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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784642058582
作品紹介・あらすじ
7?10世紀、中国東北部から朝鮮半島北部にかけて栄えた渤海国。この歴史は長く忘れられていたが、こんにち、周辺各国が自国とのかかわりのみを強調しがちな「歴史の争奪」が起きている。こうした対立を乗り超えるため、国際交流を軸に、地域の大きな枠組みに焦点を合わせて多元的に捉え直す。河川流域に拠点を築いた多種族国家の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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関係する地理的枠組み、それぞれの視点における渤海国の特色を示し、その総合として多元的な国家像を描こうとする内容。国家体制の整備において後期唐朝から受けた影響の大きさや、地域の歴史的画期としての側面などが興味深かった。
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渤海国を知っているだろうか。朝鮮半島北部から満洲南部、沿海州南部にかけての地域を支配した国家である。7世紀末に成立し、926年に滅亡した。一時は「海東の盛国」と称されて栄華を極め、日本とも盛んに通交した国である。
この国の歴史の位置づけは、実は多分に政治的な問題である。渤海国が高句麗の後継を自称したことを踏まえ、韓国・北朝鮮では渤海国を朝鮮史の枠組みで理解することが多い。新羅と渤海国を朝鮮半島の「南北国時代」として理解し、その統合として高麗を描写するのである。これに対して中国では、渤海国における靺鞨族の役割を強調し、「中国東北」(満洲)の枠組みで渤海国を理解しようとすることが多い。無論かつての日本で、満洲進出を正当化するため、「満鮮史」という政治的な枠組みが創出され、これに基づいた学術研究が推進されたことも忘れるべきではない。
渤海国については、いわば「歴史の争奪」というべき状況が続いていると筆者は指摘する。そこで筆者は視点を変え、多様な視点から眺めた渤海国を描き出すことで、多面的な存在としての渤海国像の構築を目指す。より具体的には、東アジア、東部ユーラシア、東北アジア、環日本海、環黄海・東シナ海という5つの枠組みを用意し、その中で渤海国がどのように描くことができるかを示している。
「歴史の争奪」から距離を置いて、それでいて各々の歴史観を否定しない形で、どのような歴史叙述が可能となるのか。本書は一つの答えを示しているともいえる。渤海国の通史や地理にも一定の文量が割かれており、初心者にもわかりやすい。当該時代・地域に興味を持つ人だけでなく、歴史認識の問題に関心を持つ人にも、オススメの一冊である。
(文科三類・2年)(1)
【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000049318
【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus -
FT2a
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東2法経図・開架 222.5A/F93b//K
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