- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642073493
作品紹介・あらすじ
最も有名な幕末の志士・坂本龍馬。薩長同盟・船中八策・大政奉還など、さまざまな功績を遺したとされているが、実際には何を成し遂げたのか。日本近現代史の大家が史料に基づきその実像に迫った決定版、待望の復刊!
感想・レビュー・書評
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6月に司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んだのだが、その流れで本書を手にとってみた。『竜馬がゆく』と本書を合わせて読むと司馬氏の小説がどこまで史実に基づいているかわかる。それでいうと小説とはいえ司馬氏の作品は結構リアリティのある話かな、とも思った。さて、本書の作者の最も強くいいたいことは『これまでの幕末史は、あまりにも薩摩と土佐の盟約を軽んじてきた。』という事で『現実に歴史を動かしたという点では、薩長盟約より薩土盟約の方が大きな意味を持つ。』という。薩土盟約は高校の教科書に出てこないように、薩長盟約に比べ、軽く扱われて来た。その理由は締結後すぐに盟約に基づいた両藩の共同関係を解消して、それぞれが自分の方法で運動しようということになり、これで盟約関係は破れたと解釈されたからである。しかし薩土の関係が断絶したのではなく、以後も密接に連絡をとって、盟約の精神・目標である大政奉還、将軍職廃止そして新政府の創設を実現するために運動していたのである。王政復古の政変によって新政府が誕生したのは、この運動の結果だった。だから薩土盟約は重要なのである。と作者はいう。詳細→
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開国と攘夷のはざまで:
世界への開眼
朝廷と幕府の密約
脱藩
尊王擾夷の渦中で
久光と薩摩の登場
さまざまな攘夷ー排外思想・破約攘夷論(強硬論or穏健論)・国民意識高揚・外圧に対する抵抗論
勝海舟の門人に
日本を洗濯したい
薩長盟約への道;
西郷隆盛と会う
金門の変
西郷と勝の会談
桂小五郎と面談
西郷と大久保の使いとなって
盟約の証人となって
幕長戦争のなかで;
寺田屋の危下
下関海戦
車中と薩摩
薩土盟約と新国家構想:
船中八策
薩摩と土佐の盟約
土佐路線・薩摩路線
大政奉還と王政復古 -
小説のように龍馬に肩入れした筆致で、割り引いて読まねばならない点が惜しい。薩土の提携における龍馬の役割に丁寧にスポットを当てているのが特徴的。内憂外患による幕府の限界が、雄藩はもちろん徳川家自身にも自覚され、次の政体を模索していた経緯は、今日の日本国のあり方にすら通じる。船中八策は今日疑わしいとされるが、龍馬から離れて、また他書で読んでみたいテーマに思った。
著者プロフィール
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