戦争と放送 (読みなおす日本史)

著者 :
  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642067577

作品紹介・あらすじ

ラジオ放送は1925年、開始と同時に政府の統制下に置かれ、国策通信社が配信する情報をそのまま放送した。原爆などの不都合な情報を秘され、政府の指導に従う国民。戦時期の情報操作に果たした放送の役割を解明。

感想・レビュー・書評

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  •  1984年、社会思想社より刊行された同名図書の増補版。巻末の紹介によれば、著者は元東京放送、南博の社会心理研究所で研究活動を行ったとある。NHK放送博物館の資料が積極的に活用されていたことも個人的には勉強になった。
     
     ラジオは日本政府が重視し、情報の「通路」と見なしたメディアだった。それだけに、ラジオで何が伝えられ、何が伝えられなかったかは戦時下の日本政府・軍の対社会認識、対内・対外的な情勢判断の端的な表現と言える。
     全体としてたいへん勉強になったが、個人的にはとくに第3章・第4章が重要。第3章では、NHKが従事していた連合国側の通信・放送傍受から、米英が原爆投下後の日本政府発表を踏まえつつ、それに合わせて内容を調整していた可能性が示唆されている。第4章では、8月10日の第1回御前会議を受けて、「原爆」という記号が国民に敗北を受け入れさせる「切り札」的に活用されていたことが明らかにされる。また、8月15日のニュース原稿と情報局の世論指導方針(8月14日17時通達)の分析から、支配層が天皇というシンボルをフル活用しつつ、戦争責任・政治責任を曖昧化しようと躍起になっていた様子が剔抉されていく。読みごたえ十分だし、自分の勉強にも参考になった。

  • 文化機関でなく政治機関だったという一節に、戦前のラジオ放送の本質が凝縮されている。ナチスの宣伝戦略に範をとった経緯、原爆報道、玉音放送という、各重要ポイントのあらましが主なトピック。何を国民に伝えるかが厳密に管理されていた様は、彼らを目隠しにして操るおぞましさがあるが、戦意高揚のコンテンツや、玉音放送の効果を認識していた事などは、(もしかしたらドイツよりも)放送を効果的に運用していた証拠でもあり、今日の我々にも通じる教訓かもしれない。聴衆の声が多数紹介されているところは、本音であれ追従であれ、当時の雰囲気が伝わる生々しさがあった。

  • 1994年に発表された本の復刊。
    戦時期にラジオ放送がいかに情報を伝えたか/伝えなかったかの具体像を記す。

    放送への国民の反応、原爆投下情報の伝達と封殺、玉音放送の果たした役割や影響等々、史料を交えてわかりやすく書かれている。
    特に原爆投下情報の速報が様々なチャンネルで伝わっていた事実を知らなかったので、勉強になった。
    玉音の持つ力の大きさ、与える影響力の大きさも改めて痛感せざるを得ない。
    ラジオに対する国民の反応を投書や日記から分析しているのも面白かった。

  • 東2法経図・開架 699.21A/Ta68s//K

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