〈武家の王〉足利氏 戦国大名と足利的秩序 (525) (歴史文化ライブラリー)
- 吉川弘文館 (2021年5月19日発売)
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感想 : 17件
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784642059251
作品紹介・あらすじ
南北朝から戦国時代にかけて、足利氏は実力を失いながらも将軍であり続けた。なぜ武士たちは足利氏を認めたのか。武家の王=足利氏とする序列意識「足利的秩序」がどのように成立し、維持され、崩壊していったのかに焦点をあて、吉良・斯波・新田氏ら一門の系譜から足利氏の存続と滅亡の謎に迫る。そして250年にわたる「足利時代」を再考する。
みんなの感想まとめ
歴史的な視点から足利氏の存在意義を探る本書は、南北朝から戦国時代にかけての武士の序列意識や足利的秩序の成立・維持・崩壊を考察しています。著者は、足利氏がなぜ無力でありながらも大名たちの頂点に君臨し続け...
感想・レビュー・書評
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平易でわかりやすくかつ面白い。興味のある方にはぜひオススメの良書。
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"いま、足利氏が熱い"というフレーズで始まる本書は、なぜ無力だといわれる将軍(足利氏)が戦国100年を生き抜けたのか、なぜ傀儡だったとしても大名たちの頂点に君臨し続けられたのか、について回答しようとするものである。
著者は大別、「共通利益」からの説明と、「共通価値」からの説明とがあるとして、自らは「共通価値」からの説明、具体的には、足利氏を「武家の王」とする秩序意識・序列意識がどのように成立、維持され、そして崩壊していくのかを解き明かしていくとする。
政治学的には支配の正統性根拠如何ということになる。足利氏側からすれば、"力"プラス"イデオロギー"による足利別格化の努力になる訳だが、著者は受け手となる大名側がどのように認識していたのか、実態はどうであったのかを、史料によって明らかにしていく。
時代的にいうと、14世紀末ごろに将軍家絶対化が確立し、それに伴い、さらに足利一門とそれ以外の一門との序列化が進んだ。そのような例を、著者は中央のみならず東国、関東、九州等の地方における儀礼の序列や席次、敬称などを紹介しつつ説明していく。
閑話休題。大事なことだが、山名氏が足利一門に属することを初めて知った。系図にあまり関心がなかったのだが、一門を考える際には系図は必須のものなのが良く分かった。
このようにして、足利氏を上位とする足利的秩序が成立し、戦国時代にも維持されていた。将軍の首のすげ替えは、他の足利一門の者を充てるだけだから、当該秩序は維持されている訳だ。ところが、三好長慶、織田信長は将軍を必要とせずに支配を行った。どうしてそのような事態になってしまったのか?実力主義に舵を切らざるを得なかった将軍が、自らの拠って立つ基盤を掘り崩してしまい、共通価値を失わせてしまったからではないか、すなわち「上からの改革」が原因ではないかというのが著者の結論である。
エピローグの"足利時代再考"が.全体構成からはやや浮いて感じられたし、また、他時代・他地域での議論や隣接諸分野の成果を積極的に取り入れようとしている意欲は分かるものの、少しつまみ食い的に思われたところがある。
しかしながら、非常に興味深い大きな論点に正面から取り組んでいるところは素晴らしいし、叙述も一般読者にとって親切な、平易な語り口で論述されていて、足利時代についての理解がだいぶ進んだと思う。 -
足利将軍が応仁の乱や明応の政変後もなお続いていったのは何故かという疑問に権威があったからという回答を書いている。
武家の秩序を築き、それが保持され、やがて実力主義の浸透で崩壊していったというストーリーはわかりやすいし、説得力もあると感じた。
崩壊理由の上からの改革、足利秩序に一門以外の実力者を入れた為とあるが、守護にせよ探題にせよその責務を果たさせるためには一門以外を当てざるを得ないというジレンマの中、責任感ある為政者ならばこうせざるを得ないのではと思う。
権威体制について、江戸幕府も同様の秩序を作り上げたが、朝廷という権威の源泉との関係や、権威の将軍と隔離した権力体制を作った鎌倉幕府との比較は面白そうに思った。 -
戦国時代、足利将軍が力を失いつつも君臨し続けられた要因が「武家の王」という価値観の側面から説明を試みられている。政治学や社会学といった隣接分野の知見も参照されており、権威というものの意味を考えさせられる内容が興味深い。
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
本書は戦国時代には足利氏が力を失っていたと考えられていることに対し、再考を促す内容となっている。
最終的には三好長慶や織田信長といった存在に追放や放逐され、室町幕府は消滅することになるが、実際に力を失ってからも長い間、存在することができたのは何故かを解説している。
ここで大切になるのは「共通価値」という言葉で室町幕府が誕生してから生み出された儀礼や秩序が武士の間での常識となり、その常識が守られていたということになる。
最終的には足利氏による上からの改革が権威の崩壊に繋がり、室町幕府の消滅につながったということになる。
ただ、この上からの改革はやらなかったほうが良いのかと判断するのは非常に難しいことだと思う。力のない状態が続いているといつの間にか消滅している事もあるわけで、チャレンジしたものの失敗したということになるのだろうか。 -
足利氏は「共通価値(=権威)」により〈武家の王〉として君臨(=統治システムを構築)した説、うなずける部分が多い。「足利一門」とは、基本的に源義国流のことで、のちに嫡流義家流を包摂した。「源氏嫡流工作」を進め、義満期に「足利的秩序」が成立、それは「一門には、権力があるとは限らないが権威はある」状態で「足利家に反乱・戦争を仕掛けるとき、形式的に別の足利氏を擁立するか否か」で判断できる。将軍が権力を求め権威を貶めたとき、六角氏を管領代に、非一門を探題にと自らシステムの崩壊を導いた。関東は免れた(2021年)
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戦国末期まで足利将軍が曲がりなりにもなぜ存在しえたのかについて、隣接学問分野の政治学などを援用して、これまで言われてきた武将たちにとっての紛争調停機能などの共通利益よりも、足利氏が儀礼を整備して社会に行き渡らせた足利血統の尊貴性という共通価値に理由を求めることが提案されている。義満期までは足利家を打倒しようとする勢力が出てきたが、権威が確立してからは反抗勢力も足利家の人間を推戴するようになり、将軍個人は滅しても足利氏の血統は存続し、将軍家のみならず源義国以降の足利一門という血統集団が優遇される身分制によって足利の秩序が確立された。しかしその体制は将軍家自らが延命のため一門の血統よりも実力を重視する方針を取ってしまったことによって皮肉にも権威を否定してしまい崩壊を招いたという。
当時から足利一門である新田氏が、太平記史観によって後世では一門ではないという認識になったとされるが、太平記がそのように仕向けた理由が気になる。 -
室町幕府中期以降戦国時代を経る社会情勢の中、室町殿そして鎌倉公方の足利家がどのような立ち位置にあったのか、共通利益と共通価値をキーワードにしてその実像を探るものである。内容としてそれほどの新発見があるものではなかったが、大きな見取り図としての整理にはなるだろうか。戦国時代を題材とした大河ドラマを観るときなどは多少の予備知識にはなる。
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東2法経図・6F開架:210.46A/Ta87b//K
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書評はブログに書きました。
https://dark-pla.net/?p=1814
著者プロフィール
谷口雄太の作品
