時計の社会史 (読みなおす日本史)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642065740

感想・レビュー・書評

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  • オリジナルの中公新書版(1984年発行)で読了。時計の発明と流入により、時間に対しての日本・中国・西洋での受け入れ方が違う点が面白かった。日本と違って中国では不定時法の時計が作られなかった(というか輸入のみで皇帝向け玩具に過ぎなかった)ことに驚き。
    また江戸時代には時を知らせる鐘が(香時計などに基づいて)日本中あまねく鳴らされていたとか。そしてそれだけの梵鐘を造れるだけの銅の生産が国内にあったとの指摘には面白い視点だなと思った。ちなみに例えば大坂では昼は2時間(一時)間隔で、夜は太鼓や銅鑼などでやはり2時間間隔で時が知らされていた。なお、梵鐘の9割が太平洋戦争の供出で鋳潰されたのだとか…。
    個人的には日本の話の部分が印象的だったけど、もちろん西洋の話もいろいろと興味深い。
    10章立てで、各章はわりあい独立してるので気楽に読めるのも良い。以下に各章の題を記述しておく。
    ・シンデレラの時計
    ・東洋への機械時計の伝来
    ・「奥の細道」の時計
    ・和時計をつくった人びと
    ・江戸時代の暮らしと時間
    ・ガリヴァの懐中時計
    ・時計への憧れ
    ・昼間の時間と夜の時間
    ・時計の大衆化
    ・機械時計の歴史の終わり

  •  本書では、時計という時間を測定する装置が置時計・掛時計から始まって現在のデジタルウオッチに至るまでの歴史的変遷について、『シンデレラ』や『ガリヴァー旅行記』に出てくる時計の形態を交えて、解りやすく説明されています。日本では寺の鐘や城の太鼓をならす時間をどのようにして測っていたのか、『奥の細道』の芭蕉に同行した曾良が日記に記した時間は何を基にした時間なのか、江戸時代の和時計はどのような構造だったのかについても、ユニークな考察がなされています。
     また、時計が人間社会に時間の観念を浸透させて「時間=お金」の関係を明確にしたという記述は、新しい視点を与えてくれるものです。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:595307 請求記号:535.2||Tsu

  • 一つ一つの論考は魅力的で読み物としては面白いがあくまで読み物

  • 私の手元にあるのは新書版で、「ザ・新書」という敬称で呼びたくなるほどの一冊。川勝平太著『日本文明と近代西洋 「鎖国」再考』で本書を知った。このように面白くない本が面白い本につないでくれることがあるので読書には無駄がないと考えてよろしい。しかも、『超訳「国富論」』と併読していたため、上記テキストで理解が深まった。
    https://sessendo.blogspot.com/2021/02/blog-post_22.html

  • 資料番号:011575594
    請求記号:535.2/ツ

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