平安京はいらなかった: 古代の夢を喰らう中世 (歴史文化ライブラリー 438)
- 吉川弘文館 (2016年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642058384
作品紹介・あらすじ
平安京は本当に必要だったのか―。朝廷の壮大な理念が優先され、住む側にとっては不便きわまりなかった都市。儀礼を演じる劇場として巨大化した“理想の都”は、ついに天皇でさえも空間を持てあまし、やがて縮小をくり返しながら中世京都へと脱皮していく。「使いにくさ」に目を向け平安京を捉え直した、“千年の都”の本質に迫る刺激的な一冊。
感想・レビュー・書評
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著者が事実陳列罪で平安京から告訴されないか心配になるくらい、平安京をDISってる。
京都の土地勘があれば、もっと面白く感じれたんだろうなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとなく平安京というと隅々まで手入れが行き届いた、美しい夢の都みたいなイメージだったが、それがいい意味で覆された。理想の都は一度も完成することがなく、民衆にとっては住みにくい、天皇の力を見せつけるための舞台装置であったことを考えると、むしろ荒廃している都こそ本当の姿なのかなと言う気がする。舞台装置という意味では現在のブランド化された「京都」もその性格を引き継いでいるようであるし、京都の本当の姿というのは我々の憧れとは程遠いものなのかもしれない。
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平安京は最初から過大であり、やがて適正サイズに移行したと説く。
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天皇のもとでの位階、官職、唐の洛陽長安との比較。
わりと専門的。
794年に遷都したが11年後に造営中止、サイズ的には1/4ぐらいでそもそも十分であり、おもに東側の左京に人が集中。右京はほぼ人がいない。
羅城門は倒壊後再建されず、羅城は南側の一部にしか作られてない。
朱雀大路は82mの幅があり大きすぎ、外国使節と大嘗祭にしか使われない。外国使節は実際に使ったのは渤海使しかなく、渤海滅亡後はいない。 -
国語便覧などには必ず掲載されている平安京の平面図。でも、あのような平安京は、実は歴史上一度も存在しなかったのです。京都についての観光案内的常識が崩れ去り、本物の歴史研究に触れることができる第一級の入門書。
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平安京の成り立ちから顛末まで。唐の構想や思想を移植した理念ありきの都で華夷秩序まで真似ているとは初めて知りました。名前の呼び方と官位の対応とか、そもそもの基礎知識から語り起こして頂き、勉強になりました。京都学にも興味が湧きます。次巻の武家の京都も期待しています。
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ショッキングなタイトルは受け狙い。
而して実態は、「平安京は大きすぎた」。要らなくはないでしょう。
曰く、「平城京はいらなかった」でも全然構わないでしょう。語感とインパクトの差です。
平安京を、建築的・面積的・実用的側面からアプローチして如何に無用の長物であったかを延々と書き連ねています。
なるほど!と膝を打つような指摘もありますが往々にして記述は冗長です。
律令政治から武家の時代に移ればもちろん政庁を装う必要もなく、単なる京都と言う公家の入れ物になっていくのは致し方のないところ。
古代日本というのは判りにくい時代で時代考証が難しいからかNHK大河ドラマでも全く取り上げて貰えません。
だからこそのインパクト勝負なんでしょう。読み物としては面白かったですよ。 -
平安京の壮大さ。
9車線の朱雀大路。
外交や儀式のためだけでは、なるほど維持し難い。