ガラスの来た道 古代ユーラシアをつなぐ輝き (563) (歴史文化ライブラリー)

  • 吉川弘文館 (2022年12月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784642059633

作品紹介・あらすじ

今から約4500年前に西アジアで発明され、美しい珠や器となって、はるか東方へともたらされたガラス。それらはどのような人物が入手し、そこにはいかなる意味があるのか。シルクロードの東西交渉や、ユーラシア諸社会の栄枯盛衰、日本列島と大陸の交流などを、出土したガラス製品から読み解き、活き活きとした古代の人々の姿を映し出す。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の大きなうねりの中で見落とされがちなニッチなトピックについて取り扱っているシリーズ。

    個人的にガラスがどのようにして日本にもたらされたかという事に関心があった中で目にした本。まず、ガラスそのものは人類の歴史の中では、西アジアのメソポタミア文明においてBC3000年程あたりから登場するという。そして、東地中海を中心とした地域、アッシリアやアケメネス朝ペルシャ帝国などで盛んに製造されるようになったという。日本では、BC500頃の弥生時代の遺跡から珠状のガラス玉が出土しているという。

    現代では100円ショップで色々なガラス製品を買う事ができるが、当時は非常に貴重なものであったことは想像に固くない。それ故、地位を表す装飾品や儀式に用いる品といった用途で使われていたのであろう。当然、それは地域間の交流の中で、朝貢品として贈られたり、交易の対象物となっていく。価値がないものであれば、わざわざ遠方まで運んでいく理由はない。ガラスは、世界がグローバル化していく過程でその媒介物となった品物の一つであると言える。

    著者であるが、東大を卒業した後、電機メーカーに就職し、一念発起して再度東大の学士受験をし考古学の道にはいったという異色の研究者である。王道の土器などを研究して10歳も歳下の研究者と張り合うよりはニッチな分野に進んだ方が目立つことができるという着目点がすばらしい。戦略論でいうところのブルーオーシャンを目指したという事になろう。

    正直、売れるために書いた本ではないだろうし、売れるトピックでもないだろう。しかし世界史のダイナミックな流れの中でも、大きなテーマとなるシルクロードや東西交易と関連するものでもあり、掘り下げ方によっては映画のテーマにもなるような可能性を秘めている。

    正直なところ、書中では学術的な記述が多いので冗長と感じる事が多い。一方、学術的な考察よりも、それを取り巻く人や、国家の覇権争いなどの要素が加わってくると、更にトピックとしての魅力が増すのではないかと期待される内容ではある。腕のある脚本家と組んだら面白いのでは。

  • ふむ

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著者プロフィール

愛知県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、国士舘大学・駒澤大学・創価大学非常勤講師、博士(文学) ※2022年12月現在
【主要著書・論文】『ガラスが語る古代東アジア』(同成社、2012年)、『古代東アジアとガラスの考古学』(同成社、2016年)、「戦国時代の楚におけるガラス(玻璃)璧とその副葬について」(大貫静夫編『中国考古学論叢』、同成社、2021年)

「2022年 『ガラスの来た道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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