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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784642059572
作品紹介・あらすじ
古代国家による支配の鍵となった存在が、地域に根ざした勢力をもつ豪族だった。彼らは貴族化せずに地方に定住し、天皇から郡司に任命されて地方支配を担う一方で、行基ら僧侶と結びつき、民衆を集めて治水・架橋事業を展開した。郡司を輩出する氏族の構成と規模、地域における影響力や僧侶との関係を分析し、地方豪族と地域社会の姿を描き出す。
感想・レビュー・書評
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奈良・平安時代の古代国家がいかなる理想の下に地方支配に臨んでいたのかという制度的研究に対して、本書では、郡司ら地方豪族の実態面、現実の地方社会の具体像を明らかにすることを目指している。
まずは郡司制度について。
地方官としての郡司も四等官制を取り、大領ー少領ー主政ー主帳の構成。しかし、大領・少領の郡領を出す氏からは主政・主帳を任じてはならないとされ、出身階層に差があった。
任用手続では、郡司読奏という天皇が関与する手続があった。また、兵衛や采女のように天皇に仕える者たちが郡司の子弟姉妹から選ばれるというように、天皇との結びつきが見られた。
郡司層について。一郡内には郡司を輩出するような地方豪族が複数競合していたことを、史料から明らかにしていく。
また郡司層の全体像を明らかにする試みとして、経典を書写する「知識」に着目して、各氏族の勢力や序列を推測する。
また、行基に代表される布教者がため池や用水路などの灌漑施設を整備したこと、それらの事業は地方豪族の利害と一致しており、事業の実施には地方豪族の関与が見られること。
このようなことを、著者は、直接的な関連があるとは見えない数少ない史料・資料からその具体像の復元を図っていく。
地道な営みではあるが、正に歴史研究の醍醐味を見せてもらったような気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古代国家の地方支配を担った郡司に着目し、天皇との任命関係や、仏僧との連携により推進されたインフラ事業の検討を通じて、輩出層である地方豪族の実態へと迫る内容。在地社会の実像が垣間見える点が興味深かった。
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「郡司と天皇」という表題で想像される内容ではないだろう。郡領の就任手続き等で天皇との関わりは描かれるものの、具体的な接点についての考察はとぼしい。分量でいえば行基との関わりのほうが詳しく書かれている。
かといって「郡司と行基」という表題でもいけない内容。「郡司と古代国家」や「郡司と古代社会」がよかったのだろうが、他著者の他著書とかぶる可能性や一般受けを考えると「天皇」を強調したほうがいいという判断になったのかも。
天皇との紐帯は律令制以前からの伝統によるものなので、そのあたりの起源についての記述はほとんどない。それが気になる人は国造関連の本を読んだほうがいい。 -
今、読まないけど、目は通しやすい本。
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