図説 日本民俗学

  • 株式会社 吉川弘文館 (2009年10月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784642080279

作品紹介・あらすじ

世代をこえて伝えられてきた生活文化の歴史を、自らの体験をもとに探究してきた日本の民俗学。だが、高度成長とグローバル化の波は地域社会を大きく変貌させた。日常的に民俗を経験することが困難になりつつある今日、日本列島各地にいきづく多様な民俗を多くの図版で再現して、民俗社会のイメージと民俗学の全体像を具体的に把握する座右の書。

みんなの感想まとめ

生活文化の歴史を探求する本書は、日本各地に残る風習やしきたりを豊富な写真とともに解説しています。読者は、民俗学への興味を深めると同時に、過去の風習が廃れていく現状に対する危惧を抱くようです。特に、家族...

感想・レビュー・書評

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  • 「日本列島各地にいきづくさまざまな民俗。日本人の心のふるさとを豊富な図版で探る!」と帯にあります。ええ、買いました。2600円+税と、決してお安くはないのですが、とっても満足しました。

    柳田国男「明治大正史世相編」が昭和初期にまとめられた民俗学の総論だとしたら、本書はまさしく平成版「昭和史世相編」です。

    実は「明治大正ー」レビューの時に縷々語ったT先生の近況をググったところ、なんと2018年にお亡くなりになっていました( ꃼᯅꃼ )。それで、ひまわりめろんさんが民俗学入門編を探していたこともあって、T先生共著の本書を一緒に読むことにしたのです。めろんさんは、早々にレビューあげているので、是非参考にしてもらうとして、わたしは2-3大まかな感想を述べたあとに、先生担当の19章「イエを訪れるカミ」について、述べようと思います。

    本書は2009年発行、2020年第6刷です。こんな学術書が6刷もするためには一つのカラクリしか思いつきません。本書には執筆者は23人もいるのです。みんな立派な大学の教授です。おそらく自分の授業の教科書に使っているのでしょう。尤もT先生のように物故した人、「元」になっている人、民博の名誉教授になっている方いろいろなので、現役教科書は数校に過ぎないでしょうが、それでも数は出るはず。実際一読、充分教科書に耐え得る内容です。反対に言えば、あまり突っ込んでいない。そのあたりは授業で展開するのかもしれませんが。

    めろんさんは、神棚の習俗がもはや現代ではなくなりつつあることを嘆いておられましたが、だからこそ「民俗学」があるのだとわたしは思います。そう言えば、T先生がこの様に言っていたことを思い出しました。
    「確かに、こんなめんどくさい習俗は今はほとんど残っていない。K村の頭人祭だって、いつまで続くことか。続かなくても良いんだよ。こうやって、記録することで、昔から永遠と続いていたと思われるような習俗が、実は少しずつ変容していることがわかって来る。K村だけじゃわからないけど、全国にある頭人祭を比べることで、その変容の仕組みがわかって来る。それを見ていくことで、ある日、あゝ日本人てこんな民族なんだ、と合点いく日がきっとあるんだよ。例えば、つい最近(79-82年)に流行った口裂け女の都市伝説、あの噂の伝播の仕方を調べると、ホントにいろんな習俗の類似を見つけることができるんだ。民俗は決して死なない。面白いよ」
    もちろん、この教科書では、そこまで突っ込んではない。
    他のレビューで書いたけど、この前我が村で私の苗字だけの氏神様を祀った祠の「祭の終い」を話し合って決めました。そんな感じの終わり方は、現在各地であるはずですが、でもその記憶は絶対何処かに少しずつ繋がっていくはずです。最近我が村では、ニュータウンの周りで子供が増えたおかげで、小学校を舞台に「どんと祭り(正月明けのお飾りを焼く行事)※」が復活しました。おそらくこれも昔とは違う祭りです。民俗は死なないんです。
    本書Ⅳ「カミ」の冒頭にこう書く。
    「私たちは時代が変わっても、意識するしないにも関わらず超自然的存在から無縁ではいられないのである」(191p)

    19章「イエを訪れるカミ」(T先生担当執筆)
    神棚など常在型の屋内神に対して、時期を限りやって来るカミがいる。偶然にも6月にレビューした「来訪神事典」では、そのうちの仮面仮装の来訪神(ナマハゲなど)に焦点があげられているが、本章ではそれ以外に「里山に住む先祖神が定期的(正月と盆)にイエを訪れる」として、門松、お飾り、ハレの食べ物、などの習俗をあげている。つまり姿は見えない。
    また、春から秋に田の神になり、そのあと山の神になる考えも紹介する。T先生の主要調査地域である奥能登では、田の神がイエの先祖神と一体化していた例を紹介する。
    また、先祖神と少し違うカミもいる。神無月の間、留守番をするのが恵比寿、大黒、荒神なのだそうだ。よって恵比寿講は10月に行われる。また、秋葉、金毘羅、伏見稲荷などの中央神は代参してお札をもらって神棚に備える。先祖神とは違う。富士講などもその類。

    章は違うけど、最後の方に小説の題材によくなる「憑き物」や「異界との接点(辻・橋・井戸)」についての解説もある。「ごく普通の農家の間にも、人間に取り憑く動物を代々飼っているとされる家筋が主として西日本に存在し、「狐持ち」とか「犬神筋」などと呼ばれ特殊視されてきた」とある。西日本特有だったんだ!!!尤も「こうした信仰の背景には人々の妬みの問題があるといえよう」T先生が言ったの全く同じことが書いてあった。
    学校の怪談が多いのは、音楽室、理科室、トイレなど特別な場所が多い。特にトイレは生理的な不安と無関係ではないだろう。

