大久保利通と東アジア: 国家構想と外交戦略 (歴史文化ライブラリー 419)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642058193

作品紹介・あらすじ

征韓論政変後、大久保利通は近代国際法に準拠し、華夷秩序の打破に向けた積極的な東アジア政策を展開した。そのなかで大久保がめざしたものとは何か。樺太問題、台湾出兵、清国との交渉、琉球併合、江華島事件、日朝修好条規締結…。異なる秩序がぶつかる「対立・相克」の具体像と、戦争を回避した「妥協」の要因を、国家構想との関連で描く。

感想・レビュー・書評

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  • 吉川弘文館
    勝田政治 大久保利通 と東アジア

    大久保政権における東アジア外交の概要、西郷隆盛との政策的対立点を整理した本。とてもわかりやすい


    大久保利通 像は 中国を宗主国とする華夷秩序 や 国内の開戦派との対立 のなか、戦争を回避しながら「民力」による国家富強を目指した政治家というもの。開戦派で命知らずの西郷隆盛が 代表的日本人 でいいのだろうかと思う


    樺太、台湾、朝鮮を大久保政権の東アジア政策の課題としている、大久保政権の主な東アジア政策は、樺太千島交換条約、台湾出兵論、琉球併合、朝鮮との国交樹立など

  • 征韓論に反対した大久保利通が、自らの政権で、なぜ、台湾出兵や江華島事件を起こしたのか、教科書では分からない経緯の詳細がわかり、納得した。大久保は一貫して外征には抑制的であり、内治優先だった。それにしても、台湾出兵の経緯は、台湾=中国本土、清国=米国と捉えると、太平洋戦争に至る経緯に相似している。明治のときは、まだ軍の力が弱く、また元勲達に覚悟と抑える力があった。

  • 明治0年代の東アジアとの外交折衝を、大久保利通を起点として見る一書。内地優先主義の大久保が、いかに清との戦争をせずに台湾・琉球・朝鮮・樺太と日本の関係を(自国に有利なように)構築しようとしてきたかを述べている。

    もっともスリリングなのは、やはり大久保が直接交渉に乗り出した征台の役のさいの清とのやりとり。逆にいうとそのほかは黒幕的な立ち位置なので、どうしても主役は別の人物たちにならざるをえない。いやそれはいいのだけど、政治過程史的な叙述を取っているので、「大久保利通」を前面に押し出しながら、実際叙述の中心になるのは大久保ではない実際交渉にあたった人々、という箇所がけっこうある。「大久保」を前面に出すのなら、政治過程史的に外交史を描くのは無理があるようにも思えた。

    あとは、結局この時期の東アジア外交が何だったのかという評価に欠ける気もする。「大久保外交」は結局それ以降の日本の対外進出の起点だったのか、ということである。「戦争を回避して東アジアでの地位を確立する」という大久保の構想そのものの評価がないように思う。

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著者プロフィール

1952年生まれ、国士舘大学文学部教授

「2010年 『小野梓と自由民権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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