代律令制では女性も男性官吏と似た様に、朝廷にて官僚として働き、位田や季禄(給与)、官位(出世)を貰って、家政機関も持ち、家への行幸も夫の附属としてではなく独立して行われ、宮廷には終生勤務できた
    (後宮と雖も天皇に性的な奉仕はしない⇨桓武は?)
    年間出仕で最低240日行えば勤務評定や昇位の資格が与えられる
    大臣たちの妻で有名なのは、不比等⇔橘三千代・長屋王⇔藤原長娥子・橘諸兄⇔藤原多比能・藤原豊成⇔藤原百能・仲麻呂⇔藤原袁比良・藤原永手⇔大野仲千・藤原継縄⇔百済王明信・冬嗣⇔美都子・藤原三守⇔橘安万子
    天皇直属の後宮十二司
    内侍司(尚侍・典侍・掌侍)常に侍し奏請と宣伝を行う
    蔵司(尚蔵・典蔵・掌蔵)神璽・関契・衣服・珍宝管理
    書司(尚書・典書)仏教、儒教の典籍・紙・墨・筆管理
    薬司(尚薬・典薬)男性内薬司が調合した薬の管理
    兵司(尚兵・典兵)実体はない…以下略

  • 古代日本の女官について、その仕事、出世、生活、結婚など、多角的に解説。
    古代の女官というと、紫式部・清少納言や大奥的なイメージがあったが、特に平安前期までは、男性官人とともに実質的な政治的行政的役割を果たし、活躍していたことを知り、目から鱗だった。

  • 水尾図書館

  • 歴史

  • 女官とは。
    これまであまり光のあたっていなかった部分をコンパクトにまとめた本。

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著者プロフィール

1959年、岩手県に生まれる。1984年、千葉大学教育学部卒業。2012年、専修大学大学院文学研究科歴史学専攻博士課程修了、博士(歴史学)。現在、川村学園女子大学、専修大学等非常勤講師。 ※2015年1月現在【主な編著書】『歴史のなかの家族と結婚―ジェンダーの視点から―』(森話社、2011年、共著)、「女性の「排除」と「包摂」―古代の権力システムのなかの女官―」(総合女性史学会編『女性官僚の歴史』吉川弘文館、2012年)

「2016年 『日本古代女官の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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