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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784642058407
作品紹介・あらすじ
中国大陸の諸勢力からの侵略を何度も受けた朝鮮半島にルーツを持つ日本の古代山城(さんじょう)。北部九州から瀬戸内に集中して築かれ、一見大陸からの防衛ラインをなしているが機能したのか疑問点も多い。史書など記録に残る「朝鮮式山城」に対し、記録に残っていない謎の遺跡「神籠石(こうごいし)系山城」を中心に考古学から実態に迫り、新たな古代山城の姿を描き出す。
みんなの感想まとめ
古代山城の研究は、単なる防衛機能に留まらず、歴史的背景や技術の継承に関する深い考察を提供しています。特に神籠石系山城に焦点を当て、これまでの通説を見直し、最近の発掘成果を基にした詳細な解説が展開されま...
感想・レビュー・書評
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城と言われて多くの人がまず思い浮かべるのは、姫路城や名古屋城のように、屹立する高石垣の上に豪壮な櫓や天守の立ち並ぶ城であろう。こういった城のことを近世城郭という。これに対して歴史に多少詳しい人なら、そうした城は実は少数派であることを知っているかもしれない。戦国時代までに築かれた城は、石垣の使用は限定的で、天守も存在せず、櫓に瓦や漆喰が用いられることもほとんどなかった。その一方で土塁や堀などを複雑に組み合わせることで、高い防御力を実現していた。こういった城のことを中世城郭という。
それではこのどちらとも全く異なる城が、古代西日本の各地に存在していたことはご存知だろうか。いわゆる古代山城である。飛鳥時代から奈良時代初頭、7世紀後半から8世紀初頭にかけて、北部九州から瀬戸内海にかけての地域に建造された。その数は実際のところ30に満たず、中世城郭はもちろん、近世城郭と比べても、はるかに少ない。
多くの城は石塁や土塁を巡らせ、山の頂部を一周して囲った構造をしている。どの城も巨大であり、最も小さいもので周囲1.7km、大きいものでは6㎞を超える。砦のようなものとは全く異なっている。古代国家が国家防衛のために築いた要塞群であり、朝鮮半島などの山城との類似性が認められている。中世城郭の系譜とは全くつながっておらず、この時代だけに存在した特異な城郭群である。
本書は古代山城の役割などを概説するとともに、古代山城研究の最前線にも踏み込む、包括的な書籍である。「古代山城の性格と年代をめぐって」では、古代山城の特徴を概説したのち、古代山城の研究史をたどりながら、その性格を考える。「古代山城研究最前線」では、阿志岐山城、鬼ノ城、大野城、おつぼ山城などでの最新の成果から見えてきた実像に迫るとともに、韓国の山城との比較も試みたうえで、今後の研究を展望する。「東アジアの争乱と古代山城」では、東アジア国際情勢(新羅・唐・日本)の文脈に古代山城を置き、建造から衰退に至るまでの変遷を辿る。
本書は古代山城の概説書として優れており、読みやすく書かれているといえる。中世城郭や近世城郭とは全く異なる古代山城の世界を知ることは、読者を大いに楽しませてくれるだろう。日本史のもう一つの可能性に思いを馳せることができる。
そして現在の古代山城は、建物こそ残らないが、豪壮な石塁や土塁が残される城は多く、訪れる者を楽しませてくれる。西日本を訪ねた折には、本書を片手に、古代山城にも寄ってみてはいかがだろうか。
(文科三類・2年)(1)
【学内URL】
https://elib-maruzen-co-jp.utokyo.idm.oclc.org/elib/html/BookDetail/Id/3000040892
【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古代山城の研究史について、神籠石系山城に関するこれまでの通説から近年の発掘成果を基にした解説が詳しい。後半は、古代山城の唐・朝鮮半島や日本の戦争・外交史と韓国での研究成果を軸に山城の築城時期・運用目的を考察していく。これからの研究の進展が待たれる。 奈良時代の駅路から見える部分にだけ土塁・列石を造成している「見せる城」、倉庫群などの遺構に注目した点が興味深かった。
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