中国古代の貨幣 お金をめぐる人びとと暮らし (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2015年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (234ページ) / ISBN・EAN: 9784642057950

作品紹介・あらすじ

人間の貨幣への欲望はいつ生じたのか。中国古代の出土資料をもとに貨幣の起源を探り出し、秦漢帝国が「貨幣統一」をめざした真相に迫る。また、商品売買と価格競争の実態や、官吏の給与体系、貧民街の様相にいたるまで、人びとの日常的な生活風景を活写。貨幣の社会的意味と、贈与に関わる慣習や作法を解き明かして、現代貨幣の意義をも照射する。

感想・レビュー・書評

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  • 秦の半両銭は十二銖の重さであり、秦の聖数のため制定された、後に約数である四銖の重さを公定貨幣とした。漢武帝は五銖銭を鋳造し、漢の聖数五を取り入れ、秦からの価値観の脱却を図ったと一説を紹介している。
    半両銭は、時代が下がるに従って軽くなっていったが、銭文の半両は変わらず、全て一銭として通用した。しかし銭文と実重量の乖離・混乱に抗しきれず、五銖銭という銭文と重量一致の公定貨幣を生み出すに至る。
    当時の価格は固定官価・平価・実勢価格の三価が有った。固定官価は律文記載の価格、実勢価格は市場での実価格、平価は実価格を参照して決められる官民取引時の価格。当時の市は場内の一区画に制限され、また同業種は固まっており商品には値札がかけられていたために価格競争は激しく、商人の不当収益は図りにくかったのではないか。
    爵位・血縁・徳行・価格の各次元の価値観が独立して存在する四肢的世界観と提唱する。また古代漢帝国の貨幣を上位の黄金、中位の布帛、低位の銭の三貨制とし、そうした複数のコミュニケーションや貨幣を存立させたことが、帝国の強靭性を生んだと主張している。

  • 秦・漢・三国から晋あたりの、古代中国における『貨幣』の種類、位置づけを論じ、また庶民生活における貨幣の使われ方を真に迫る筆致で描き出している、一般向けの良書。

    特に、黄金、布帛(絹とか)、銭の使い分けが、儀礼やTPOで異なる、という分析が興味ぶかかった。
    現代の日本では、支払いしたり受け取ったり、納税さえも『貨幣一種類』である。
    一方古代の中国では、労役、銭、そして布帛で納税していたわけで。
    当然、政府の支出も「偉い役人が辞める時は、黄金を持たすことで、名誉と価値の両方を与える」ことがある一方、
    「未開拓の土地に民を入植させるときの支援金は、銭で行う」ことで、実用に供する目的もかなえる。

    他国・他の時代の貨幣経済史との比較もあり、読んでいて面白い。
    『当時の市場を一市民として歩く』といった、タイムスリップ気分になれる一章もある。
    同じ作者による、『古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで』 (中公新書 2669)を読むのが楽しみになる一冊であった。

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著者プロフィール

柿沼陽平

1980年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。University of Birminghamに留学。早稲田大学大学院文学研究科に進学し、2009年に博士(文学)学位取得。早稲田大学助教、帝京大学専任講師、同准教授などを経て、早稲田大学文学学術院教授・長江流域文化研究所所長。専門は中国古代史・経済史・貨幣史。2006年に小野梓記念学術賞、16年に櫻井徳太郎賞大賞、17年に冲永荘一学術文化奨励賞を受賞。著書に『中国古代貨幣経済史研究』(汲古書院、2011年)、『中国古代の貨幣』(吉川弘文館、2015年)、『劉備と諸葛亮』(文春新書、2018年)、『中国古代貨幣経済の持続と転換』(汲古書院、2018年)など。

「2021年 『古代中国の24時間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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