    ※本書では山梨県南アルプス市の「ドンド焼き」が紹介される。正月に来た祖先神は、この火で送られる。その火で焼いた餅を食べると風邪をひかない。我が村では「どんと」だが、「ドンド」が全国には多いようだ。



    • kuma0504さん
      えっ?岩波文庫なかったの?
      ‥‥ホントだ。岩波ブックレットはあんなにあるのに‥‥。
      光文社古典新訳文庫だけが古典じゃないですよ。これはカリス...
      えっ?岩波文庫なかったの?
      ‥‥ホントだ。岩波ブックレットはあんなにあるのに‥‥。
      光文社古典新訳文庫だけが古典じゃないですよ。これはカリスマレビュアーの盲点だね✌︎( ー̀֊ー́ )‪✧
      2024/08/28
    • ひまわりめろんさん
      あ、岩波文庫はむしろ小さい頃にかなり読んでるんで、もういいかなって感じなんです
      あ、岩波文庫はむしろ小さい頃にかなり読んでるんで、もういいかなって感じなんです
      2024/08/28
    • kuma0504さん
      なるほど、まぁそういうことに(´-ω-`;)ゞ
      なるほど、まぁそういうことに(´-ω-`;)ゞ
      2024/08/28
  • 最近気になる「民俗学」、クマさんのお誘いにより手にとってみました

    日本各地に残る風習やしきたりなどの民俗をたくさんの写真とともに解説されていました
    ふむふむなるほどね〜って感じなんですが、ちょっとレイアウトが雑すぎて読みづらかったです

    それにしても本書2009年の発刊なんですが、各地の民俗が廃れていくのを危惧しているんです
    で、そこからさらに15年たった今、さらに加速度をあげて消えて行ってるような気もするんよね

    たとえば自分が子どもの頃、家には神棚があって、いわゆる初ものはいったん神様にお供えして、2日目以降でないと食べさせてもらえなかったもんです
    今、うちお供えどころか神棚ないもんな〜

    あとご飯はお父さんが箸を付けてからじゃないと、食べ始めちゃダメとかあったんよね
    今、うち…。゚(゚´Д`゚)゚。

    まぁ、いいや
    涙しか出てこない話は一旦置いておきます

    でね、いつも考えるんだけど、こういった風習がどんどん廃れていくのは良いことなのか?悪いことなのか?って言ったら、やっぱりわいは悪いことだと思うのよ
    例えば、初ものを先ず神棚に…ってやることでやっぱり特別感が出てくるのよ
    この特別感て大事だと思うんよね
    そうすることで感謝の気持ちみたいなんも芽生えてくるんじゃないかな〜なんて思うんよ

    じゃあ、なるべく残してった方が良くね?って言うのはいいんだけど、積極的にそういった取り組みをしてるのか?ってなると、全くしてないわ、流されてるわ
    神棚ないし

    どうしたもんかね〜
    神棚…めんどくさいな〜(出た)



    その、めんどくさいが日本をダメにしとるんじゃ!馬鹿たれ!(誰が誰に言うてんねん)

    • ひまわりめろんさん
      へ?わい大阪に住んだことなんか一度もないよ?
      エセ関西弁だよ?ほんとの関西の人に一番嫌われるやーつよ?
      方言好きだから、エセ広島弁とかエセ高...
      へ?わい大阪に住んだことなんか一度もないよ?
      エセ関西弁だよ?ほんとの関西の人に一番嫌われるやーつよ?
      方言好きだから、エセ広島弁とかエセ高知弁とかエセ博多弁とかエセ東北弁とかリアル茨城弁とか使うよ
      使うっぺ!
      2024/08/19
    • bmakiさん
      私はリアル遠州弁と三河弁の両刀使いだにwww
      覚悟しりんよ( • ̀ω•́ )b
      私はリアル遠州弁と三河弁の両刀使いだにwww
      覚悟しりんよ( • ̀ω•́ )b
      2024/08/19
    • 1Q84O1さん
      ひま師匠

      まさにその通り!
      お父さん待ってたよの一日を!
      世の中のお父さんたちにも待ってたよの一日を!。゚(゚´Д`゚)゚。
      ひま師匠

      まさにその通り!
      お父さん待ってたよの一日を!
      世の中のお父さんたちにも待ってたよの一日を!。゚(゚´Д`゚)゚。
      2024/08/19
  • 高校生の歴史の教科書を思い出しました。

    難しすぎない説明と、たくさんの写真(学問とは関係ありませんが、土地の方の自然な心なごむ写真が多いです)で、手元に置いて、いつでも気になった項目を開いてみたくなるほんです。
    購入を検討しています。

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著者プロフィール

1941年 三重県四日市市に生まれる
1963年 東京教育大学文学部史学科史学方法論専攻卒業
1971年 東京教育大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了
1977年 東京教育大学大学院文学研究科日本史学専攻博士課程満期退学
武蔵大学人文学部、国立歴史民俗博物館民俗研究部、新潟大学人文学部を経て
1998年 神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授
2011年 同上定年退職
現在 国立歴史民俗博物館名誉教授

主要著書
『日本村落の民俗的構造』(弘文堂、1982年)
『日本民俗学方法序説─柳田国男と民俗学─』(弘文堂、1984年)
『柳田国男の民俗学』(吉川弘文館、1992年)
『番と衆─日本社会の東と西─』(吉川弘文館、1997年)
『歴史探索の手法─岩船地蔵を追って─』(筑摩書房、2006年)
『日本の民俗学─「野」の学問の200年─』(吉川弘文館、2009年)
『現代日本の民俗学─ポスト柳田国男の50年─』(吉川弘文館、2014年)
『歴史と日本民俗学』(吉川弘文館、2016年)
『種明かししない柳田国男─日本民俗学のために─』(吉川弘文館、2023年)

「2026年 『民俗学の可能性をひろげる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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