皇位継承の中世史: 血統をめぐる政治と内乱 (483) (歴史文化ライブラリー)

著者 :
  • 吉川弘文館
3.60
  • (0)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 55
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642058834

作品紹介・あらすじ

現在では常識とされる皇位の父子継承は、いつから、どのように行われたのか。天皇親政から摂関政治、院政へと移り変わる政治制度や、鎌倉幕府滅亡、南北朝内乱など、譲位や即位に武士が深く関わった事象を読み解き、皇位継承の実態に迫る。天皇と権力・親族との関係を軸に歴史の流れをとらえ、目まぐるしく展開した中世政治史を明快に描き出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書の目立つ主張
    古代、推古天皇は585敏達天皇崩御後、オオキサキとして統治権行使(天皇=親政・統治する者であるので経験必要)
    他部親王の例から、父系・母系が同じ重さ(双系制社会)
    ※井上内親王を通じての皇位継承説(←いや、父系だから:光仁天皇=天智天皇孫)
    経験重要(年齢)から兄弟姉妹間の皇位継承は通説だが、古代は天皇といえども合議で決定した

    良房の統治権代行は外祖父+皇女(源潔姫)を妻とした深い血縁関係を重要視(アタクシは藤原家は准皇族としての立場だった説を唱える:例外規定が律令にある)

  • 吉川弘文館 佐伯智広 「 皇位継承の中世史 」

    南北朝時代までの皇位継承史の本。中心テーマは鎌倉時代から南北朝時代(後醍醐天皇の前後)の皇位継承の変遷。とても面白い。

    直系の子以外の皇太子が認められていた時代は 皇位継承が 政治権力の継承であったことがよくわかる。皇位と政治が密接した原因として、院制(天皇が 直系の皇太子に 譲位した後に、院となり政治権力を持ち続ける制度)を取り上げている


    鎌倉時代に皇統が2つに分裂(両統迭立)→幕府が皇位継承に介入
    *後嵯峨天皇が 後深草天皇に譲位して院となったが
    *後嵯峨院が 後深草天皇の弟の亀山天皇に皇位をつけた→弟が天皇になると 兄の後深草天皇は 院になれない
    *後嵯峨院の意向は 後深草天皇を皇位から排除→亀山天皇→亀山天皇の子 後宇多天皇へ
    *鎌倉幕府は 後宇多天皇の次を 後深草天皇の子 伏見天皇にすることに介入

    現在の皇位継承との違い
    *前天皇の実子でない天皇による皇位継承が半数
    *女性天皇、養子天皇、兄弟姉妹間の皇位継承もあった
    *皇族の範囲(天皇の男系子孫に該当する皇族)の変遷
    *制度としての妾→妾の子が天皇に(大正天皇)
    *憲法の1条の万世一系(天皇の血統が永遠に続く)

    天皇と政治権力との関係史=政治形態の移り変わり=皇位継承問題が根本原因
    1.天皇親政
    2.摂関政治=天皇の外戚である藤原氏による
    3.院政=天皇の直系尊属である院による
    4.武家政治=幕府による





  • 室町時代が全然ついていけなかった(汗)。下調べしてから、どこかでリトライせねば。
    ところで史学科って文学部なんですね、この本のあとがきで知りました。

  • この国においても時代により価値観と物事の決まり方は結構違ってきたのだということを変わらないと思いがちなものから見る。

  • 東2法経図・6F開架:210.4A/Sa14k//K

  • 生前退位という歴史的節目に一読を勧めたい。分かりやすい。兄弟や遠い親族からの継承から現代の直系継承に到る過程。後継者候補の年齢や政治的状況に左右された。南朝から北朝の継承や室町、江戸時代の遠縁の継承は直系継承と変わらないとされ問題にならなくなったあと。すなわち、養子でもよかった。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1977年、大阪府生まれ。2010年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了、博士(人間・環境学)。現在、帝京大学文学部准教授。 ※2022年1月現在
【主要著書】『中世前期の政治構造と王家』(東京大学出版会、2015年)、『皇位継承の中世史』(吉川弘文館、2019年)

「2022年 『平氏政権と源平争乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐伯智広の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×